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2006年11月30日 (木)

文楽の女・お園と操

…結ぼれ解けぬ片糸の,繰返したる独り言。今頃は半七様どこにどうしてござらうぞ。
「お園~艶容女舞衣・酒屋の段より~」

 浄瑠璃 竹本文字久大夫
 三味線 鶴澤清二郎
 人 形 桐竹勘十郎
白の屏風と行灯のみの装置。お園のあまりにも有名なくどき。
文字久大夫さんは,艶のある高音域をじっくり聴かせて頂いた。清二郎さんの三味線は可愛らしく泣いておられた。勘十郎さん,ガイダンスを意識しながらも,いつもながら見せ場の形を軽々と決めておられた。

拝むわいのと手を合はし,諌めつ泣いつ一筋に,夫を思ふ恨み泣き,操の鑑曇りなき,涙に誠あらはせり。
「操~絵本大功記・尼ヶ崎の段より~」

銀の屏風と鑓の小道具。気丈な武家の妻のくどき。
文字久大夫さんは,しっかり目だが,ごーごー泣いておられた。清二郎さんの三味線,厳しく責めておられた。勘十郎さん,気品と格を重んじた操だった。

どちらかといえば,操の方がしよいように見受けられた。また,三味線はリズム楽器ということを感じた。

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文楽

お三方の鼎談は,文楽の女を鑑賞する三業の見所を中心にそれぞれの明日の文楽への思いを語って頂いた。
文字久大夫さん
様々な年齢の役を演じ分けるには息と腹が大切。大夫は修行に継ぐ修行,人生の味を醸し出すことも必要なので上達も遅い。しっかりせんとあきません。
清二郎さん
最初にちーんで出るので緊張する。綺麗な音で女の涙を表現する。遊女なら泣きに媚びを入れたり難しい。ばーちゃんは綺麗な音出したらあきません。文楽の重鎮の芸を見るのは今。それから先は我々が頑張る。
勘十郎さん&お園・操
テクニックややってることは変わらないけど涙紙(懐紙)の使い方に町女房と武家の妻のセオリーがあるので楽しんで見て欲しい。三業一体となって文楽を盛り上げたいが,中心は大夫さん。左遣いさんと足遣いさん,識別出来なかったので調査する(m_m)。

お気持ちの真っ直ぐさがにじみ出る文字久大夫さん,度胸のある清二郎さん,意外に軽いノリの勘十郎さんだった。
良い夕べを過ごさせて頂いたことに感謝するとともに,お正月に国立文楽劇場でまみえることが益々楽しみとなった。年内には,京都で仁左さまだ!
この催しの記事は,正月の日経新聞に掲載される予定である。

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コメント

>藤十郎さま
>文字久大夫・清二郎。普段は見ることのできないツーショットですね。
元々リズミカルでノリの良い段ですが,妙に一拍が均等でお歌をきいているような感じがしました。文字久大夫は音域も広いですし…。勘十郎兄さんに引っ張ってもろうてとおっしゃってました。
素浄瑠璃とお人形のデモみたいなかんじがしました。やっぱ本公演でないとあきません。

投稿: とみ | 2006年12月 1日 (金) 22時48分

このところ本公演では綱さんが酒屋を語ることが多いので、清二郎さんもしょっちゅう弾いていらっしゃる感じですね。
清二郎さんの右手とお顔がすぐに頭に浮かんできます。
文字久大夫・清二郎。普段は見ることのできないツーショットですね。

投稿: 藤十郎 | 2006年12月 1日 (金) 09時47分

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