今年はシラノの当たり年
今年は,国立劇場,緒方健さん主演で一人芝居「シラノ」,文学座で江守徹さん主演(一世一代)ほか意欲的な上演が続く。気になっていたが,YOMIURI ON LINEの記事でしっかり取り上げられていたので,懐かしさと見たさの虫が騒ぎ出した。
1991年上演時の島田正吾さんのお写真も掲載されている。1990年,フランス映画でジュラール・ドパルデュー氏主演の決定版もあった頃だ。1993年には,平幹二朗丈主演で,安土桃山時代に翻案,辻村寿三郎さんの衣装で上演された。
緒方さんは語る。
「2004年に島田先生が亡くなってから,『シラノ』はこのまま残るだろうが,『白野』が埋もれてしまうのは惜しいと思うようになった。今やらなければいつやるのか,おれがやらなければ誰がやるのかと考え,自分から企画を提案した。」
シャイな男が共感できる良い戯曲と,心意気ある男たちのベストマッチ。男性も劇場に足を運ぶべし。
戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」エドモン・ロスタン作。
17世紀のフランス。ガスコン青年隊のシラノ・ド・ベルジュラックは,豊かな詩才と武勇に優れた偉丈夫だったが,醜い鼻ゆえに従妹のロクサアヌへの恋心をじっと胸の奥に秘めていた。
ロクサアヌは,ガスコン青年隊士の美男子クリスチャンを想い,シラノに恋の相談をもちかける。クリスチャンもまた,ロクサアヌに想いを寄せていた。シラノは,口下手で文才のないクリスチャンに代わり恋文を代筆するが,それは真実の思いだった。ふたりの恋は実るが,ガスコン青年隊は最前線の戦場へ駆り出され,クリスチャンは無念の戦死を遂げる。恋を仮託する媒体のクリスチャンを失ったことで,シラノの恋も終わった。
それから15年。夫を失ったロクサアヌは修道院で暮らす。15年間,シラノは毎週土曜日ロクサアヌを訪ねていたが,その日は到着が遅れ,傷を負っている様子だった。
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