今更ながら「鬼一法眼三略巻」秀山祭九月大歌舞伎
染五郎丈の若衆姿は,引き締まったフェイスとスレンダーなプロポーションで徒者ではない少年の風情が漂う。と,考えていたら,エントリ書かなければと思い立つ(染五郎丈以外考えることないんかと突っ込みを入れられそうだが,否定はしない。)。
鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき・菊畑)
智恵内 実は鬼三太/幸四郎,虎蔵 実は牛若丸/染五郎
鬼一法眼/左團次,皆鶴姫/芝雀,笠原湛海/歌六
鬼一,鬼次郎,鬼三太という吉岡三兄弟が源平に分かたれての苦悩を描く,「鬼一法眼三略巻」は,四段目の「一条大蔵譚」が人気で,これはその三段目だ。繻子奴の智恵内,若衆の虎蔵,赤姫の皆鶴姫,鬼一首,端敵と丸本歌舞伎味溢れる浄瑠璃狂言である。
平家の世。幼い頃に生き別れとなった吉岡兄弟の長兄鬼一法眼と末弟の鬼三太は,平家に仕える兵法学者と,主君・牛若丸と共に兵法書を奪おうと潜入している奴という敵どおしとなっている。虎蔵と皆鶴姫は恋仲で,湛海が横恋慕というのもお約束。
やつし,巻物の奪い合い,もどり,主君の打擲,恋の馴れ初めに絡む恋敵と,名作のコラージュであれやこれや(?)あって絵面引っ張りの見得となり幕。
歌舞伎 |
ワタクシは,平成16年1月,大阪松竹座で,智恵内を吉右衛門丈,虎蔵を藤十郎丈,鬼一法眼を我當丈,皆鶴姫を芝雀丈,笠原湛海を歌昇丈という豪華キャストで一度拝見しただけなので超初心者である。
毎月が奮闘公演の芝雀丈の赤姫が,気品,健気,清純,一途…を全て兼ね備え満点。この後の九重もパーフェクトなので絶好調であられる。
幸四郎丈と吉右衛門の鬼次郎比較談義は,敢えてパスさせて頂いて(オイオイそれより大事な本題ないのと違う。(`´)ノ☆(((*;・)ゴメンナサイ),いよいよ本題の若衆拵えの染五郎!
染五郎丈は,女形でもそうだが,若衆も硬質で線の細い美形だ。腕の細さ,指の綺麗さ,肩の薄さ,肉の薄いフェイスライン,締まった足首とふくらはぎ,血管なんぞ絶対に浮かない引き締まった肌,これらをなくした者は若衆を断念すべし!
濃紫の衣装も決意が滲む表情を引き立てて素敵だが,片肌脱ぎの赤のコントラストとなってからの紅潮した風情も愛おしさをかきたてる。お声にもう少しまろやかさが出せればさらに…であろう。主従の見得は幸四郎丈に軍配を上げる。(とっつあんは背景か!)。
ふっくらした少年の風情を活かした若衆というのもあるのであろうが,これについては別エントリで…。続く…。
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コメント
>cocoさま
これぐらい書かないと,出雲,アテルイ,捨之介の刷り込み消えません。また,ときどき勝負どころを間違われて,引き立て役に回ってしまわれるところも好感持てます。
ノーブル,艶々のお肌,アグレッシブ,何と言っても松たか子さんの兄上ですから…。
投稿: とみ | 2006年10月17日 (火) 01時26分
とみさま。全開ですね!!
とうとう「愛おしさ」まで行きましたか・・・ 染五郎さんは美形であるのみならず、一度国立劇場楽屋の廊下で素のお顔を拝見したことがあります(藤舎の会で、紋付袴姿でした)。まだ高校生でいらっしゃいましたが、すでに「ノーブル」。男子なのにつやつや透明なお肌。生まれついての気品はそういう家に生まれたが故のものなのでしょうか。
今後も、それに甘んじないアグレッシブさをますます磨かれていかれるのでしょうね。
では、松竹座の記事も、楽しみにしておりますっ♪
投稿: coco | 2006年10月16日 (月) 23時55分