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2006年10月 6日 (金)

宝塚雪組公演「堕天使の涙」&「タランテラ!」

Cut_lilith_w_blue200 朝海ひかるさんと舞風りらさんのサヨナラとなる雪組公演も開幕から2週間を過ぎ,殆どのご贔屓さまは劇場に足を運ばれたことと思われる。気になるところがあって書きにくかったが,解決したのでエントリアップに踏み切る。

堕天使の涙 作・演出・植田景子
植田景子さんの作品は,凝りに凝った設定で,気配りが細やかで演技者に思いやりがある。対位や変奏を意識した音楽と振付,宗教画やアールヌーボー美術を引用した装置と衣装,バロック建築の室内を意識した照明と,芝居好きの泣き所のツボを抑えてくださる。観客の視座からの作品づくりには定評があり,今回の作品も期待に違わぬものである。

主人公は堕天使ルシファー。彼は,20世紀初頭のパリに,ニジンスキーと見紛う妖しく美しいダンサーとして舞い降りた。彼を主演とする新作バレエ「地獄の舞踏会」をめぐり,興行界では,振付家,作曲家,パトロン,新進舞踊手たちが,自らの名誉欲に翻弄され不幸を招き寄せる。ルシファーは手を汚さない。
神や人間を呪うルシファーは,行き倒れの盲目の街娼と出会う。その女リリス↑は,元バレリーナだった。苦難だけの人生を孤独に終えようとするリリスであったが,宿命を与え賜うた神や母も含め全てを許していた。天に召されるリリスと改心したルシファーは「光のパ・ド・ドゥ」を舞う。

石を抱かされても真実を吐かない薮下さんをして言わしめた「定石的で面白みに欠ける。」,「作劇的にちと弱い。」,「ルシファーが常にクールな傍観者である。」等の現実を受け入れるのに時間がかかってしまった。
首が飛んでも誉めてみせるワタクシも,脇筋に絡む障害者,女性,人種,職業,階級に係る蔑視と侮辱台詞の乱発や,主筋を貫く児童虐待と養育放棄の実演には,うろたえ者になった。舞風さんの出番や見せ場が短いという評判も聞く。
そんなこんなの全てを帳消しにするのが「光のパ・ド・ドゥ」。一度だけしかない主演コンビのデュエットダンスである。痩せさらばえた娼婦のヒロインは,最終の1曲だけ踊り,光に包まれ天上に昇る。堕天使を改心させるという設定を納得させる素晴らしい踊りである。
枠組みはキャッツ,リリスがグリザベラである。
リリスの双子の兄が振付家のジャン・ポール(水さん)。兄とは名前が対になっていないのは,リリスがルシファーの敵娼だからである。天界から地獄に堕とされたルシファーと,栄光から地上の煉獄に突き落とされたリリスは,神の悪意という同じ運命に流される恋人たちを寓意したものである。巡り合った二人は,ひとつ蓮(宗派がちゃう。)に舞い遊ぶ。
センセ!ハッピーエンドやんか!解決してみたら何でもなかった。やっぱり植田センセ!

タランテラ! 作・演出 荻田浩一
荻田さんは,美しいグラデーショナルな色調と連続間のある場面展開,ストーリー性のあるソング&ダンスで嘆美と退廃と再生を表現される気鋭のショー作家である。
「タランテラ!」は,蜘蛛の王が旅に出るが,そこは劇場という設定のショー。
劇場には,MC(音月さん)と少女(山科さん)がいる。朝海さん,舞風さん,水さんはダンスに専念し,歌は,矢代さん,美穂さん,未来さん,愛さんという上手が受け持つ。
装置の蜘蛛の巣,蝶を意識した衣装は,統一感に欠ける色調だが,テーマを考慮すれば極彩色が正解。歌詞もサヨナラ公演を意識して凝っている。定石の組み立てを度外視した場面の展開に大満足。それでも黒燕尾の群舞が一番だった。デュエットダンスは3回。

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コメント

>rikaさま
うれしい悩みですね。
植田センセがデビューなさったときは,この先30年,宝塚歌劇は安泰と胸をなでおろしました。しかし,向こう何年かは,ため息もののデュエットダンスのトップコンビは無いですよ。
御園座の絢爛豪華且つ東西のバランスのよい公演も気になりますね。
最終判断は立地でしょうか。

投稿: とみ | 2006年10月13日 (金) 20時08分

とみさん、こんにちは。

雪組公演、なぜか1週間公演期間を勘違いしていて、観に行く日が取れない・・・・・(T_T)。
その上、宝塚は多くは月曜日に観に行くのですが、今回はサヨナラなので月曜で観られる公演が1回少ないことをうっかりしていました。

>定石の組み立てを度外視した場面の展開・・・・・。黒燕尾の群舞・・・・・。デュエットダンス・・・・・。
う~~~ん・・・・・御園座を取るか宝塚にするか・・・・・困った(^^;

投稿: rika | 2006年10月13日 (金) 07時43分

>悠さま
天井からタイヤが降りてくるか,斜行エレベーターが来るかと思われましたが,デウス・エクス・マキナ抜き,ダンスだけの力業で閉められました。
それにつけても,20世紀初頭に改心してしまったルシファーはどうなってしまったのでしょう。

投稿: とみ | 2006年10月 6日 (金) 12時56分

「光のパ・ド・ドゥ」を舞、よかったですね。
舞風さん、瞬きせず、盲目の雰囲気でてましたし。
それと、男役で、おかまっぽいしぐさの人でてましたでしょ。彼女おもしろかったです、こんな脇役をつくるんだと、私。

投稿: 悠 | 2006年10月 6日 (金) 05時40分

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