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2006年10月10日 (火)

鹿鳴館 in Kyoto 千穐楽

10月9日(月),鹿鳴館・京都千穐楽を観劇した。
キャストは変更無し。いよいよ西征から折り返す。

楽日は影山朝子さんと清原永之輔さんの熱愛ぶりに尽きる。
三島さんは,二十年会わなかった熟年男女が,心の底から愛し合い信頼し合っていたという化け物が成せる業を,あたかも真実であるかのように言語で紡ぎ出す。

「母であることを忘れたころから,私はもう一度女になりました。浅ましいとお思いでしょうね。そのころから日毎に月毎に…。」ドカーン「えっ」,「月毎に年毎にだんだん深くお父様をお慕いして,忘れることができなくなりました。」
「あなたの髪,…この黒い髪,会わないでいた二十年の間というもの,夜の闇が夜毎に染めて,ますます黒く,ますます長く,ますますつややかになったこの髪…。」

対になっているこの台詞に,深まる愛が表現されている。こんな恥ずかしい台詞を真実として言えるのは宝塚歌劇では轟悠さん,劇団四季では広瀬明雄さん,歌舞伎では(獅子丸推薦の)中村吉右衛門丈であろう。お三方とも硬派である。逆説的であるが,武ばった益荒男ほど歯の浮くような甘い台詞が似合う。思い続けた甲斐があったと納得の格好良さ。広瀬さんは,志と高潔さが少年のように輝かせて…という三島さんの描写を絵姿として見せてくれる。
野村さんは,恋する女になっておられた分,生き生きと我が儘に自在に振る舞っておられた。朝子はこうでなくては…。
心配された日下さんは無難に演じておられたが,いぎたない亭主以上の存在ではないのでトライアングルの均衡が崩れ残念だ。

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演劇

田邊久雄さんが最後までご健闘されたのは申し上げるまでもない。
「お父様のほかの方をお慕いしたことはございません。それもお目にかからなくなってから層一層…。」を,野村さんが高らかにうたいあげられたので,暗殺の決心が一気に心が氷解したいいお顔を見せて頂いた。二幕の母をののしりながら讃える台詞も,母恋の真情が溢れていた。
その分,顕子役の岡本結花さんは,きっちり引いて,田邊さんを立てておられた。岡本さんはクレバーな女優さんだ。「お似合いよ。」,「素敵よ。」,「ご立派よ。」は健在。
いつ果てるともない長いカテコ。東京凱旋公演も成功をお祈りしたい。

この日のキャストは以下のとおり(敬称略)。
影山悠敏伯爵:日下武史,同夫人朝子:野村玲子,大徳寺侯爵夫人季子:末次美紗緒,その娘顕子:岡本結花,清原永之輔:広瀬明雄,その息久雄:田邊真也,飛田天骨:志村 要(劇団俳優座),女中頭草乃:中野今日子,宮村陸軍大将婦人則子:木村不時子,坂崎男爵夫人定子:大橋伸予
華族/写真師/給仕/職人:太田泰信,川原信弘,岡本繁治,岡本繁治,長谷川浩司,小出敏英,高林幸兵,鳥畑洋人(劇団昴),緒方愛香(劇団昴),青羽 剛,丸山憲史,勅使河原武志,田島雅彦
華族:岡本和子,林 浩代,藤井智子,寺嶋あゆみ,大西利江子,深沢未可子

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コメント

>みかん星人さま
確かに東京では三島の言語の吊人形のようだった皆様が,自在に呼吸しておられました。狭苦しい部屋から解き放たれ,広い外で空気を一杯吸えるようでした(爆)。愛が息苦しいとは嘘ですね。
黒髪の台詞で,涙どぼどぼになりました。ツレは客席でメルトダウンしてました。本来の自分でいられる時間の短さが切ないです。しかし,そのわずかな時間は,息苦しい相手と過ごす長い長い時間に比べていとも簡単に勝利します。メロドラマはこうでなくては!
獅子丸の仮想キャスティングで来年の秀山祭で拝見したいものです。

投稿: とみ | 2006年10月11日 (水) 21時01分

こんにちは。
やはり千穐楽にいらしたのですね。。。ああ・・・(謎)

「恋する朝子」、、、まさに「御意」ですね。
東京ではなかなか羽ばたけなかった「一幕二場」の朝子ですが、
久しぶりに観た京都では流麗に羽ばたいていました。
あれでこそ「黒髪」のキーワードが光るのです。

私は、こうして羽ばたく朝子を観て、
納得し、悲しくなり、身につまされたからか・・・
最後の伯爵に妙にシンクロしてしまいまして、
伯爵の「愛情の問題」という言葉が胸に刺さりました。
幾つになっても、男は弱いものです(笑)
TB失礼致します(^o^)

投稿: みかん星人 | 2006年10月11日 (水) 18時29分

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受信: 2006年10月11日 (水) 18時29分

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受信: 2006年10月19日 (木) 16時56分

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