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2006年8月 1日 (火)

瓜生山歌舞伎・市川亀治郎の挑戦(浄書)

7月30日(日),ポスト・パフォーマンストーク付きの中日に観劇した。
YOMIURIONLINEにお顔写真入りで掲載されている。
奥州安達原・袖萩祭文の場
近松半二他作,石川耕士補綴,美術 金井俊一郎,照明 水野勉,竹本葵太夫,鶴澤慎治
安倍貞任&貞任妻袖萩・市川亀治郎
平傔仗直方 市川段四郎,直方妻浜夕 坂東竹三郎,娘お君・下田澪夏,安倍宗任・中村亀鶴・片岡愛之助
松廼羽衣
演出・市川亀治郎,振付・藤間勘吉郎,美術・松村隆敏,照明・水野勉
天女・市川亀治郎,伯龍・片岡愛之助
ポスト・パフォーマンス・トーク
市川亀治郎,片岡愛之助,竹本葵太夫,田口章子教授

演目及び会場の選定,演出,美術,キャスティング,演奏,筋書,ご本人も含めて,何もかも亀治郎丈の拘りの傑物と逸品揃えの贅沢な公演であった。こんなに楽しませて頂いて良いのかと申し上げたくなる凝りに凝った趣向。歌舞伎をエンタテイメントにするためのここがもう少しというところに全て亀治郎丈の視点が盛り込まれている。
人気狂言ながら,高い技術を要するため,役者さんが揃わないと演じられていない奥州安達原。この難役主人公夫婦二役を演じるというところで勝負あである。

参考 1999年12月歌舞伎座 20世紀のベストキャスト
安倍貞任妻 袖萩/桂中納言教氏 実は 安倍貞任:市川猿之助
平直方:片岡芦燕
妻浜夕:中村東蔵
外ヶ浜南兵衛 実は 安倍宗任:市川段四郎
八幡太郎源義家:中村梅玉

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歌舞伎

Singen_1 源平に引き裂かれた直方の家族の苦悩を中心に据え,滅び行く平氏に加担し,源氏に一矢を報いようとする安倍一族の華麗且つ果敢な挑戦は,そのまま亀治郎丈の生き様に重なる。
盲目の角付け女芸人,変装したお公家,きらびやかな勇将と全部,視覚的にも物語としても観客を納得させられる希有な役者さんだ。
また,この役のための21世紀当代ベストキャストに客演願っているので,お芝居がヴィヴィッドだ。苦悩の果てに白梅を紅梅に染め果てる直方に父君の段四郎丈。不遇の娘と哀れな孫娘に情けをかけたくとも耐えなければならない優しい母・浜夕に竹三郎丈。子役のお嬢さんが健気で美しい。弟宗任役の亀鶴丈は,弟らしく元気いっぱい。源氏の大将八幡太郎義家役の愛之助丈はおっとりと上品。
客席には梅原猛氏のお姿も…。
松廼羽衣は,大胆な演出と振付。伯龍さんは,ぼーと見ていないで天女と絡む。天女は本当に宙を飛ぶ。松も飛ぶ。雲も沸く。長唄も流麗で哀切。エキサイティングだ。
ポスト・パフォーマンストークでは,黒のスーツに椅子がけ。
拘りの加筆の解説などもあり,お芝居,舞踊及び口上のフルコース。
東京では羽衣ではなく,鏡獅子に近い天下る傾城とか。
短い公演期間がもったいない凄い公演であった。

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歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

>水無月さま
ようこそ雑食の拙宅へ。ご覧頂きありがとうございます。
瓜生山が,水無月さまと共通で,盛り上がったエントリでしたので見本にさせていただきました。
実は,七月歌舞伎座関連は多くの方にご覧頂きました。コメント並びにトラバ大歓迎でございます。
奥州安達原,もう一度お江戸であるようですね。お名残に駆け付けたいところですが思うにまかせられません。よろしくお願いいたします。

投稿: とみ | 2006年8月26日 (土) 18時54分

とみさん、こんにちは。
先日はコメント&TBありがとうございました。

「感謝と愛とエスプリを込めて簡潔を」ととみさんはおっしゃってましたが、まさにそのとおりで、極めて簡潔な文章の中に見事に「感謝と愛とエスプリ」がぎゅっと詰まっていますね。
こんな感想の書き方もあるんだなーと、感心を越えて感動を覚えました。
これからもお邪魔させていただきますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

P.S.こちらの金魚の方が透明感があって、涼しげですね。

投稿: 水無月 | 2006年8月26日 (土) 18時11分

>白桃桜さま
お立ち寄り頂きありがとうございます。
クレバー過ぎて着いて行けなさそうになるトークでしたが観客の我慢して見ているけど実は…という核心を突いておられました。多くを語っておられましたので,踏まえてご観劇されるとより深くなるかと思われます。
おそらく丈のことですからあっと驚かせて頂けるに違いありません。レポ楽しみにしております。

投稿: とみ | 2006年8月 3日 (木) 23時29分

私もポストパフォーマンストークがある日に、友達と瓜生山歌舞伎観劇に行ってきました。

トークでは、亀治郎さんのトークが冴えてましたね。物語で感動してほしい…まさしく、あださんでは友達共々物語りに感動してしまいました。

松廼羽衣も、羽衣のやり取りを入れる事で、物語を感じてしまいました。

東京の亀治郎の会も中日ですが行って来ます。トークで聞いたことを踏まえて、東京のあださんを深く感じながら観劇したいと思いました。

天下傾城も楽しみにしています。

投稿: 白桃桜 | 2006年8月 3日 (木) 22時57分

>つどいさま
Blog Petの獅子丸が「行き暮れて自害したる幹二朗」と俳句読んだときは,猫ごとゴミ箱行きを考えましたが,しばらくは只の駄作なのでおいております。
お目にとまりましたか。ライオンのように吼えるのは存じておりましたが,ミャウともなくのですね。
雲霧丸は,キャッツのマジシャン・寡黙な黒猫「ミストフェリーズ」の和名です。
歌舞伎役者の市川亀治郎丈は,大の劇団四季のご贔屓。いつか,歌舞伎でキャッツをかけられる日を楽しみに,キャッツの登場猫の和名を勝手につけております。(グロールタイガー=長尾輝虎(上杉謙信の元の名))

投稿: とみ | 2006年8月 3日 (木) 20時32分

>スキップさま
地獄ごくらく,悲喜こもごも,禍福は糾える縄のごとし。応援しながら,いつも拝見しています。
観劇に何を求めるか悩ましいところですが,亀治郎丈はきっぱりと,(今は)物語に感動していただきたいと仰いました。
歌舞伎なら,へんてこな人物像,冗長な物語展開,共感の得られない価値観など何でも許してもらえるのにこだわる。それが丈なのでしょう。かっこええ。
この志の高さで魅力を支える危うさを,来年はテレビ映像で楽しませて頂きましょう。
さいごに,世事により見逃したのは自責にあらず。しょーもないもの見た後,情報収集能力不足と自己嫌悪にうなだれるよりマシですぞえ。

投稿: とみ | 2006年8月 3日 (木) 20時17分

いつから登場したのか,気づきませんでしたが黒猫・雲霧丸が良いですね.
先ほどもポインターを手で押さえてくれました.
ついでに鳴き声も聞かせてくれたので,にこにこしています.

本来と話題と異なり申し訳ございませんでした.

投稿: つどい | 2006年8月 3日 (木) 10時29分

とみさま
「瓜生山歌舞伎」-皆さまの観劇記を読むにつけ、“見逃した”後悔は深まるばかり。
映像の記録や再演というラッキーはあっても、その時その場の同じものは2度と観ることができないのがライブの宿命。
たとえ明日この世を去ることがあっても悔いの残らぬよう、『観たいものは必ず観る!』と改めて肝に銘じた次第です。(んな、大そうな。)

投稿: スキップ | 2006年8月 3日 (木) 01時40分

>かいちょさま
亀治郎用語を炸裂させておられました。
盆と正月は上方がエライことになりますが,お江戸は毎月がエライこと。プライオリティと取捨選択は必要かと存じます。
追っ掛けあこがれます。行く末を見届けられない方の追っかけは寿命的に無理ですので,可能そうな(失礼)御方のみ追っ掛けております。

投稿: とみ | 2006年8月 2日 (水) 23時51分

とみさま
これを読んで、今回もまたいくことができなかったことを「あぁもったいなかった」と思いました。(鏡花祭りと同じ月というのが厳しかったです。)
ポスト・パフォーマンス・トークの顔ぶれもすばらしい。まじめで熱く いいお話が聞けそうですね。


投稿: かいちょ | 2006年8月 2日 (水) 23時31分

>mayaribeさま
はじめまして。ようこそ拙宅に…。ごらんのとおりの涙脆い婆の繰り言風ブログでございますが,舞台にかかわる全ての方に感謝の気持ちを忘れたことはございません。
知的センス溢れる貴宅にお邪魔させて頂き,学習続けたいと存じます。
思い違いであってもおそらく亀治郎丈は天翔る傾城であられましょう。詳報お待ちしております。せつにせつに…。

投稿: とみ | 2006年8月 2日 (水) 22時59分

>rikaさま
大階段でぜーぜーゆーてます風知草にようこそ。末永くお見捨てなきよう,よろしくお願いいたします。
よかった~。天翔る傾城と思っておりましたのがワタクシだけでなくて…。
亀治郎丈の自由な心に打たれました。見る側も,「面白くなかったら見ないぞ。」というくらいの気合いを入れ,対決の気持ちで観劇したいものです。

投稿: とみ | 2006年8月 2日 (水) 22時53分

とみさま

先日はご来訪いただきまして有難うございました。こちらをお気に入り登録させていただいてもよろしいでしょうか?

ところで、亀治郎の会、東京・国立小劇場に行って参ります。
亀治郎さんには勿論期待大!なのですが、東京も金井俊一郎さんの美術かしら。音は耳を奪ってくれるかしら。
生のお芝居は演者だけでなく、舞台裏の方にまで気を奪われて、困ってしまいます…♪

投稿: mayaribe | 2006年8月 2日 (水) 18時46分

とみさん、こんにちは。

「松廼羽衣」、本当に素敵でした。
出来ればもう1回観てみたいです。
そのためなら大階段も登ります。

>天女は本当に宙を飛ぶ。松も飛ぶ。雲も沸く。
長唄も流麗で哀切。エキサイティングだ。

まさにその通り!!

私も「天翔る傾城」と思ってました・・・(^^;

投稿: rika | 2006年8月 2日 (水) 16時51分

>恵美さま
次はどこにどんな形で出没なさるか,期待されます。続けるという義務感とは無縁のお方。目が離せません。
お江戸では傾城と獅子の毛振りとか。お江戸の皆様のご報告を楽しみにしましょう。天下る傾城でなく天翔る傾城と勘違いしてました。
また,恵美さまの静岡レポ,お待ち申しあげます。

投稿: とみ | 2006年8月 2日 (水) 12時56分

観たか?!亀治郎を!瓜生山歌舞伎を!
と後にも語らせていただけそうな代物でした。
トークも内容濃かったですね。
葵太夫のアイディアが実現していただけることと(これは近年中に)、
亀治郎の会と若衆歌舞伎の共同公演の実現が
(こ、これはいつやれるねん!)、楽しみです。

投稿: 恵美 | 2006年8月 2日 (水) 01時21分

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» 『瓜生山歌舞伎〜市川亀治郎の挑戦』 [☆ハヌルのそんな感じやねん☆]
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このくそ暑い時期に春秋座のあの階段は昇りたくないわーー(-_-;)……って、元々オットも私も都合が悪くて瓜生山は観れず、国立だけで我慢するつもりでした。が、7/24の休日が職場の都合で7/31に変更になったので、早速ぴあでぽちっと……もちろんオットには秘密です(笑) ホントは、7/30の公演終了後のポストパフォーマンス・トークを聴きたかったんだけどね。 タナボタ観劇なので贅沢言ってられません{/face_nika/} トーク... [続きを読む]

受信: 2006年8月26日 (土) 17時58分

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