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2006年7月27日 (木)

文楽夏休み特別公演第3部夫婦善哉

1162_4 23日夜の鑑賞。
国立文楽劇場の夏は3部制で,夜は社会人のための文楽教室。開演も夜7時だ。今年は初演から50周年という記念の年にあたる織田作之助原作,石濱恒夫脚色の「夫婦善哉」。無念なことに作曲の野澤喜左衛門さんはこの6月18日に,60代の若さでご逝去された。心よりご冥福をお祈りする。
解説 おおさかの人びとそして文楽
竹本文字久太夫,演出家・竹本浩三
大正から昭和にかけての風俗を活写した大阪を代表する大衆作家・織田作之助とその時代をお二人が自在に語る。織田作没後60年,石濱三回忌の追善興行でもある。新作といえども,大阪大空襲で消失した大阪中心市街地の風俗と文化は,今の大阪人にとっては古典に等しい。失われた言葉,生活習慣など単なるノスタルジーに終わらせず,世界文化遺産文楽と共に大阪の心を次世代に継承しなければならないと熱い思いがほとばしる。
夫婦善哉
北新地曾根崎茶屋染太郎の段
上塩町がたろ横町一銭天婦羅天たねの段
高津日本橋筋黒門市場裏二階間借りの段
下寺町電停前カフェーサロン蝶柳の段
千日前法善寺横町めおとぜんざいの段
柳吉 桐竹勘十郎
蝶子 吉田和生
種吉 吉田玉女
金八 吉田勘弥
豊竹嶋太夫 鶴澤清介

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文楽

Nec_0271Nec_0270_1映画や舞台に幾度とかかり,つい先頃も藤山直美さんと沢田研二さんの上方ペアで上演されている。
義太夫の歌詞は現代語の大阪弁。元来義太夫は大阪の方言を音曲にしたものであるので,しっくりはまる。当時の流行歌の道頓堀行進曲も挿入歌になっているが,メロディーラインが大阪言葉のアクセントとなっているので違和感がない。義太夫は,大阪の大阪人による大阪人のための芸能であることを否応なく知らされる。
エンタテイメントとしての文楽の全盛は短く,その人気を歌舞伎に明け渡し,演目も歌舞伎に院本ものとして譲ったかの感があったが,義太夫は,大阪の旦那衆のたしなみとして継承され,夫婦善哉の時代には確かに息づいていた。

柳吉が「下手な義太夫」をうなりながら,蝶子の待つ借家へ戻るくだりのそれが爆笑もの。嶋大夫の道頓堀行進曲も必聴。装置,人形,衣装全て凝った仕掛けで飽きさせない。人形ならではの凄まじいアクションの夫婦喧嘩,食べると減る氷イチゴ,飲むと減るハイボール,ほんまもんの線香の煙など遊び心溢れる舞台だ。文楽万歳である。
そういえば,大阪弁のJポップもある。古い人間のワタクシは「悲しい色やねん」くらいまでしか記憶をたどれないが,おまえがすきやねん一緒になりたいねんとシャウトする曲があった。大阪のメロディーラインは,大阪人のDNAの糸を爪弾く。

P.S.事前に立ち寄った法善寺さんでは,家族の幸福を願う方々,添い遂げようと誓う様々な国籍,年代のカップルを見かけた。大阪のまちの懐は深い。ほろっと後ろから共に幸福を祈っていた老女方の首に似た者はワタクシである。

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コメント

>かしまし娘さま
新作義太夫はええもんです。大阪弁限定というのが新しい作品の可能性を狭めているのかもしれません。関西圏にまで広げるとかなり違ってきます。また,楽しいアイデアお聞かせ下さい。

投稿: とみ | 2006年8月12日 (土) 01時26分

とみ様、まいど!
字幕スーパーは、ノーサンキューな現代言葉でしたね!大夫さん達にもきっと苦労がおありでしょうが、楽しかった~。

投稿: かしまし娘 | 2006年8月11日 (金) 16時27分

>ホンマもんの大阪人のスキップさま
お返事遅くなりました。(m_m)。
さて,夏祭浪花鑑は残念であられました。無念お察し申し上げます。
義太夫と大阪の関係がよう分かる舞台でした。沢田研二さんも下手な義太夫(?)をよい声で歌っておられました。

投稿: とみ | 2006年8月 8日 (火) 00時18分

とみさま

「夫婦善哉」は物語もさることながら、大阪で育ってミナミで遊んできた私にとっては、郷愁をそそる舞台でもありました。
私は小林薫さんの柳吉が好きでした(蝶子は田中裕子さんだったかな?)が、藤山直美さんとは確か勘九郎時代の勘三郎さんもこのお芝居を共演していらっしゃいましたね。


投稿: スキップ | 2006年8月 7日 (月) 00時01分

>藤十郎さま
初演から50年,演出も進化し,おかし味を大切にしておられるとか。
あ……。センセ。もしかしたら,もしかしたらですよ。文楽がたどった三百年前の運命がこの夫婦善哉でも起こっているのではないでしょうか。
当代は,藤山直美さんと沢田研二さんという強力すぎるライバルがおられます。
いろいろ考え出したらきりありませんが,次世代に継承せんならんときっぱりおっしゃった,文字久大夫さんカッコよかったし応援します。

投稿: とみ | 2006年7月29日 (土) 00時45分

いやぁ、「見たい」という気持ちをそそられるおとみさんの批評、素敵です。
道頓堀行進曲は出だしの「赤い灯」の「あかい」がきちんと大阪イントネーションで作曲されているのがいいですね。あれだけでもう成功です。
私は「ほんまもん」の大阪人ではないだけに、大阪人がうらやましくなるような演目です。
演出がかなりこみいってきているのですが、人形本位、芝居本位になっていて、そこに評価の分かれ目がありそうな気はします。
そのあたりも指摘しながら、さらに次の演出では魅力あるものになって欲しいと願います。なんといってもまだまだ繰り返し上演される作品でしょうから。

投稿: 藤十郎 | 2006年7月28日 (金) 09時42分

>cocoさま
仮名手本忠臣蔵が待たれます。ぜひ通しで…。お軽ちゃんのちらし(しつこい!(爆))
夫婦善哉。全ての事象が国立文楽劇場から一駅以内に収まるようです。ローカルや。ロビーのBGM,う~るわしの思い出,モンパリ,我がパリという曲が流れてました。タイトルわっかりません。
そう言えば新橋演舞場で藤山直美さんと沢田研二さんの桂春団次が上演されるとか。これも文楽でイケそうですね。

投稿: とみ | 2006年7月28日 (金) 00時47分

怒涛の23日、おつかれさまでした・・・ それにしても、本当に文楽劇場へ駆けつけたいです。大江山も、夏祭も、連獅子も、夫婦善哉も見たい、見たいです・・・(ため息)観劇記を拝見して、気持ちを静めておるここ数日です。

投稿: coco | 2006年7月27日 (木) 22時36分

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» 鞭瓜�ー乃錣里茲Δ福\磴�澆� [地獄ごくらくdiary]
舞台上に雪の降りしきるラストシーン  場面は鞭瓜�絣殄堝安坐亜)槓�里��瓩旅瓩蠅�困γ罅◆屬�个呂鵝⇒蠅蠅砲靴討泙辰察廚帆蟾膸韻粘鵑蠹困μ�箸板鎧辧�泙気飽貮�粒┐里茲Δ僻�靴ぞ賁未任靴拭+ 8月4日 国立文楽劇場‘休み特別公演 「夫婦善哉」 写真は公演に..... [続きを読む]

受信: 2006年8月 6日 (日) 23時41分

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受信: 2006年8月11日 (金) 16時25分

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