坂田藤十郎襲名披露興行七月大歌舞伎 昼の部
坂田藤十郎襲名披露七月大歌舞伎昼の部を23日(日)観劇した。
信州川中島輝虎配膳
三国志演義を本歌とする近松門左衛門の時代浄瑠璃で,傾城反魂香と対を成すストーリー展開。
長尾輝虎(我當丈)は,武田の名軍師山本勘助を召し抱えようと,勘助の母越路(竹三郎丈)と嫁お勝(秀太郎丈)を,勘助の妹唐衣(孝太郎丈)と婿直江(進之介丈)をつてに屋敷に招き饗応するが…。
老母の気丈さと,吃音のお勝が琴を弾きながら語る真情が見所。短気な輝虎は愛すべきキャラクターで,直江は清廉で冷静。上方若衆の近従が眼福。幕開けを飾るに相応しく上方歌舞伎の実力を見せつけるさわやかな舞台。お膳蹴飛ばす竹三郎丈のばー様がカッコよい。
連獅子
成駒屋の連獅子。祖父(藤十郎丈)とお孫さん(壱太郎丈)で舞って話題となったが,今回は父子。仔獅子は15歳。小顔にこぼれ落ちそうな大きな瞳。勢いは誰にも止められない。親獅子(翫雀丈)も情愛溢れて素敵だった。間狂言はおかし味のある修験者(愛之助丈)。
しかし,松羽目睡魔症候群の発作は避けることが出来なかった。
口上
藤十郎丈,翫雀丈,壱太郎丈の三代が列座。京屋さんが出られるだけで目出度さ一杯。菊五郎丈の話題性は健在。
実は客席には藤十郎丈が最も恐れる御方が…。
夏祭浪花鑑
襲名披露興行で初役の団七九郎兵衛を演じる藤十郎丈の意気軒昂が話題となっている。
意気地と張りに溢れる藤十郎丈の団七,粋で華やかな仁左衛門丈の徳兵衛,すっきり程の良い時蔵丈のお梶,年増の色香咲き誇る菊五郎丈のお辰,面倒見の良い我當丈の釣船三婦,息のあった女房ぶりが冴える竹三郎丈のおつぎ,見るからに因業爺な段四郎丈の義平次。
豪華共演陣の個人技が光る夏祭浪花鑑である。ご当地の小屋でかける歌舞伎なら,浪花の侠客の立てんならん意地は説明不要。トータルのドラマ性に拘るより,一癖も二癖もある浪花男と女のアラカルト・今回のような座組がよいとワタクシは確信する。
続いて国立文楽劇場で夏祭浪花鑑のリプライズ。続く…。
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» 坂田藤十郎襲名披露 七月大歌舞伎 昼の部 [地獄ごくらくdiary]
順番が逆になりましたが、今週は坂田藤十郎襲名披露公演 昼の部を観劇しました。 7月15日 昼の部 大阪松竹座 5列下手寄り 幕開きは「信州川中島 輝虎配膳」 長尾輝虎こと上杉謙信が武田信玄の軍師山本勘助を味方につけるためその老母越路を接待し自ら料理の膳を運んだの..... [続きを読む]
受信: 2006年7月25日 (火) 00時43分
» 中村鴈治郎改め坂田藤十郎襲名披露七月大歌舞伎 昼の部 [歌舞伎入門]
大阪松竹座 中村鴈治郎改め坂田藤十郎襲名披露七月大歌舞伎 昼の部に行ってきました。
藤十郎さんの襲名披露は去年の京都南座の顔見世以来2回目です。
一、 信州川中島輝虎配膳
長尾輝虎 我當
直江山城守 進之介
勘助母越路 竹三郎
唐衣 孝太郎
勘助妻お勝 秀太郎
『近松門左衛門の時代浄瑠璃で、越後の長尾輝虎(上杉謙信)と甲斐の武田信玄の争いを描いた『信州川中島』の三段目にあたります。... [続きを読む]
受信: 2006年7月25日 (火) 08時21分
» 坂田藤十郎襲名披露『七月大歌舞伎』 其の弐…昼の部 [花餅屋廼徒然書附帖]
大阪松竹座の前に来る…結構の人だかり…暑いのに、ご苦労様です。
暑い中…相変わらずお着物のご婦人方が多い…。
タクシーが走って来る…此の前は通行止めになっているのに、何処から走ってきたのか?
道頓堀筋を、「かに道楽」の方から松竹座の前を通り過ぎて、御堂筋に出る手前の「はり重」の前で停車…お着物姿のご婦人…髪もアップにされて…でも、どうやって此の道に入ってきたのか?わからない?
そんな事は…いいとして、劇場はもう開場し�... [続きを読む]
受信: 2006年7月27日 (木) 00時49分
» 七月大歌舞伎 松竹座昼の部 7/9 [楽しい☆おいしい☆うれしい☆Happy]
一夜明けて9日日曜日、昼の部です。劇場前に『祇園町御一行様』と案内が出ています。 [続きを読む]
受信: 2006年7月27日 (木) 22時46分
» 「七月大歌舞伎」@松竹座 昼の部 [rikaのいろいろ。]
7月26日に松竹座で「坂田藤十郎襲名披露 7月大歌舞伎」千穐楽を観てきました。
昼の部はこの日と6日の2回観劇。2階席と3階席という夜の部に比べるとちょっとゆったりした観劇でした。
以下感想ですが、前に「一言感想」
を書いていますのでそれと重なるところもあります。... [続きを読む]
受信: 2006年7月29日 (土) 08時53分
» 七月大歌舞伎 松竹座・昼の部 箇条書き感想 [よんたん 期間限定プー生活日記]
こんにちは。
こちらの梅雨明けは まだ先のようです。
お布団干したい(;_;)
さて、以下先日拝見した 大阪・松竹座での観劇レポです。
いつものよ~に幕が開~き~~♪ ・・・・じゃなくて (ヲイ)
箇条書き。 あらすじナシ。
*****************... [続きを読む]
受信: 2006年7月29日 (土) 19時12分
» 七月大歌舞伎(松竹座) 昼の部 [achaccoあしあと]
7/26 千穐楽観劇
◇3階3列目・下手寄りで観劇
花道は8・2くらいまで見えます。7・3の位置だと少し見切れる感じ。
キチント花道の見どころも見たいなら、3階席でも5列目(最後列)の方が良いかもしれません。
「輝虎配膳」
ごめんなさい・・・移動の疲れで、朝イチから目を閉じてしまいました(謝)
後半、輝虎が出てきて盛り上がる場面から、何とか意識も戻りましたが(苦笑)それでもボーっと観てしまったので勿体無かったです。
去年6月の梅玉さんの輝虎が記憶に新しいですが、比較すると我... [続きを読む]
受信: 2006年8月 2日 (水) 10時15分
コメント
>achaccoさま
はじめまして。ご覧のとおり,上方でしがねえぬるめのブログやってます。夏の大阪という風土と一緒にお楽しみいただけたようですね。東京は涼しいです。
いつまでも心に残る華やかな公演でした。青春は,より美しいものに向かって前進を続けることということですね。同年代の役者さんの奮闘にしゃきっと背が伸びました。
投稿: とみ | 2006年8月 2日 (水) 21時55分
おとみ様、はじめまして。何度かTBいただいたり、こっそりお邪魔させていただいておりましたが、ご挨拶が遅くなりまして申し訳ございません。achaccoと申します。
7月の松竹座はどれも見応えたっぷりの演目ばかりでしたね。
最後まで駄々をこねて(笑)大阪行きを強行して良かった、と大満足です。
千穐楽から1週間経ちましたが、漸く感想を仕上げましたので拙文ではございますが昼夜TBさせていただきました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
投稿: achacco | 2006年8月 2日 (水) 10時25分
>よんたんさま
浪花の客席はいかがでした。浪花女vs.博多女対決,楽しく読ませて頂きました。ご母堂さまの涙腺ポイントはあまり突っ込まないことをお勧めします。実はワタクシも,いきなりドラマを読み込んでほろほろっとなることございます。浪花鑑は見えていない物語の階層深いです。
激突する演劇的リアリティには至りませんでしたが,歌舞伎味こってりの良い公演でしたね。
投稿: とみ | 2006年7月30日 (日) 02時16分
とみ様、こんばんは。
さて、遅ればせながら松竹座昼・夜の感想をUP致しました。
相変わらずの焦点の定まらぬ駄文ではございますが、
是非TBさせて下さいませ。
今回の大阪遠征、一番の目的は仁左衛門丈ではあったものの、
最大の収穫は「夏祭浪花鑑」を今まで毛嫌いしていたことを すっかり払拭出来たことでした♪
投稿: よんたん | 2006年7月29日 (土) 19時11分
>太夫元さま
コメントありがとうございます。一つ一つのエントリに心を込めているつもりですが,ディティールを見切る目がおません。
細かいところまで見きり楽しみきる太夫元さまの姿勢を応援させていただいとります。
投稿: とみ | 2006年7月29日 (土) 01時03分
おとみさま…毎度御贔屓に預かります。
私もやっとのことで今月のお芝居を観に行ってまいりました…。
でも、なかなかレポが進みません(汗)
事後報告ながら…トラックバックさせて頂きました♪
あぁ、月日の経つのは速い…頑張ってお芝居の余韻が記憶の彼方に行ってしまわないうちに…(汗)
投稿: 花餅屋の太夫元 | 2006年7月28日 (金) 01時51分
>cocoさま
>仁左丈の出番の長さはともかくとして
いやいや大事なことです。
何と言っても東京では歌舞伎が毎月一座以上は上演されてますから,歌舞伎の選り好みは当然のことです。
終盤は暑さが増した大阪の七月公演。ご無事で何よりでした。
投稿: とみ | 2006年7月28日 (金) 00時30分
TBありがとうございました(^^)
仁左丈の出番の長さはともかくとして、お芝居の変遷を見るなら昼の部をもう一度見たい・・・とも思っていたのですがかないませんでした。ともあれ、皆様ご無事に千穐楽を迎えてくださったのが何よりと思っております。
投稿: coco | 2006年7月27日 (木) 22時40分
>スキップさま
ロビーでサインしておられました。パワフルでお美しい!
まだまだ続く襲名披露。ご家族の絆でますますの繁栄をお祈りいたします。
投稿: とみ | 2006年7月25日 (火) 13時06分
とみさま
道頓堀の芝居小屋で打つ興行にふさわしい「夏祭浪花鑑」でしたね。“途方にくれたような表情で舅を殺す場面は人生の痛みに満ちている”と某新聞評にありましたが、そこまで見切れなかった観察眼を恥じ入り、再見を願っております次第です。
藤十郎さんの恐れる御方は私が観た日にもいらしてました。恐れながらも絆は強し、ですね。
続きを楽しみにしています。(私も文楽劇場日曜日のチケット取っていたのですが、諸事情により行けなくなりそう・泣)。
投稿: スキップ | 2006年7月25日 (火) 01時03分