« サントリーミュージアム天保山でシャガールを…。 | トップページ | DEATH NOTE(前編) »

2006年6月18日 (日)

大阪市民歌舞伎(浄書)

20060323_pic01_1 歌舞伎鑑賞教室は,今年で31回目。十三世片岡仁左衛門丈が晩年,力を注いでこられた取り組みで,これまで延べ百五十万人の参加を得ているとか。6月3日に岸和田市で開幕し,19日の吹田市が楽となる。
プログラム及び配役は以下のとおり(敬称略)
一、歌舞伎へのご招待 進之介
二、鳴神 一幕
 鳴神上人 我當
 所化白雲坊 當十郎
 所化黒雲坊 千次郎or佑次郎
 所化 當史弥,當吉郎,純弥,雁五郎,雁秀,當次郎
 雲の絶間姫 吉弥
 後見 比奈三,和之介
B5変形の綺麗なパンフレットには,なんと上演台本が\(^O^)/…。
客席には中高生の姿はなく,様々なジェネレーションで満席。

進之介丈の解説は,定番の太鼓による効果音の解説と,観客と楽しむ立ち回り。指南役はすっきり優しげな純弥丈と若さと覇気あふれる當吉郎丈。それぞれ,女方と立役の走りと見得を実演のあと,お客さんに教えておられた。それぞれのお歳を紹介され,若い方には同年代のお兄ちゃんが頑張っていると,中高年の方はわー若い可愛いと思って下さいトナ。純弥丈は南座で拝見したときより,形がぴたっと決まっておられた。
進之助丈は気負わず飄々とした語り。
いよいよ,鳴神!!!
会場は500席程度で,椅子は非固定席。花道は無く,客席下手通路を花道に見立て,吉弥丈の雲の絶間姫の登場。
浪花のばーちゃんSのあからさまなどよめき。やっぱり吉弥さんは綺麗や〜。吉弥さんはええ。きれ〜〜〜。タイミングお構いなしの五月雨的な美吉屋!!!ここはホームやから,何でもあり。
ワタクシは,3列目花外の通路寄りの席を,さしたる努力なしに確保していたが,至近距離(80㎝程度),同一レベル。
確か花道七三で,本舞台とのやりとりがあるはずと思ううちに,後見さんが高椅子を持ってこられる(ギョエー)。お声も意志的で朗々としておられ,こんな近くでお声を聞いて良いのかととまどう。
我當丈の上人は,大人で高徳のはずがイチコロというところが楽しさ一杯。良い人柄という役作り。
吉弥丈は,何より知的,端正,上品。きらーんと光る鋭いまなざしが有能なスナイパーといったところ。観客の心を掴みながら,下世話なウケ狙いに絶対走らないところが,マイベスト雲の絶間姫に近い。
死角があるとすれば,容姿の若々しさ美しさと精緻な演技がミスマッチのため,応援しなくてはという母心をくすぐらないところかもしれない。
所家さんたちはひたむきな熱演。これも通路を走られる。眼福*眼福
雲の絶間姫がミッションを完遂したためか,滝のような土砂降りとなっていた。

にほんブログ村 トラックバックテーマ 歌舞伎へ
歌舞伎

|

« サントリーミュージアム天保山でシャガールを…。 | トップページ | DEATH NOTE(前編) »

歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

>ハヌルさま
>行動範囲内,お手頃価格
>最寄り駅にもポスター
>31回も催されている
ご縁がないときはそんなもの。必要な情報ではなかったということでしょう。
観劇の楽しさは,数や勉強じゃありません!見た後,どう生きるかがモンダイ。影響&洗脳されやすいのでいけません。はまったときが見時。ご健闘を祈ります。
先週日曜の夜は,BS1深夜劇場・蜷川演出,成宮主演の間違いの喜劇を見逃して,サッカー見てました。無念じゃ~。

投稿: とみ | 2006年6月23日 (金) 17時56分

今頃、のこのこやってきましたの~。
公演場所は、しっかり行動範囲内、うちの庭的距離?で、お手頃過ぎるのに、行かなかったことを後悔するとともに、大阪人として恥じておりまする。
最寄り駅にもポスターが貼ってあったんっすよねー、そう言えば・・・。
しかも、もう31回も催されているのですね、それも知らんかった・・・。それでも大阪人かっ! っと怒りの鉄拳でも跳び蹴りでもくらわしてください。 「鳴神」 、観たかったですね~。 
殆ど知らんねんから、いっこでも多く観て勉強しとくべきなんです。
と、言うわけで、来年から、是非とも参加したいと思っておりやす。
ホンマにホンマです。

投稿: ハヌル | 2006年6月23日 (金) 12時56分

>ぴかちゅうさま
ふむふむ,鳴神は露出度高いかと思っておりましたが,そうでもないのですね。パロディの女鳴神という演目もございます。組み合わせも無限大。
荒川の左吉。仁左さま,見たかった~。ぜひ楽しんできて下さいませ。

投稿: とみ | 2006年6月22日 (木) 00時57分

>かしまし娘さま
>西の教室で我當の『近頃河原の達引』を観ました。
三月の追善興行でかけられたあれですよね。上方らしすぎ,演劇的リアリティありすぎかもしれません。
七月は毛谷村とか。シーズンはマッチしませんが良さそうですね。
>るみさま
昨年までは見たことしか書きませんでしたが,二年目に突入し,観劇前から大騒ぎして盛り上がってますので,お立ち寄りください。
松竹の公文協の巡業も花道がありませんので,劇場によって演出が変わると思われます。
進之助丈が七月の大阪松竹座に見に来てねと言っておられました。行きましょう!

投稿: とみ | 2006年6月22日 (木) 00時48分

私も「鳴神」未見です。木原敏江さんの漫画で読んだだけです。思春期の皆さんにこういう色っぽい話なら眠気が起きにくいだろうということで観賞教室には最適の演目と思われます。
私もいろいろなキャストで繰り返し観たいなあ。使命感に燃える雲の絶間姫も是非観たいものです。
6月はあと25日の歌舞伎座の「荒川の佐吉」を残すのみ。これも初見。仁左衛門さ~ん、早く観たいよ~。

投稿: ぴかちゅう | 2006年6月22日 (木) 00時21分

とみ様、こんばんは。
大阪に住んでいながら見に行きませんでした。
鳴神はまだ一度も見た事がないんです。
見てみたい気持ちと、ちょっと見るのが恥ずかしい気持ちとが混ざっています(笑)
区民センター、そんなに小さな所だったんですね。
劇場でしか歌舞伎は見た事がないので、場所が違うとまた違った空間になるんでしょうね。
惜しい事をしました。

投稿: るみ | 2006年6月21日 (水) 21時21分

とみ様、まいど!
「鳴神」面白そうですよね。ナイスです!観たかったです!
以前、西の教室で我當の『近頃河原の達引』を観ました。いやぁ、色んな意味で暗い暗い…。照明の暗さに、私は一般席で思い切り寝ました~。まさに根性なしっ。

投稿: かしまし娘 | 2006年6月21日 (水) 14時55分

>asariさま
橋之助丈と扇雀丈?扇雀丈はいけないお姉様ではなかったでしょうか。
「吃又」は,健全な感覚では,厚かましい夫婦が押しかけてきて生きるの死ぬのと大騒ぎにしか見えません。
>cocoさま
鳴神ファンでしたか。健全さ,おおらかさが,大時代らしくいいですね。團十郎丈と玉三郎丈の組み合わせが最高なのは言を待ちませんが,様々な組み合わせが楽しめます。松緑丈と藤十郎丈の組み合わせが最も笑えました。

投稿: とみ | 2006年6月19日 (月) 00時29分

とみさま 場所をお借りいたしますが・・・

>asariさま、とみさま
なるほど、東京でもやったんですね。失礼しました。2年前以上は自分が何をしていたか記憶が・・・(アルツ気味?)「鳴神」見たコ達は、とりあえず印象には残っているでしょうね。毎年どちらかの月は鳴神でいいくらいでは~と思うほど、鳴神が好きなんですよ(^^)あ、私が見たいだけでした。

投稿: coco | 2006年6月18日 (日) 23時58分

>スキップさま
ご一緒の公演をご覧でしたか。年格好は同じですが,断じて騒いでたばーちゃんSではございません(爆)。知り合いと思われても恥ずかしくない節度を持って観劇しております。よろしかったら,いつでもお声掛けて下さいませ。
そーなんですよ。工作員という解釈は,歌舞伎の伝統の中では違っているのかも知れません。姫の色香を楽しむというのが正しい歌舞伎かも。インテリジェンスは鑑賞教室ならではの解釈なのか,丈の芸風なのか。東京で受け容れられるのか。見終わった後,自分として大満足だっただけに,考え込んでしまいます。
女鳴神,雲の絶間之助を吉弥丈で見たくなってきました。

投稿: とみ | 2006年6月18日 (日) 22時52分

>rikaさま
やっと,貴宅じっくり拝見しました。見るまいぞ。見るまいぞでございました。
地方公演はいいですね。毎月歌舞伎座,親子三代○○屋贔屓といった世界とは無縁でも,応援する心に貴賤はおません!
いつまでも騒いでたらNGですが,素直な感嘆は良いように思われます。
参加型の楽しい教室。来年も参りましょう。

投稿: とみ | 2006年6月18日 (日) 22時36分

>cocoさま、おとみさま、
2年前だかの国立劇場鑑賞教室が「鳴神」だったのですよー。その時の少年少女タチの姿を思い出してしまったのです(笑)。意識しすぎな姿が可愛かったです(^^;
確か同じ年のもう1つの演目は「吃又」で、どちらの演目を観たかによって、印象が全然違うだろうなぁ…と考えたものでした。

投稿: asari | 2006年6月18日 (日) 22時30分

>cocoさま
ええかげんな掛け声も温かい会場の雰囲気を盛り上げてました。至近距離で,お声掛けられませんよ~。
国性爺合戦は,お衣装,装置が大がかりで,近松のお膝元ではお目にかかれません。見たいぞ!

投稿: とみ | 2006年6月18日 (日) 22時21分

>asariさま
>鳴神は学校中心の鑑賞教室にはどーかと思いますが
歌舞伎は娯楽ということが分かりやすい良い演目と思われます。
吉弥丈の雲の絶間姫は,歌舞伎座の大舞台で本物の大向こう(爆)がうなること間違いございません。同年代の花形女形さんの雲の絶間姫は大方拝見していますが,気恥ずかしさ,馴れ合いとは無縁の緊張感と使命感ございました。
書いていて気が付きました。使命感です!
お江戸では露出度少ないですが,ぜひご注目を!

投稿: とみ | 2006年6月18日 (日) 22時07分

とみさま
こんばんは。私は7列目で観ていたのですが、きっとこの前の方にとみさまもいらっしゃるのだろうとひそかにドキドキしておりました。
私の席からは通路の吉弥さんが上半身しか見えず、「えっ、ずっと中腰かしら?すごい足腰!!」と思っていたのですが、“後見さんが高椅子を・・・”のくだりで納得いたしました。
意志があって知的で美しくて、ほんとにステキな姫でしたね。

投稿: スキップ | 2006年6月18日 (日) 21時28分

とみさん、こんばんは。

楽しさが思いっきり伝わってくるレポ、ありがとうございます。

>様々なジェネレーションで満席。
これは楽しそうですね~、おばちゃんたちが思わず言ってしまう「きれいや~~。」の気持ち分かります。本当に綺麗でした、吉弥さん。

今年はとみさんに会場等の情報を教えていただいたおかげで観に行く事が出来ました、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします(気が早い・・・・笑)。

投稿: rika | 2006年6月18日 (日) 20時54分

とみさま
>タイミングお構いなしの五月雨的な美吉屋!!
の掛け声にはご参加ならず、でしょうか。ホームでしたら女性でも問題なしだったでしょうか。

「鳴神」は、艶っぽい場面もありますが、私的には鑑賞教室向けだと思っているので「西の教室、やるじゃん!」という気分です。まず、ちょっとでも楽しく美しく、がいいなーと思うんですよ(^^

拙ブログの東の鑑賞教室の記事へのTB、ありがとうございました~(^0^)

投稿: coco | 2006年6月18日 (日) 20時35分

うわー、楽しそう。
鳴神は学校中心の鑑賞教室にはどーかと思いますが(お年頃だと、同級生男子と一緒に見るのは恥ずかしそう)、初歌舞伎には良いですよね。
観客参加型、というのもこういった教室のポイントかな、と思います。

教室云々別にして、吉弥さんの絶間姫!観たいです!東でもやってくださらないかしら。。うー。

投稿: asari | 2006年6月18日 (日) 20時19分

>恵美さま
比奈三さんは,第1部の教室でも黒衣さんと一緒に紹介されてました。立派なお顔です。
箱のキャパも少ないですが,南座と違うアットホームな感じでした。進之助丈は,昨日池田の帰りに石橋駅で忘れ物をしたとか,ローカルな話題でお家に帰った気分を出しておられました。

投稿: とみ | 2006年6月18日 (日) 19時25分

>とみさま
>後見さんが高椅子を持ってこられる(ギョエー)。
そこが気になっておりました(笑)。
後見の比奈三さんが通路でうずくまっておられる凛々しいお姿・・・胸きゅんものです。

投稿: 恵美 | 2006年6月18日 (日) 19時11分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 大阪市民歌舞伎(浄書):

» 歌舞伎鑑賞教室@橿原文化会館。 [rikaのいろいろ。]
毎年関西地方を中心に行われています「歌舞伎鑑賞教室」に行ってきました。 「大阪の地に足を踏み入れてまで・・・・・。」と思うと躊躇してしまうのですが、 1時間ぐらい特急に揺られれば行ける「橿原文化会館」でも実施されるというので迷わずLet’s go!! ここでの公演は11... [続きを読む]

受信: 2006年6月18日 (日) 20時58分

» 歌舞伎鑑賞教室 [地獄ごくらくdiary]
雲の絶間姫のたくらみの成功を思わせるどしゃぶり#63654;の中、 6月17日(土),倍野区民センターで大阪市民歌舞伎として開催された「歌舞伎鑑賞教室」に出かけてきました。 第一部「歌舞伎へのご案内」 片岡進之介による歌舞伎の諸々の解説。 眼鏡をかけてのご登場は..... [続きを読む]

受信: 2006年6月18日 (日) 21時19分

» 歌舞伎鑑賞教室/可児 [酔うて候]
可児市創造文化センター(通称アーラ)での公演に行ってきました。 宇宙(そら)の [続きを読む]

受信: 2006年6月19日 (月) 10時20分

» 歌舞伎鑑賞教室 国性爺合戦 [バリバリかしまし娘〜まいど!]
虎と戦わなかったの!?…誰がって、和藤内がっ!そんな『国性爺合戦』があっていいのか〜?あそこが、楽しいんじゃん。面白いんじゃん。着ぐるみの虎さんも、めちゃくちゃハッスルして”技”有り!なんだよ〜。ゲゲゲ…。 もしや、今回の学生達は「城に入る」所から観たのか…。つまらなさそー”歌舞伎を身近に感じる”どころか、完全に逆効果じゃないのか?二度と観てくれないんじゃないのか〜? 最初の、ほら、デカイ貝!... [続きを読む]

受信: 2006年6月21日 (水) 14時52分

« サントリーミュージアム天保山でシャガールを…。 | トップページ | DEATH NOTE(前編) »