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2006年5月18日 (木)

劇団四季・鹿鳴館「すてきよ!すてきよ!本当にお似合い!」

P1010420 5月14日(日),劇団四季・自由劇場で,「鹿鳴館」二度目の観劇。
この日のキャストは以下のとおり(敬称略)。写真は予習の旧岩崎邸。
影山悠敏伯爵:日下武史,同夫人朝子:野村玲子,大徳寺侯爵夫人季子:末次美紗緒,その娘顕子:岡本結花,清原永之輔:広瀬明雄,その息久雄:田邊真也,飛田天骨:志村 要(劇団俳優座),女中頭草乃:中野今日子,宮村陸軍大将婦人則子:木村不時子,坂崎男爵夫人定子:大橋伸予
華族/写真師/給仕/職人:太田泰信,田島雅彦,香川大輔,笠嶋俊秀,岡本繁治,佐藤晃仁,木村雅彦,森田利夫,川口啓史(劇団俳優座),田島康成(劇団昴),山口嘉三,青羽 剛
華族:服部良子,岡本和子,林 浩代,藤井智子,大西利江子,深沢未可子

前回の感想はこちら
前回は開幕後3週間目。スタメンから遊撃手・清原久雄役が田邊氏から福井氏に交替したときであった。福井氏の登場は2週間であった。
その感想は,全ての役者が三島の吊り人形になってしまうという三島への畏怖に満ちたものであった。劇団の刊行物も概ねこの論調に充ち満ちている。
しかし,不世出の天才といえども想定しなかったことが起こっている。現在でも,劇団四季を除き,演劇公演は概ね一月間である。まさか,自分の戯曲が半年以上も継続して演じられるとは思っておられなかったに違いない。

で,どのようなことが起こっているかであるが,色とりどりのガラス片で構成されたステンドグラスのように,一つ一つの粒だった台詞が華麗なメロドラマを謳いあげるものから,色が混ざり合い相互関係が生じた結果,繊細な感情と荒ぶる激情の対立のドラマとなっている。
前回は避けた本題に…。
田邊真也さんの清原久雄。一見,容姿さえ優れていれば良い役に見えるが,愛憎の要となるとてつもない難役である。信じるままに演じられる姿は感動的であった。久雄は,ヒロイン朝子の成就しなかった恋の忘れ形見である。求めて拒まれた父の愛,面影も知らない母。生きる意味を失っていたところ,思いがけず父と母が愛し合い,今も変わらず愛し合っていることを知り,一度は自分も愛に生きる希望を見出す。
久雄「僕が今夜暗殺しようとしているのは,僕の父なんです。」決め台詞,きっぱりと決まりました。
久雄「あいつは僕ばかりか,お母さんまで裏切ったんだ。よし!どうするか見ていろ!」混乱の中でも埋もれず際立っていました。
影山の策謀に陥れられ,絶望から狙撃に走る久雄。
1幕では,事件は起こらないかもしれないと,期待を持たせなければならない。終始,死に神に取り憑かれた,運命の吊り人形として演じてしまうと,演劇的緊張感がなくなってしまうところが難しい。
顕子「それにあなたのお洋服はお似合いだわ。本当にお似合いだわ。」
(¨;)ワタクシ的には紺絣に袴の方がお似合いと思われた。
季子「すてきよ!すてきよ,本当にお似合。」
季子「御立派だったわ。御立派だったわ。」
これは御母堂の台詞であるが,顕子を演じた岡本さんは,親子らしく口調をそっくりに演じておられるところが好感度大。

もうプロの評論家は出揃い,三島へのオマージュは書き尽くしたことであろう。演者の習熟度が上がり,ドラマにダイナミズムが生じていることを記した評は少ない。観客数も開幕当時のように連日完売とはなっていないようだ。しかし,遅れて観劇したシロウトだからこそ,声を大にして申し上げたい。三島氏が想定していなかったことが起こっていると…。

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コメント

>cocoさま
早速お読みいただきありがとうございました。
向き不向きを度外視した主演級の投入も,大時代な三島悲劇に相応しい祝祭性ありましたよ。
習熟度により性格が変わることを,ロングランによる惰性,運命悲劇からメロドラマへの転落,三島芸術から娯楽芸能への変質,「観客数の減少が,ファンに受け入れられなかったことを語る。」,プロの劇評家ならそう書くのかもしれません。
ワタクシの中では,影山伯爵は平幹丈(日下丈と同じかも)で,この世代とともに消えないでと思ってしまいます。
しばらく,鹿鳴館後遺症でブログが美文調になりますが,ご容赦を…。

投稿: とみ | 2006年5月18日 (木) 18時02分

とみさまの2月の観劇記を、拙文の中にリンクさせていただきました。よろしくご了解くださいませ。初「四季」の体験が幸福なものになりましたのも、とみさまのお陰です。数ヶ月の公演、役者さんにとって積みあがるものが確実にあるのだなということを、今回の観劇記を拝見して感じ、その熟成したタイミングで拝見できたことに感謝しております。

投稿: coco | 2006年5月18日 (木) 09時47分

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受信: 2006年5月18日 (木) 13時15分

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