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2006年4月11日 (火)

土屋主税・お染の五役

第2部は,肩のこらない2本立てのはずだったが…。
土屋主税
忠臣蔵外伝ものの新歌舞伎。
タイトルロールは翫雀丈,人情と大望とのはざ間で苦悩する大高源吾役は亀鶴丈,調子が良く暖かい心の俳諧師匠,晋其角に竹三郎丈。
赤穂浪士に心を寄せる善意の皆さんと,厚意を感謝しながら,真意を明かすことのできない源吾さんとの葛藤の物語。
主税のお屋敷は吉良邸の隣。高張り提灯を掲げ,浪士たちの討ち入りをあからさ まに助けた,あの熱血漢のお殿様である。育ちの良さからくる鷹揚さがいい感じ。
亀鶴丈の討入装束のカッコいいこと。場をさらうとはあーゆー状態を指す。
赤穂浪士の討入を期待する庶民感情に思い入れできるか,シラけるかで,この演目の好悪は分かれるが,其角役の竹三郎丈が,転がるように「源吾!」と駆け寄 る。
晴れ姿に感極まるところは,観客の心と完全に一体となっていた。芸の力である。
誇り高い侍女お園・吉弥丈,直情的な落合其月・薪車丈も華やかさを添え,源吾を引き立てていた。源吾一人勝ちであったが,何でも許す。
お染の五役
鶴屋南北作・お染久松浮名読売の舞踊版
孝太郎丈が,お染,久松,お光,雷(?),お六を…。初役で,五役早替りを見せる。お染,お光は上手くて当然として,雷さまが思いのほかプリティで違和感がなかった。
お写真?いらん!
ワタクシ的にはお光がベスト。狂乱の悋気が切ない。野崎村は〜。野崎村できるメンバー揃っているのに〜。
猿回し夫婦に吉弥丈と愛之助丈。さっきまで不倶戴天の仇どおしが,似合いの夫婦になっておられるのが楽しい。目の正月。
結局,第2部も,肩に力が入ってしまった。

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歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

>rikaさま
荒唐無稽,理不尽,児童虐待,DVが全く気にならないのが歌舞伎。
だからこそ,ワタクシ的には,現代の価値観で封建社会を皮肉ったり批判的になる脚本や演出はカチンときます。
シェイクスピア劇では,ロミジュリを軽薄な若者にしたり,ハムレットを鬱にしてしまう演出にはトマト爆弾です。
歌舞伎がなーんも気にならないのは,全てを凌駕する芸の力や役者の魅力があるからと思います。
劇や物語は,自分の思いや願いに気付かせてくれる力もあると悟りつつあります。
ご尊顔の麗しさか長いおみ足か,未だに決めかねております。深遠な課題だ~。

投稿: とみ | 2006年4月15日 (土) 00時15分

こんばんは。

今回、観る前と観てからの思いがこんなに変わった作品は初めてでした。
本当に皆さんの熱演が心地よくて、今思い出しても「いい舞台だったなぁ。」としみじみ思います。
こういう事があるから観るのを止められないんですね~。

投稿: rika | 2006年4月14日 (金) 22時18分

>るみさま
亀鶴丈の充実ぶりが眩しかったです。
三年前の与兵衛のときは,大抜擢に喝采したものでしたが,今や浪花花形歌舞伎の中心的役者になられました。うれしいです。とにかく,応援します。

投稿: とみ | 2006年4月13日 (木) 23時09分

今回は本当に充実していました。
昨年の浪花花形では翫雀さんに軍配を揚げた私ですが、今回は考える間もなく亀鶴さんです。
本当にかっこよすぎました。
これからも上方歌舞伎の発展のため、ご活躍される事を心からお祈りします。

投稿: るみ | 2006年4月13日 (木) 21時57分

>kirigirisuさま
砥辰の討たれでは,したくもない仇討ちに追い詰められる悲喜劇をシニカル且つコミカルに描いて秀逸でしたし,作劇の軸足はそっちのほうが今日的かなと思っておりました。
で,主題が分かってからはドドッと感情移入できました。
しかし,劇場に足を運んでいただくまでに,観客にその気になっていただけるかが,興行の成否の勝負所かしらンとも考えさせられました。

投稿: とみ | 2006年4月13日 (木) 12時21分

赤穂浪士の討入については、諸説色々あるしどちらにもさほど思い入れはないのですが、翫雀殿様と竹三郎其角の姿を見ているうちに、二人に共感。「討ち入りができてホントに良かったね」と感動してウルウルしている自分にびっくりでした。(^^)良い作品でしたよね。

投稿: kirigirisu | 2006年4月13日 (木) 00時26分

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昨日は思ったことをダラダラと書いていたら、アホほど長いものになってしまったので、 今日は、「コンパクトに」「簡潔に」を目指します。 さて、第2部。 まずはごめんなさいm(_ _)m・・・第2部を観る前に、 ????? ?「第3部の大塩平八郎で翫雀さんが芯を取るんやから、... [続きを読む]

受信: 2006年4月14日 (金) 22時21分

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