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2006年4月

2006年4月30日 (日)

文楽若手自主公演・十色会

4月29日(土),国立文楽劇場・素浄瑠璃の会からドーンセンターへ移動し,文楽若手自主公演の「十色会(といろかい)」を鑑賞した。
演目等は既述のとおり。

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素浄瑠璃の会

Nec_0089_1 4月29日(土),国立文楽劇場に出かけた。素浄瑠璃デビューである。同じ拝聴するなら最高峰ということで,出演者及び演目等は以下のとおり。

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池田文庫と逸翁美術館(BlogPet)

そういえば、おとみさんが
江戸時代の芝居美女は全国芝居美女会議という会議を通じ,保全と活用に取り組んでおられる。
とか書いてた?

*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「獅子丸」が書きました。

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2006年4月29日 (土)

玉三郎丈が七月歌舞伎座で泉鏡花を!

歌舞伎座メルマガ「七月大歌舞伎」速報版を開けて舞い上がった。
玉三郎丈の舞台は,二月に歌舞伎座で拝見して以来,京都でアマテラスさまの降臨をお待ちしている。七月は泉鏡花祭りのようである。

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2006年4月28日 (金)

素浄瑠璃の会と十色会

987_1 上方歌舞伎と文楽で4月は浪速の春を満喫した。六世鶴澤燕三襲名披露公演の興奮醒めやらないところ,ダメ押し,トドメに以下の2公演がある。
4月29日(土)は,国立文楽劇場で素浄瑠璃の会が開催される。出演者及び演目等は以下のとおり。
「一谷嫩軍記」組討の段
   竹本伊達大夫 竹澤宗助
「義士銘々伝」弥作鎌腹の段
   竹本住大夫 野澤錦糸
「生写朝顔話」宿屋の段
   竹本津駒大夫 鶴澤寛治 琴 鶴澤寛太郎
また,4月29日(土)と30日(日)は,天満橋の大阪府立女性総合センター7階ドーンセンターで,若手自主公演の「十色会(といろかい)」が行われる。
演目等は以下のとおり。残念ながら初心者ゆえ,力を付けてこられたご出演者のお顔と名前とパートが結びつかない。若い人形遣いさんのお顔が見られるのが楽しみ!
「源平布引瀧」九郎助住家の段
「妹背山婦女庭訓」道行恋苧環
太夫  豊竹呂勢大夫,豊竹新大夫,豊竹咲甫大夫ほか
三味線 鶴澤清二郎,野澤喜一朗,鶴澤清志郎ほか

さらに,6月には国立文楽劇場で第6回文楽若手会及び鑑賞教室,7月には夏休み特別講演がある。
5月東京国立のプログラム↑は凄そうだが,生写朝顔話を素浄瑠璃でというのも乙な選択に違いない。

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2006年4月23日 (日)

第十四回南座歌舞伎鑑賞教室

Kakitu_sirasagi3 4月23日(日),京都四条南座・第十四回歌舞伎鑑賞教室に出かけた。
毎年,学生や初めて歌舞伎を鑑賞する観客を対象に行われ,好評を博している取り組みとか。自由席なのですました顔で最前列に着席:-@。
第一部は,歌舞伎の効果音と下座音楽を桂九雀さんが解説する。上村純弥丈と片岡當史弥が,無音の状態と効果音付きで立ち回りを行い,違いを面白く見せてくれる。がんばれ!
また,観客が舞台上に上がり大太鼓に挑戦したり,歌舞伎の衣装の試着をさせてもらえる時間もあった。
第二部は,上村吉弥丈が長唄の名曲鷺娘を舞う。吉弥丈は,先日の浪花花形歌舞伎において,才気溢れる演技を見せて頂いたばかりである。美貌,才能,精進,全て兼ね備えた吉弥丈らしい深い悲しみを湛えた鷺娘であった。古風でこっくりした面持ちが上方好み。

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2006年4月22日 (土)

十八代目中村勘三郎襲名披露興行は芝居小屋で!

Kurehaf 21日(金)の生活ホットモーニングでも,隠しながら話しておられたが,十八代目中村勘三郎襲名披露興行を全国8カ所の芝居小屋で打つと共に,名古屋市の高校の体育館を改装し,平成中村座として3日間公演するという。詳しくはこちら。
金丸座(香川県),東座(岐阜県),嘉穂劇場(福岡県),康楽館(秋田県),明治座(岐阜県),八千代座(熊本県),内子座(愛媛県),相生座(岐阜県)とある。江戸時代の芝居小屋は全国芝居小屋会議という会議を通じ,保全と活用に取り組んでおられる。
建築物の保全はさておき,間違いなく楽しそうである。
中村座恒例の若手役替わり公演も,どこかでやって欲しいナ。
で,どこで見る?ワタクシ的には呉服座(写真)で見たいが,芝居小屋と対極のオペラハウス・地元のびわ湖ホールになりそうである。
そういえば宮藤官九郎さんに歌舞伎を書いて頂くとかとも言っておられた。
おとみの平成中村座の思い出は↓に…。

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十八代目中村勘三郎襲名披露・びわ湖ホール公演

Img_01_1 木曽義仲公ゆかりの滋賀県大津市・粟津の浜には,シドニーオペラハウスを模した滋賀県立びわ湖ホールがある。ローマ歌劇場,ミラノスカラ座,ボローニヤ歌劇場,ベルリンフィル等,精神には優しいが財布には厳しいビッグな来演が可能なシアターコンプレックスである。
ワタクシとしては,公文協・松竹株式会社恒例の地方巡業を毎年楽しみにしている。今年は9月10日(日)に,中村勘三郎襲名披露興行地方巡業となっている。演目は,9日(土)神戸文化ホールで行われるものと同じであろうと考えられる。
勘太郎丈の小金吾討死にが楽しみである。それまでに,松羽目睡魔症候群は何とか克服したい。
昼の部 12時30分
一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう) 十種香 一幕
二、十八代目中村勘三郎襲名披露 口上       一幕
三、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん) 一幕
夜の部 16時
一、十八代目中村勘三郎襲名披露 口上        一幕
二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
   木の実,小金吾討死,すし屋          二幕三場
主な配役
 十種香    息女八重垣姫      扇雀
          武田勝頼         七之助
          腰元濡衣         勘太郎
 口上
 身替座禅   山蔭右京        勘九郎改め勘三郎
          奥方玉の井        弥十郎
 義経千本桜 いがみの権太     勘九郎改め勘三郎
          主馬小金吾武里    勘太郎
          娘お里          七之助
          弥左衛門         弥十郎
          弥助実は三位中将維盛 扇雀

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2006年4月21日 (金)

大阪市民歌舞伎,行くことにしました。

20060323_pic01 本日発売の大阪市民歌舞伎,何気に電話が繋がり買ってしまった。神戸,吹田,池田でも公演がある。
こんな感じ。
●大阪市民歌舞伎
歌舞伎・その美と歴史への招待
6月17日(土)午後2時開演
一、歌舞伎へのご案内
ご案内   進之助
二、歌舞伎十八番   鳴神 (なるかみ)
鳴神       我當
雲の絶間姫    吉弥
場 所・・・大阪市立阿倍野区民センター
料 金・・・一般 2,000円,学生 1,400円

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池田文庫と逸翁美術館

Chirashi_lご覧のとおり, 南座歌舞伎鑑賞教室のチラシである。歌舞伎舞踊の鷺娘は,当代では,板東玉三郎丈が誰の追随も許さない高みにおわしますが,今週,京都四条南座では,上方歌舞伎の花形・上村吉弥丈が,歌舞伎鑑賞教室として取り組んでおられる。
チラシに採用されている香朝楼国定筆・市川団十郎の鷺娘は池田文庫所蔵とある。
これは江戸役者絵だが,池田文庫は上方役者絵の宝庫である。
池田文庫は,阪急グループの創始者である小林一三翁の収集品を起源とする演劇書をコレクションとする文庫で,大阪府池田市に存する。
翁は,宝塚歌劇,映画・演劇書はもちろん,役者絵・絵看板・番付などの歌舞伎関係資料を精力的に収集した。そして,池田文庫となった現在も,上方役者絵(7,000点)の所蔵は,質,量ともに世界一ときく。軽々には資料の閲覧は出来ないが,興味深い企画展が定期的に開かれている。
P1010175 山手には,小林一三翁の収集美術品を展示する逸翁美術館があり,周辺の良好に開発された住宅地と共に,上方文化の一つのありようを示す界わいを形成している。
上方文化の様々に思いを馳せながら,鑑賞することとしよう。

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2006年4月18日 (火)

興福寺の五重の塔

興福寺の五重の塔

幸田露畔は思い出さないか。南都の荒法師。束の間の休息終了。 奈良と京都国際会館は乗り換えなしで便利。

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奈良といえば馬酔木

奈良といえば馬酔木

早春の花だがまだ咲いている。

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奈良女子大学正門

奈良女子大学正門

奈良は落ち着いたまちなみと平和感がいい。思いがけない休息に感謝。

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2006年4月16日 (日)

今日から福井さんがラダメス

4月16日(日),福岡シティ劇場で,劇団四季アイーダが開幕した。メインキャストは以下のとおり(敬称略)。
アイーダ・井上智恵,アムネリス・佐渡寧子,ラダメス・福井晶一,メレブ・中嶋徹,ゾーザー・川原洋一郎,アモナスロ・石原義文,ファラオ・勅使瓦武
みなさんの健康と公演の成功をお祈りする。

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国立文楽劇場・六世鶴澤燕三襲名披露ひらかな盛衰記他

4月15日(土),国立文楽劇場四月公演,寿柱立万歳,ひらかな盛衰記及び勧進帳を鑑賞した。13日より昼夜入れ替えとなっている。
Nec_0089 今月は六世鶴沢鶴澤燕三襲名披露として,ひらかな盛衰記がかかる。襲名披露口上を住大夫が務められる。
寿柱立万歳
人形,大夫・吉田勘弥,才三・桐竹紋豊。大夫,豊竹英大夫,才三・竹本三輪大夫。三味線,竹澤団七他。
慶事に相応しい舞踊。床に語り7人,三味線5人が並ぶ。めでたいづくしの数え歌に合わせコミカルな振りが楽しい。
ひらかな盛衰記
松右衛門内より逆櫓の段
人形,船頭権四郎・吉田玉弥,女房およし・吉田清之助,船頭松右衛門実は樋口次郎兼光・桐竹勘十郎,腰元お筆・吉田蓑助他。中,大夫・竹本千歳大夫,三味線・鶴澤清治。奥,大夫・豊竹咲大夫,三味線・鶴澤燕三。
Nec_0090_1舞台は摂津福島の浜の漁師宅。老あるじ権四郎と娘のおよしは,苫屋に似合わぬ童子をあやしている。巡礼先の三井寺で,義仲残党狩りの混乱に巻き込まれ,子どもを取り違えたのだ。この子を大切に守っていれば,実子の槌松をきっと返しに来てくれると信じている。
一方,婿の松右衛門は,源義経軍より,平家追討のための船の提供を求められている。
そこへ,義仲の室に仕えた腰元お筆が訪れ,この家の槌松は義仲一子駒王丸の身替わりに討たれ,ついては,若君を返して欲しいという。混乱する権四郎とおよしを前に,松右衛門は,自分は,義仲四天王の樋口次郎兼光であり,義経軍に一矢報いようとしていると告げる。

中のあと,床が回り,金地を背に,お待ちかね咲大夫と新燕三が登場。住大夫が襲名披露口上を述べられる。今年は五世の七回忌にあたる。新燕三が五世にいかに仕え,芸道精進したかをあのお声で切々と語られる。文楽の世界は世襲ではなく実力で勝ち取るものであるときっぱり。逆櫓の段は,激しく勇壮且つ悲痛で難曲とされ,立三味線だけしか務めることが出来ない。五世は,これを演奏中にお倒れになり,そのまま最後の舞台となったという。六世は,浴衣姿のまま後を務め,その月を代役として乗りきった思い入れのある曲である。

奥の前半は,まっとうに生きる善意の人々を巻き込んだ悲運と,支配者階層の忠義との葛藤を,咲大夫が呻吟し,三味線が嘆く。老親の絶望がずっしり重い。蓑助丈が遣うお筆は,情が先行し,忠義が混迷するさまが出過ぎずしとやかである。勘十郎丈が遣う樋口は,情と道理をわきまえた潔い動きが清々しい。
後半は海原となる。
船頭仲間と逆櫓に取り組む場面は,剛胆な掛け声とダイナミックな三味線の掛け合いとなる。兼光も人形ならではの神懸かり的な活躍。
波の強弱,船を漕ぐ律動,のるかそるかの乾坤一擲の弔い合戦への爆発的な感情。命のやりとり。三味線が火を噴く。大夫が咆哮する。命懸けの芸だけが訴えることの出来る,命を継承する人間の素晴らしさに心打たれずにはいられない。
勧進帳
人形,武蔵坊弁慶・吉田文吾,富樫之介正広・吉田和生,源義経・吉田蓑次郎。大夫,豊弁慶・豊竹十九大夫,富樫・竹本津駒大夫,義経・豊竹呂勢大夫。三味線,豊澤富助他。
Nec_0101_2 歌舞伎の人気狂言の文楽版。能の安宅,歌舞伎の勧進帳及び文楽の勧進帳は細かな差異はあるが,ストーリーは全く同じで,上演時間もきっかり1時間15分で同じとか。
決定的な違いは,後段,松羽目が飛び,場面は安宅の浜となる。富樫が現れ,緊張感が解けたところで,シテの弁慶が三人出遣い!凄い凄い!わーいわーい!という以外ボキャブラリーを使い果たした。
歌舞伎より礼節の表現が折り目正しいように見受けられた。花道は無い。
最後に,釈明するが,松羽目睡魔症候群のワタクシは,やはり逃れることが出来なかった。安宅の浜に場面が転換するのはありがたい。

六世燕三さんは,終演後ロビーで挨拶をしておられた。大阪の後,東京でも公演が続く。緊張感と精神力で壮絶な演奏をご披露して頂いているが,ご健康に留意され,成功裏のうちに襲名披露興行が終わることを祈る。

YOMIURI ON LINEに評が載ってました。

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2006年4月11日 (火)

浪華騒擾記・こんな新作もあるんや!

第3部は新作
浪華騒擾記・大塩平八郎
大塩平八郎は,天保年間に天領大坂でクーデターに失敗し爆死した。そのときの火災で大坂の町の五分の一を焼いたという。しかし,庶民の味方,大坂のヒーローとして生き続けている。
物語は親の世代の友情,息子世代の夫婦愛,中間どおしの交情を3Dに描く。それぞれ,翫雀丈と愛之助丈,進之助丈と孝太郎丈,亀鶴丈と吉弥丈。(吉弥丈は 全演目制覇。しかも立ち役。)賄賂大好き,敵役に蒔車丈。
よかったぁ〜。なんせ新作,初役。先人のプレッシャーから解放され,それぞれがお役を生きておられた。
平八郎に奉公している源次郎役の亀鶴丈と,兵衛に奉公している久造役の吉弥丈の仲の良さが,物語をぐんぐん引っ張る。まさにしたい放題。誰も止めることはできまへん。観客の心をわしづかみにしてどこまでも走る。
戯曲としても起承転結一貫し,蜷川氏演出風に,始まりと終わりが繋がる。エピローグの群集のあしらいが感動的で,このへんは市川猿之助丈演出の影響あり。出演した全ての俳優が舞台の上で笑顔で並ぶ。
明日への希望を感じさせ,人情の町大坂を奉賛する浪花花形歌舞伎のフィナーレを飾るに相応しい舞台であった。
本日は千秋楽。その場に居合わせることはできなかったが,西に向かい,楽しかった舞台に礼をしよう。

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土屋主税・お染の五役

第2部は,肩のこらない2本立てのはずだったが…。
土屋主税
忠臣蔵外伝ものの新歌舞伎。
タイトルロールは翫雀丈,人情と大望とのはざ間で苦悩する大高源吾役は亀鶴丈,調子が良く暖かい心の俳諧師匠,晋其角に竹三郎丈。
赤穂浪士に心を寄せる善意の皆さんと,厚意を感謝しながら,真意を明かすことのできない源吾さんとの葛藤の物語。
主税のお屋敷は吉良邸の隣。高張り提灯を掲げ,浪士たちの討ち入りをあからさ まに助けた,あの熱血漢のお殿様である。育ちの良さからくる鷹揚さがいい感じ。
亀鶴丈の討入装束のカッコいいこと。場をさらうとはあーゆー状態を指す。
赤穂浪士の討入を期待する庶民感情に思い入れできるか,シラけるかで,この演目の好悪は分かれるが,其角役の竹三郎丈が,転がるように「源吾!」と駆け寄 る。
晴れ姿に感極まるところは,観客の心と完全に一体となっていた。芸の力である。
誇り高い侍女お園・吉弥丈,直情的な落合其月・薪車丈も華やかさを添え,源吾を引き立てていた。源吾一人勝ちであったが,何でも許す。
お染の五役
鶴屋南北作・お染久松浮名読売の舞踊版
孝太郎丈が,お染,久松,お光,雷(?),お六を…。初役で,五役早替りを見せる。お染,お光は上手くて当然として,雷さまが思いのほかプリティで違和感がなかった。
お写真?いらん!
ワタクシ的にはお光がベスト。狂乱の悋気が切ない。野崎村は〜。野崎村できるメンバー揃っているのに〜。
猿回し夫婦に吉弥丈と愛之助丈。さっきまで不倶戴天の仇どおしが,似合いの夫婦になっておられるのが楽しい。目の正月。
結局,第2部も,肩に力が入ってしまった。

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2006年4月10日 (月)

浪花花形歌舞伎・(若者の)伊勢音頭恋寝刃

第一部・伊勢音頭恋寝刃
珍しい宿屋の場からの通し上演。片岡愛之助丈が仁左衛門丈の演出で,初役福岡に挑む注目の舞台。折しも,お江戸歌舞伎座では,仁左衛門丈の貢で油屋と奥庭の場が上演中である。
前半は,伊勢情緒を愉しみ,奴林平と敵方二人の追っ駆けに爆笑する場である。元気いっぱいの奴役・亀鶴丈の楽しげな様子と,敵方・橘三郎丈と松之助のぜーぜー感がおかしい。三人が達者なので盛り上がる。タイトルの伊勢音頭が心地よく響き,歌舞伎は音楽と舞踊の総合芸術であることを思い起こさせてくれる。
軽妙な前半が,重苦しく凄絶な後半を引き立てる。愛之助丈は,忠義でしっかり者だが,色恋には余裕のない貢さんを,初役らしく緊迫感をもって若々しく演じておられた。
お待ちかねの吉弥丈の意地悪万野の登場。これまで芝翫丈,玉三郎丈,勘三郎丈等の幹部が演じてこられたお役を,実力派の花形吉弥丈が演じる。いけず,したたか,知的な色香が溢れ,笑いを取りすぎない程の良さが素敵。
笑いを取りすぎないと言えば,翫雀丈のお鹿。きゅーとで見ようによってはらぶりー。仁左衛門丈演出の上品さにホッとする。
薪車丈の料理人喜助は,登場時間は短いが,キーパースンとなる格好いいお役。貴公子系よりワタクシ的にはポイント高し。孝太郎丈のお紺さんは,愛想づかしにも情があった。
眼目の殺し場。魔剣に魅入られた目,浮き出た血管,飛び散る汗,べったりと頬の血糊,全てが美意識に支えられた象形。ストップモーションのかどかどの決まりが綺麗。解説では,音楽が凄惨さを引き立てることになっているが,音は消えた。明るすぎて白くなった背景に赤だけしか見えなくなった。血が引き意識が朦朧となる感覚を確かに味わわせて頂ける凄惨で迫真の貢さんであった。
身体に優しくないお芝居が続く。長い一日は,始まったばかりであった。

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2006年4月 9日 (日)

第3部・浪華騒擾記

第3部・浪華騒擾記

1階ロビーに大塩平八郎画像と献花があった。
天保年間の大坂のヒーロー同心・大塩平八郎の乱を描いた新作歌舞伎。 浪花花形歌舞伎に相応しい意気込み溢れる舞台。群衆の扱いが感動的で,良い舞台を見せて頂いた感があった。贔屓目抜きでも,美吉屋さん&八幡屋さんの充実ぶりが…。

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第2部・土屋主税・お染の五役

第二部・土屋主税・お染の五役

第2部は忠臣蔵外伝ものの新歌舞伎と,女形の博士論文とされる南北の人気狂言舞踊。お役はみなお似合いだったが,なぜ野崎村でないか。第1部に続いて,美吉屋さんと八幡屋さんが大活躍。

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浪花花形歌舞伎第1部・伊勢音頭恋寝刃

浪花花形歌舞伎・伊勢音頭恋寝刃

4月9日(日)大阪松竹座・浪花花形歌舞伎を通しで観劇。 伊勢音頭恋寝刃の福岡貢を片岡愛之助丈が演じる。緊迫感と情が程良く混在。珍しい通し上演である。奴林平・亀鶴丈,仲居万野・吉弥丈が楽しげに演じておられた。

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2006年4月 8日 (土)

クラッシュ

アカデミー作品賞始め三部門に輝くクラッシュ。まもなく終了予定とのことで,4月8日(土)駆け込みで見に行った。
監督:ポール・ハギス
出演:サンドラ・ブロック,ドン・チードル,マット・ディロン

現代のLA。クリスマスも近い寒い夜,車の追突事故が起こった。事故の当事者の一人となった黒人刑事グラハムは,事故現場のすぐ際に黒人青年の銃殺死体を発見する。実は,この事故と銃殺死体には,前日から,多くの人種,国籍,性別,年齢,階層の異なるLA市民が関わっていた。
差別撤廃主義を公約にしている白人地方検事,裕福な黒人映画プロデューサー,雑貨店を営むペルシャ系ファミリー,犯罪すれすれのLA市警の面々,危うい商取引を目論む中国人,強盗を常習とする黒人青年二人組,全員が主人公である。極悪人でも正義漢でもない懸命に生きる市民が,乾いたLAの街で衝突する。わずか一日の出来事であるが,ある者はささやかな出来事に生きる意味を見つけるが,あっけなく落命する者もあった。

物語は同時多発で展開するので,途中までしっかりついて行く必要があるが,つながりだしてからのたたみかける感動は素晴らしい。カメラワークも,LAの真実を奇をてらわないで淡々と写す。群像劇の真の主人公は,LAという天使の宿る街ということは間違いなさそうである。
二度見るべき映画であった。時間があるか。

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2006年4月 3日 (月)

国立文楽劇場・菅原伝授手習鑑

4月2日(日),国立文楽劇場四月公演夜の部・菅原伝授手習鑑を鑑賞。
今月は六世鶴沢鶴澤燕三襲名披露として,昼の部にひらかな盛衰記がかかる。咲大夫が語り,新燕三が弾くという大一番。残念ながら昼の部は先のお楽しみということで,三月大歌舞伎の仁左衛門丈の菅丞相の余韻を引きながら,夜の部菅原伝授手習鑑の名場面集を堪能した。
菅原伝授手習鑑は,親子の別れが主題である。道明寺では菅丞相と養女苅谷姫との哀切な別れがあったが,菅家に仕える白太夫一家に,忠義が尊い犠牲を強いることになる。
Nec_0099_1 車曳の段
人形,梅王丸・吉田玉輝,桜丸・吉田蓑助,松王丸・吉田玉女。時平・竹本津国大夫,三味線・鶴澤寛治。
歌舞伎から本行に取り入れられた華やかな荒事の場面。ここで時平は七笑をする。憂いを帯びた桜丸の美しいこと。女形のときよりたおやかな遣いをされていた。
Nec_0074 茶筅酒の段・喧嘩の段・桜丸切腹の段
親白太夫・吉田和生,春・吉田玉英,千代・吉田文雀,八重・桐竹紋寿。切,竹本住大夫,野澤錦糸
茶筅酒の段,喧嘩の段は大悲劇・桜丸切腹の段の前の悲喜交々の場面で美しい嫁たちの人形にほっこり。さりとて,もう,桜丸の死は待ったなし。住大夫が語る白大夫の慟哭が圧巻。菅丞相失脚の発端となった事件の張本人であるので,下僕とはいえ切腹は不可避である。それでも親は何とか神仏にすがる。泣く嫁を窘めながら最もほえているのは白大夫である。住大夫の呼吸に合わせて大泣きすれば,ああしんどとなる。息をつかせない感動とは住大夫のためにしか使えない言葉か。
文楽人形の死は本当の「なきがら」なのが胸にせまる。
Nec_0087_1 寺入りの段・寺子屋の段
武部源藏・吉田文司,戸波・桐竹紋豊。切,竹本綱大夫,鶴澤清二郎,竹本嶋大夫,鶴澤清介。
寺子屋は上演回数も多い人気演目である。寺入りの楽しさも文楽だとひとしおである。切りは語りは綱大夫と嶋大夫という豪華版。千代を使うは吉田文雀の至芸。松王丸の玉女は立派で風格があるが抑制の効いた遣い。贅沢の極みである。息詰まる緊迫感とその後の真実の吐露。ようでけた本といまさらながら大感動のうちに幕。

これで,プロローグとエピローグを除く主要なトリロジーを歌舞伎と文楽最高峰のリレーで見ることができた。日本に生まれて良かった。

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2006年4月 2日 (日)

劇団四季・ミュージカル南十字星

4月2日(日),京都劇場で,劇団四季・ミュージカル南十字星初日を観劇した。メインキャストは以下のとおり(敬称略)
保科勲・阿久津陽一郎,リナ・ニングラット・大平敦子,島村中将・田代隆秀,原田大尉・鈴木周,塚本少尉・前田貞一郎,ニングラット博士・武見龍麿,ルアット・ニングラット・内田圭,ニルワン・藤川和彦,キキ・大徳朋子,オットー・ウインクラー・吉賀陶馬ワイス,原田春子・末次美沙緒,岡野教授・維田修二

昭和三部作の第三作は,南方戦線に従軍し,終戦後,BC級戦犯としていわれのない捕虜虐待等の罪状で絞首刑となった学徒出陣兵士の物語。
京都大学法学部に在籍し,哲学者を目指す自由な魂を持つ青年保科勲は,インドネシアからの留学生ルアット・ニングラットと妹のリナと親しく交流していた。オランダ支配下にあるインドネシア本国の政変によりニングラット兄妹は帰国。リナとの再会を誓う勲にも南方戦線への召集令状が…。
日本軍はインドネシアに侵攻し,オランダ軍を駆逐。アジアの指導者としてインドネシアの独立に手を貸すかに見えた。再会なったリナはじめニングラット一家とのひとときが勲にとってはつかの間の幸福だった。しかし,日本軍の真の目的は石油と労働力の搾取であり,無謀な戦線拡大と無定見な軍略で,敗戦は確定的なものとなった。
そして,日本兵には,戦時よりさらに苛酷な戦後が待ち受けていた。

Nec_0116_1 ミュージカルの構成としては,インドネシア民族舞踊と本格的なガムランの演奏や田園,大河の風景など本水を使った大仕掛けな装置など,エンタテイメント性に充分配慮している。オリジナルの物語なので,説明台詞の多用が危ぶまれるがなんなくクリア。あまりにも理不尽な物語に素直に感情移入し号泣させて頂けた。
阿久津氏は,主演としての輝きに満ちあふれていた。高潔,公正であるが,寛容で自己犠牲の心も持ち合わせた優しい若者だった。惜しんで余りある尊い命であった。捕虜にも気を配り,武器の流出も義兄の罪を庇ったはずの勲がなぜ…。勲よ。なぜだ。このような国家中枢の巨悪を,無辜の若者の命で贖おうとする理不尽になぜ納得する。阿久津氏の輝きが目映いほど悲劇が際立つ。納得していないはずだ…。(福井氏なら納得したかもしれない(`´)ノ☆(((*;・)ゴメンナサイ。)
ヒロインの大平氏は,恵まれた容姿に民族衣装が似合うだけでなく,舞踊においても手の動きや目の動きが違う。いつまでも祭りの場面を見ていたい気にさせて頂ける。
今日のカテコは数回。少なくとも一階はオールスタンディング。主人公は京大生,主演カップルが恋を育んだ舞台が京都というのも京都人にアピールしていた。
三部作全部踏破した観客(四季会員に限る。)はオルゴールがもらえる。ワタクシは南十字星の主題曲ブンガワン・ソロが当たった。
余談であるが福岡のアイーダのポスターは福井氏と井上氏のものであった(^○^)。

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モデルになってもらえたが…。(BlogPet)

きょうは、獅子丸が俳句を詠んでみようと思うの

 「そのモデル 警戒された モデルだね」
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*このエントリは、BlogPet(ブログペット)の「獅子丸」が書きました。

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2006年4月 1日 (土)

演劇界5月号

Cover2006_05_2 演劇界5月号表紙は片岡仁左衛門丈の生菅丞相さま。全身像良し,どアップよろし,360度どこから撮影しても麗しいお姿。

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国立文楽劇場四月公演夜の部初日

国立文楽劇場四月公演夜の部初日

菅原伝授手習鑑。車曳き,桜丸切腹,寺子屋と名場面の連続。 六世鶴澤燕三襲名披露公演となっている。

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福井さんがにLa Harpe4月号表紙に!

3月31日(金),何とか年度内に帰宅できた。ポストにLa Harpe4月号が!
表紙は福井ラダメスと井上アイーダ。アイーダ福岡公演いよいよ開幕!とあった。
Elaborate Livesの場面。お声が聞こえてきそうな臨場感ある写真。開幕先発バッテリーはこのお二人かな?

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