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2006年3月18日 (土)

夏ノ夜ノ夢・大阪松竹座

3月18日(土),大阪松竹座で「夏ノ夜ノ夢」初日を観劇した。スタッフ&キャストの概要は以下のとおり(敬称略)。

【スタッフ】(脚本)W.シェイクスピア,(翻訳)福田恒存,(脚色・演出)加納幸和,(衣装)前田文子,(制作)松竹株式会社
【メインキャスト 】パック:尾上松緑,ヘレナ:佐藤江梨子, ハーミア:保田圭,ライサンダー:海東健 ,デメトリアス:河相我聞,ボトム:マイケル富岡,クィンス:住田隆,イジアス:菅野菜保之,タイターニア:床嶋佳子,オーベロン:村井国夫

シェイクスピアの喜劇のなかでも,エンタテイメント性の高い人気狂言で,繰り返し上演されている。妖精の王と女王の不和,アテネ貴族の若い男女の恋のもつれ,アテネ侯爵の婚礼での芝居の稽古に余念のない職人達。夏至祭の夜,アテネ郊外の森の中で,人間と妖精入り乱れての大騒動が起こるが,仕組んでいるのはいたずら好きの妖精パックだった。

加納幸和氏の脚色により,混乱の物語に,パックを芯とする秩序が形成されている。パックは,妖精の王オーベロンと人間の娘との間に生まれた庶子である。人間の娘ヘレナに心惹かれるがヘレナの恋を叶えてやる分別を持ち合わせている。いたずらはするが,妖精の女王タイターニアを一応尊敬し,タイターニアもパックを王位を継ぐ者と認めている。
シーシュースとヒポリタは登場しなく,オーベロンとタイターニアのままである。イジアスとクインスは兼ねない。我らがパックはフィロストレートも演じる。
夏夢の好みは,性別超越,猥雑,放送禁止用語乱発,楽屋落ち修復不能系であるが,尾上松緑丈の求心力と人間性に合わせ,グッドフェローにすることにより,感動が付加された良い舞台に仕上がっている。オーベロン役の村井氏とパックのやりとりが楽しい。
大向こうさんも来ておられ,音羽屋!と声がかかっていた。

ちなみにこれまで拝見した夏夢,ピーター・ブルック演出RSC,ペーター・ストルマーレ演出グローブ座カンパニー,蜷川幸雄演出石庭バージョン,宝塚月組公演小池修一郎演出PUCK。
尾上松緑丈はカッコかわいかった。

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演劇」カテゴリの記事

コメント

>悠さま
平成若衆歌舞伎は一度だけしか拝見してません。上方風にリアリティと情のあるカンパニーに育って欲しいです。これからは見逃さず通いますぅ!
>ゆきよさま
怖いもの見たさに行って参りましたが,どうしてどうしてすっきりしたええ舞台でした。ラストシーンで,何がどう入れ子になっているのか謎になったところがいいですね。
上杉さんが好きなので,あのカンパニーのものは良く見ました。確か4時間は上演時間ありました。大団円は何時終るか分からなかった!10時過ぎたのを覚えてます。

投稿: とみ | 2006年3月23日 (木) 12時55分

とみさま
ご無沙汰しております。今日「夏夢」拝見しました。
わたしもペーター・ストルマーレ演出を観ておりますが、演出の加納さんはかなり影響を受けていらっしゃったようですね。私は恐らくシェイクスピア物で一番回数多く観ていると思われ印象が混ざってしまっているのですが、加納氏のタイテーニアはかなりインパクトがありました。ただ今回は女性が演じているだけに、加納氏よりもリアルに思えます。(笑)
松緑さんのパックは人間臭かったですね。少々さびしんぼうになってしまうのは意外でしたし、最後に舞台装置が転換した時にそれまでの出来事が全て「夢」だったと感じてしまい、私の感覚自体が転換してしまったのですが、それも含めて良い舞台でした。松緑さんの魅力発見!でした。

投稿: ゆきよ | 2006年3月22日 (水) 22時56分

平成若衆歌舞伎第1回からずっと見てるのですよ(^^ゞ。
昨年の「おくに」は、総合点で、宝塚に軍配をあげたのですが、とみさまはどうでした?
若衆歌舞伎は、歌舞伎はいつも、ハムレットの父王との面会の場面って、ある場面だけをみせられるのですが、物語完結方式ですきなんですよ\(~o~)/

投稿: 悠 | 2006年3月19日 (日) 21時37分

>るみさま
シェイクスピアデビューおめでとうございます。日本人のシェイクスピア好きは世界でも希有とか。多くの良い出会いがあるといいですね。
平成若衆歌舞伎でぜひ夏夢を上演いただけますように,法善寺の水掛不動さんに願でも掛けようかしらん。昨年のように宝塚歌劇とのコラボが良いかも…。

投稿: とみ | 2006年3月19日 (日) 20時18分

とみ様、こんにちは。
私も昨日見に行ってきました。
シェークスピア物は初めてで、ドキドキワクワクの観劇でしたが、とっても楽しめました。
村井さんの迫力にビックリ。
さすがベテランさんですね。
松緑さんパックも、松緑さんらしくいたずらっ子ぽいけども、すごく優しさのある人間的な心を持っていて、親しみが湧きました。
私としては、見ごたえたっぷりというわけではなかったのですが、ほんわり良い雰囲気になれる舞台でした。

投稿: るみ | 2006年3月19日 (日) 17時11分

>NOPPYさま
ご本好きののっぴさま。とみも戯曲好きです。
ご覧頂きありがとうございます。
原作や定番の演出と異なる脚色は楽しみなものです。
妖精さんの歌や踊りは短めでしたが,よい子たちばかりで良かったです。
わからなかった点は,ボトムの変身後の動物。西洋のイコノロジーによりますと,ロバには赤面ものの実にエロい暗喩が隠されているのです。あれはロバでなくてはならないのです。
今,あの動物の意味を検索中ですが,どうも辻褄が合わなくて悩んでます。

投稿: とみ | 2006年3月19日 (日) 12時08分

パックがそんな生まれ(オーベロンと人間の子)だったとは、後から知りました。何を観てたんだ...
私が『夏の夜の夢』を観る時に楽しみにしている事のひとつは、タイテーニアが眠る時に妖精さんたちが歌う子守唄的なもの。
今回ちょっと暗めの歌になってましたが、あの場面がなんか好きなんですよねえ。
つうわけで、松緑さんカッコかわいいに一票!です。

投稿: NOPPY | 2006年3月19日 (日) 05時35分

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» 『夏ノ夜ノ夢』 [おさるのゆくえ]
もっか私とカブキチの友人カッパの間で、空前の松緑ブームがおこっている。ドラクエフ [続きを読む]

受信: 2006年3月19日 (日) 05時36分

» 夏ノ夜ノ夢 [夢夢散歩♪]
3月18日(土)夜の部観劇 【原作】 W.シェイクスピア 【出演】 パック:尾上松緑 オーベロン:村井国夫   タイターニア:床嶋佳子 デメトリアス:河相我聞   ヘレナ:佐藤江梨子 ライサンダー:海東 健   ハーミア:保田 圭  ボトム:マイケル富岡    クィンス:住田 隆 イジアス:菅野菜保之 【ストーリー】 アテナイの森では、戦の勝利によって、この国の大公と�... [続きを読む]

受信: 2006年3月19日 (日) 17時12分

» マイケル富岡 [AWKEL]
マイケル富岡に関するblog:今後のマイケルを想像しながらプレイする事を推奨する福笑い 夏ノ夜ノ夢 感想。 Let Me Go / Heaven 17 [続きを読む]

受信: 2006年3月25日 (土) 06時38分

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