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2006年3月18日 (土)

沙翁に学ぶ観劇の心得

3月18日(土),大阪松竹座で「夏ノ夜ノ夢」を観劇し,今更ながらシェイクスピアに学んでしまったので,感動を記しておく。
ワタクシとみは,観劇に関してはもの分かりがよい。選り好みせず観劇する。観劇前は,仮想上演を三度は行う。不安がある場合,何があっても驚かないとしっかり念じる。それでも,がっかりしたときは,スタッフ&キャストから出来映えを予想できなかった己の不徳を恥じ,黙ってうなだれる。そして,頭の中で修正上演をする。

「夏ノ夜ノ夢」には劇中劇が登場する。大団円で,職人達が稽古の成果を披露する。アテネの大公シーシュースは,新妻アマゾンの女王ヒポリタに観劇のあり方を論じる。“この世は劇場,人はみな役者”というレトリックは,様々な作品に登場するが,観客の心得があるのはここ。ヒポリタは,失敗しそうな芝居は見たくないという。シーシュースは,こう返す。

「だめなものであればこそ,それを喜んでやるのが我々の心遣りというものであろう。相手がやりそこなったら,それはこちらが見損なってやるだけのこと,それがけっこう我々の楽しみともなろう。下の者が努めて出来ぬことを,上の者はそのまま受け容れ,ただ心を見て,出来映えを問わぬことだ。以下続く…。」

自分がシーシュース=オーベロン=シェイクスピアの境地に達していることを悟ったことが,本日の夏夢観劇の最大の収穫であった。加納版では,妖精の王オーベロンと女王タイターニアが人間界を覗き見ている設定になっていた。
あ,誤解のないよう。この台詞を発見しただけで,芝居は実に素晴らしかったことを念のために書き添える。
ほんとうだってばっ!

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コメント

>ゆっこさま
劇場に足を運ぶのですから,期待するなというほうが無理というもの。当然です。
ワタクシは戯曲の配慮の無い台詞にドン引きとなります。西洋芝居で,絵に描いた餅,亀の甲より年の功とか出てきたらもういけません。
あ,主題を変えたシェイクスピアもいけません。
ですから,子どものためのシェイクスピアのカンパニー!最高です。見続けたいですね。

投稿: とみ | 2006年3月24日 (金) 12時58分

とみさま、こんにちは。
「沙翁に学ぶ観劇の心得」とても身につまされました。
「だめなものであればこそ,それを喜んでやるのが心遣り」ですかぁ。うーむ。
好き嫌いが激しく、文句が多く、ついつい役者の「あら捜し」に走りがちな私には
耳の痛いお言葉です。
シーシュース=オーベロン=シェイクスピアの境地に達しているなんて、
本当にすばらしい!!

投稿: ゆっこ | 2006年3月23日 (木) 16時22分

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 「子供のため〜」と称されてはいるが、お子チャマに見せるのなんて「もったいない」と毎回思ってしまうほど、このカンパニーの完成度は高い。今回もまた少数精鋭の役者たちが見事なチームワークで、遊び心に富んだスピーディーで躍動感あふれるシェイクスピアの世界を繰り広げていた。「お硬くて退屈」と思われがちなシェイクスピアを、最小限の舞台セットと役者で、これだけ楽しく、わかりやすく描く力は本当にお見... [続きを読む]

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