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2006年3月25日 (土)

三月大歌舞伎・昼の部(浄書)

十三世片岡仁左衛門追善興行,3月21日(火)の昼の部の観劇記をまとめる。

吉例寿曽我
寿曾我対面に代表される数ある曾我もののなかでも,ビジュアル的楽しさ溢れる一幕。
・鶴ヶ岡石段の場
石段で近江小藤太・進之介丈と八幡三郎・愛之助丈が切り結ぶ。がんどう返しで場面は次の大磯へ。
・大磯曲輪外の場
だんまりや絵面の見得など歌舞伎の約束事とお役のカタログ的場面。中央に工藤・我當丈。五郎・翫雀丈,十郎・信二郎丈,大磯の虎・芝雀丈,化粧坂の少将・家橘丈他。
一遍にごちそう出されても見切れまへ~ん。というてるうちに幕。
義経千本桜・吉野山
狐忠信・幸四郎丈,静御前・福助丈,早見藤太・東蔵丈での吉野山。 狐さんも静御前もお衣装が重厚で立派。主役カップルも重厚で立派,おーお雛さま…。ふと気が付くと狐手で花道引っ込んでおられた。面目ない。
道明寺
NEC_0065 上演時間2時間という長丁場。十三世の神懸かり的な菅丞相を,当代が追善狂言で演じる。
菅丞相は,政敵藤原時平に謀反の汚名を着せられ,太宰府に左遷されることになるが,理由とされたのが,養女苅谷姫・孝太郎丈と皇弟斉世親王との恋であった。流人となる旅であるが,篤実な判官代・富十郎丈の計らいで,河内の国那領の後室伯母覚寿・芝翫丈の屋敷で潮を待ち,伯母や娘との対面を許される。
娘立田の前・秀太郎丈,立田の前の夫宿禰太郎・段四郎丈,その父土師兵衛・芦燕丈。
・杖折檻
丞相の木像が奇跡を見せる伏線となる導入部。全編の芯を取る芝翫丈がしゃきっと格好良い。
・東天紅
宿禰太郎とその父は,時平方。菅丞相を偽の迎えで強奪し,亡き者にしようと企んでいる。偶然聞いてしまった立田の前を,無惨に殺害する。偽の迎えのため,鶏を早鳴きさせようとする一連の動きがひたすらおかしい。悲劇の中でもおかし味がある歌舞伎の特質が心地よい。
いよいよ,菅丞相のご登場。衣冠束帯の画像のようなお姿。装束は白。神々しいが何か変。あー行ってしまわはった。
愚直な中間宅内・歌六丈が立田の前の遺骸を発見し,物語は急転する。覚寿は真犯人を見破り,娘の敵宿禰を成敗する。
本当の迎えの判官代輝国が到着するが,既に出立したと告げる覚寿。事の重大性に騒然となるが,御簾うちから,菅丞相の声が…。
冠無しの青紫の束帯。麗し~。
木像は白,本物は青紫の装束。理屈ではない。菅丞相は存在だけで観客を納得させなければならない。長身小顔の枯れたお姿は,身も心も清浄で気高い。
・丞相名残
悲劇のクライマックス。丞相の出立となる。一目養父にまみえたい苅谷姫の身も世もない嘆きと,振り切ろうとする丞相の抑制の効いた嘆きとの対比が悲しさを相乗する。
振り返らず行こうとするが,堪えきれず振り返る。観客の涙の堰が一度に決壊する。仁左衛門丈も涙を流しておられた。
長かった。遠かった。道明寺への道。感動へのプロセス。

売店では今月は道明寺を販売していたが,迷わず生天神の写真を購入した。

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歌舞伎」カテゴリの記事

コメント

>ぴかちゅうさま
菅原伝授手習鑑。道明寺抜きの文楽公演明日行って参ります。通しですと座組にトップクラスの役者さんを綺羅星のように集めないといけませんので,文楽なら可能かも…。
>asariさま
ようこそ。貴宅にワタクシも獅子丸もお邪魔しています。獅子丸は猫なのでアサリという名に反応するようです。毎週でも通いたい丞相様でした。
次月の様子もお聞かせ下さいませ~。
>かしまし娘さま
記憶している範囲では,2003年7月大阪松竹座。仁孝親子の男女道成寺の所化に襲名前の千代之助くんが出られてました。すし屋と壺坂霊験記が感動的でした。
そんなに待たなくてもきっとすぐですよ。と,勝手に決めておりますが…。

投稿: とみ | 2006年3月31日 (金) 23時02分

まいど!
私も以前「生写真」購入しちゃいました~。
松嶋屋全員集合~!
終わってしまって淋しいっす。
今度はいつ皆さんの揃い踏みが観れるのでしょーか…。
何年も待つんやろ~な。上方でぐらいパ~ッとやってくれてもええのに…(独白)

投稿: かしまし娘 | 2006年3月31日 (金) 17時32分

こんにちは。TBありがとうございました。

今月の道明寺、とても素敵でしたね。
ついつい回数を重ねて4回通ってしまいました(^^ゞ
ぴかちゅうさん同様、私も菅原の通しを観たくなりました。

投稿: asari | 2006年3月31日 (金) 02時03分

昼の部も2回に分けて書きましたので2本TBさせていただきましたm(_ _)mビバ松嶋屋!の3月でした。「菅原伝授...」の通し上演なるものを観てみたいものだと思いました。
5月は前進座も観ようと思っているのですが、うわっどうしよう的あちこち観たい観たい状況。どうなることやら(^^ゞ

投稿: ぴかちゅう | 2006年3月28日 (火) 00時56分

>スキップさま
太宰府天満宮は昨秋,九州博物館のオープニングと併せて行って参りました。参道で販売されている出来たての梅が枝餅は,純朴なお味がイケてました。飛梅も見ました。なんでも,航空業界で飛梅信仰があるそうです。ほんまやろか。
拙文で感動や丞相の清廉さをお伝えしきることは出来ませんが,品格のある追善興行であったことは確かです。
>ねもさま
ただの粗食主義です。(^^ゞ
五月新橋の夜の部!ウラヤマシ~。新橋はどちらかひとつを選ぶなら夜です。歌舞伎座は悩ましいです。文楽も厳しい争奪戦とか。他にも見たいお芝居が一杯。お江戸に行きたい~。
ご家族でご観劇の楽しいレポお待ちしています。

投稿: とみ | 2006年3月28日 (火) 00時30分

とみさま。
上京されていたのですね(^^)
肉絶ちをして今回の演目に備えたというエピソードをとみさまのコメントで知りました。
来月はお休み、五月は新橋の夜の部(昼は取れませんでした)と歌舞伎座、行けたら・・・文楽と忙しくなりそうです。
私も拙いコメントですが、TBさせていただきました。

投稿: ねも | 2006年3月27日 (月) 21時34分

とみさま
詳細観劇記ありがとうございます。
幼少期を福岡で過ごして、大宰府天満宮と菅公には特別の思い入れのある私(とは申せ、幼い頃は梅が枝餅と隣の遊園地が楽しみでしたが)は、とみさんのレポート読むだけでもう涙がにじんできました。仁左衛門さんも涙を流されていた由、入魂の演技を目の当たりにされて、とみさんはじめその場に居合わせた方々はお幸せでしたね。ほんとにうらやましいです。

投稿: スキップ | 2006年3月27日 (月) 01時46分

>cocoさま
千穐楽はさぞ盛り上がっていることでしょう。松嶋屋の隆盛を寿ぎ,お小遣いと体力の続くかぎり応援しましょう。
>rikaさま
コメント及びトラバありがとうございました。また,ブックマークも光栄です。なんせ細々と観劇していますので気長にご覧いただけたらありがたいです。
道明寺,タイトルロールの登場時間は短いですが,全ては丞相さまの立派さから物語が成り立ちますので,ご登場の瞬間に観客も集中力を高めたいものです。
お役そのまま,覚寿さまの責任,重いですね。拝見しますと,背筋がしゃきっと伸びそうです。
>よんたんさま
トラバありがとうございます。
仁左衛門丈は,どのお役でも説得力があられて,芝居好きを喜ばせて頂けます。次月も楽しみです。まだ,観劇できるか見えていませんので,まずは,京の彼方でみなさまのエントリーを楽しみにしております。

投稿: とみ | 2006年3月26日 (日) 21時05分

こんにちは。観劇レポ、お待ちしておりました。
私は数日前にマイ千穐楽を終えてしまって何だか寂しいのですが、
他の方々のブログを拝見しては、いろいろと思い返しているところです。

ところで私も稚拙ながら昼・夜の感想(と言えるほどでもないのですが・・・)を書いております。
後ほどTBさせて下さいませ。

投稿: よんたん | 2006年3月26日 (日) 14時44分

とみさん、こちらにもお邪魔します。
私が歌舞伎座に行ったのはもう20日も前なのに
舞台を観た時の感動が甦ってきました。

>一遍にごちそう出されても見切れまへ~ん。
まったくその通りでした(笑)。
「キャー吉弥さん、キャー亀鶴さん、キャー・・・。」
といっている間に幕になっていました。

私は『道明寺』を観るのが初めてでしたので
前半の“覚寿”と“立田の前”が新鮮に感じられ、
“丞相さま”の哀しみまでは気持ちが付いていけませんでした。
もう一度ゆっくり観てみたいです。

私の大分前の観劇記ですがTBさせてください。
それと、こちらのBlogをうちのブックマークに入れさせてください。
よろしくお願いします。

投稿: rika | 2006年3月26日 (日) 11時00分

とみさま 観劇記のアップ、お待ちしておりました。日曜は終日歌舞伎座おこもり予定ですが、平日の仕事疲れでどれほど沈没しないですむことやら・・・花道引っ込みの丞相さま、じっくり拝見してきます。夜の部も、楽しみです♪写真も無事ご購入されたのですね。仁左さまがOKお出しになった写真、こちらも超楽しみなんです~ それから、まだやり方も知らないのですがトラックバックさせてくださいますよう、お願いします。

投稿: coco | 2006年3月26日 (日) 01時33分

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