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2006年2月19日 (日)

劇団四季・異国の丘

2月19日(日),京都劇場で,先週開幕したばかりの劇団四季・ミュージカル異国の丘を観劇した。メインキャストは以下のとおり(敬称略)
九重秀隆・下村尊則,宋愛玲・佐渡寧子,吉田・中嶋徹,神田・深水彰彦,西沢・神保幸由,大森・江上健治,宋美齢・武木綿子,李花蓮・団こと美,劉玄・青山祐士,宋子明・山口嘉三,蒋賢忠・中村啓士,九重菊麿・武見龍麿,アグネス・フォーゲル夫人・久野綾希子,クリストファー・ワトソン・志村要(劇団俳優座),メイ総領事・高浜幸兵,ナターシャ・西田有希(劇団俳優座)

昭和三部作の第二作は,旧ソビエト連邦に第二次世界大戦の捕虜としてシベリアに抑留され,全ての捕虜の帰還が認められた昭和31年に,苦難の生涯を終えた貴公子の物語。
想像を絶する極寒の強制収容所で,人道を逸した捕虜虐待。生きるために協力者になる道を進める友人の「神田」。少しでも人々の心を癒そうと作曲を続ける「吉田」。秀隆は日本人の心の美しさを信じ,スターリン政権への協力を拒否し続ける。そんな秀隆には,鮮烈に散った高潔な魂を持つ恋人への思いがあった。
物語は,1937年ニューヨークに始まる。ときの日本国首相の令息・九重秀隆は,軍部の大陸進出という慌ただしい戦局にもかかわらず,合衆国に留学し,政治学を学びながら青春を謳歌していた。秀隆は,気の置けないパーティーで美しい東洋の女子学生と出会い心惹かれる。しかし,翌日,英国総領事館主催のパーティーで再びであったその娘は,中華民国政府高官の令嬢で,日本軍の暴虐を欧米列強に訴えるために来ていたのだった。
許されない二人だったが,運命は,この愛をつかの間,引き合わせ,無惨に引き裂く。

主演の下村氏は,何でも異国の丘のモデルとなった近衛文麿首相の御曹司とそっくりとか。どちらかといえば,貴公子系よりキャラクターダンサー系のお役が仁の好漢であられる。どうしてどうして,美声とシャープな所作で,ピュアな青年になっておられた。雪焼けメイクはリアリティを意識してと思われるが,立ち役は省略しても良かったのでは…。
ヒロインの佐渡さんはアムネリスでお馴染み。すらーっと長いおみ足。艶のある黒髪。チャイナドレスが余らず完璧スタイル。また,高音域が綺麗に伸びる歌姫系ソプラノである。声量のある二人の二重唱は聴き応えがあった。
貴種恋愛譚より,物語は,「西沢」はじめシベリアの凍土に眠る一般人の故国への望郷を静かな曲で訴える。帰還する者全員が残留する平井より口述で伝言を暗唱するシーンが主題と思って間違いなかろう。下村さん演じる秀隆は,捕虜達の中にあって精神的求心力がパワフルに表現されていた。「神田」との友情も篤かった。「吉田」との歌曲を通じた精神的結びつきも美しかった。
惜しいのが,下村さんは男の友情は固かったが,看守ナターシャが思慕するようには見えなかったこと,恋人に殉じるようには見えなかったことが少し残念。これは,石丸さんが演じた場合の特性かもしれない。
いずれにしても三部作は名作。様々なキャストで演じ続けて欲しいと願わずにいられない。
今日のカテコは6回。スタンディングの方もおられた。京都人も良い舞台にはきちんと礼を尽くす。

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