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2006年1月25日 (水)

大阪松竹座寿初春大歌舞伎昼夜通し再見!

21日(土)大阪松竹座に,寿初春大歌舞伎・今公演最後の土日になるので,マイ千穐楽として昼夜通しで観劇した。
初日に舞い上がらんばかりに狂喜し,幸せな一月を過ごさせて頂いた。印象がかなり異なるので,記録しておきたい。
結論から言うなら,初日は役者さんを見て,二度目はドラマを見たと言える。終盤の佳境に入った舞台は,どの一本を取っても,物語が粒だって心に痛いものであった。
義堅最期
初日は,愛之助丈の死闘に近い熱演に緊張し,正直,愛之助丈以外に目が入らなかった(オイオイ)。しかし,今回は女形さんたちの熱演によりドラマが見えてきた。偶然行き合わせた小万が,手負いの義堅から白旗を託され,末期の水をとる一連のシーン。実盛物語の白旗を握ったまま切り落とされた腕につながるわけだが,お二人に見せていただいた固い主従の絆に,死をも恐れぬ大義があることを確信した。
十六夜清心
稲瀬川心中の場で,玉さまがせかせかしておられたのは,十六夜さんが清心さんに会いたい一心で廓を抜けてこられたためであった。一挙手一投足が自然で,せっかちな素の玉さまに見えていたのか!。
十六夜清心の悪縁の強さにあきれたり笑ったり。黙阿弥劇らしい実は…のどんでん返しに膝を打ち,「そうでなくてはいけませぬ。」と心の中で合いの手を入れながら,切っても切れないお二人の長年の絆を感じた。
神霊矢口渡
実は,この演目,大仕掛けでストーリーも唐突で大好きである。登場人物がいかにもというのがまたよい。そのいかにもに,全員がはまり役で劇画のような楽しさ。孝太郎丈は小万に続き,娘の純情と激しい恋心を大熱演。惜しいのが終幕の祈る姿に絵画的美しさが欲しかったか。
道行旅路花婿
浅葱幕が切って落とされた瞬間に,二人で一つの合羽を羽織った旅装束のお二人。キャー以外の言葉がない。主演コンビには説明不要,問答無用。「二人が恋に落ちたプロセスをしっかり描いて欲しかった。」という間抜けな劇評があれば犬に食わせよう。登場しただけで二人だけの世界。
二人だけの世界で玉さまの魔力はさらにパワーアップ。袖で勘平を庇う仕草は母鳥のように慈愛に溢れ,勘平さんはふにゃふにゃに…。御法度のはずの恋が主君の凶事のおかげで成就して,女はうれしさを隠しきれず,男は意気消沈。わ,わかりやすい!
「おかるおじゃ」。「あ〜い」。花道下では観客が討ち死にである。
五段目
与市兵衛さん,定九郎,千崎,みなキラキラしてお役を生きておられるのが美しい。仁左さまのお芝居は相手まで輝かせる。
六段目
「かる」。「えっえー」。門口におられたおかるちゃんは一瞬で勘平さんの腕の中へ。切ない別れの抱擁は何度みても息が詰まる。悲しすぎる。体面も地位も全て引き替えにした唯一人の女。全てを捨てて手に入れたものを失うことがたまらなく悲しい。
ここからの仁左さまの演技は大仰ではないからこそ,絶望感で惹きつける。
この日は,恋という戦場に討ち死にする満足感は微塵も感じられなかった。「かる」,「かる」と幾度も名を呼びながらおかやに看取られ,おちいる勘平。おかるだけに生きた痛ましい男の最期であった。救いも赦しもなかった。妥協のない悲劇。妙な甘口の解釈で,観客を甘やかさない仁左さまに打ちのめされた。泣いて席を立てない観客もたくさんおられたようだ。あきません。思い出しては当分泣ける。
春調娘七種
帰られる観客は少なかった。これを見ずには帰れない。猿弥丈の長袴の裾捌きがお綺麗。足の長い段治郎丈は袴の余りが少ないのでこの味は出せない(爆)。

道頓堀にえべっさんの観覧車が…。
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コメント

TBありがとうございました!
おとみさんの感想、楽しみにしておりました。
「おかる、おじゃ」「あーい」で、花道下の観客が討死と
いうのは本当によくわかります。
二階席の私でも、キャーって双眼鏡越しに卒倒しました
から。今年の正月松竹座は、演目もCASTも素晴らしくて
遠くなければ何度も通いたかったです(涙)

投稿: 管理人A | 2006年1月27日 (金) 19時17分

>スキップさま
楽しい一ヶ月でした。ずうっと記憶に残ります。仁左さま,玉さまと同じ時代に生きていることを寿がずにはいられません。また,次世代の方々が継承してゆくのかと考えますと,物語の持つ力の凄さに思い至ります。
どこかの劇場でお目にかかる日もそう遠くないことでしょう。すでにお目にかかっているのかもしれませんね。

投稿: とみ | 2006年1月27日 (金) 16時12分

とみさま

「ドラマを見た」2度目の観劇記、楽しみに読ませていただきました。迎春気分沸き立つ初日とそんなに印象が変わるというのも、とても興味深いですね。
同じ日に夜の部を観ていた私、やっぱり六段目は泣きました。
“懸命に生きているだけなのに運命に裏切られる悲劇を、仁左衛門が抑えのきた情感で演じ、哀れさ切なさが静かに満ちて余韻を残した”と新聞評に出ていましたが、まさしくその通りで、あまりに余韻が残りすぎて、しばらくは他の人の勘平は見たくない気分です。

投稿: スキップ | 2006年1月26日 (木) 00時54分

>かしまし娘さま
小心者のとみは大胆な観劇記がかけませぬ。いつも楽しませて頂いております。夜の部もネタバレ満載でお願い致します。
>びんちょ♪さま
ハンドルネームは八百屋お七に登場する紅長さんにちなんででしょうか。
拙ブログは獅子丸,貴ブログはおだんじくん。命名の発想は同じというところが愉快ですね。もしよろしかったら,ときどきはのぞいてやってくださいませ。

投稿: とみ | 2006年1月25日 (水) 23時31分

おとみさん、初めまして。
TB&コメント、どうもありがとうございました。
松竹座の記事、やっとこ昼の部が書けました。
夜の部はまた明日アップできたらと思っています。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします♪

投稿: びんちょ♪ | 2006年1月25日 (水) 22時14分

おとみ様
当方のブログにTB有難うございました。
メンテナンスと重なり、削除せざる得なくなりました。
お手数ですが再度TBして下さいますようお願いいたします。
大変申し訳ございません…。

投稿: かしまし娘 | 2006年1月25日 (水) 17時30分

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