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2006年1月

2006年1月31日 (火)

今週から福井さんが清原久雄!

劇団四季の公式ホームページは,その週に行われる公演のキャストが掲載されている。従前はアンサンブルも含めて,日ごとに記載されていたが,現在は,その週に出演の可能性が高い俳優さんの名が掲載されている。
今週は表題のとおり。
劇団四季の福井晶一さんは,主にミュージカルを中心に活躍。芸暦を全て熟知しているわけではないが,キャッツのマンカスには定評がある。正義感溢れる芸風で,古風で質実,痩身のルックスが,華やかさを求められるラダメス将軍より,鹿鳴館の清原久雄という憂国の壮士がお似合いと思われる。きっと輝いておられるに違いないと信じて,週末,お江戸に行く。

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2006年1月29日 (日)

三谷幸喜の全仕事(別冊宝島)面白さのツボ!

023929220000 税込価格 : \1,000 (本体 : \952)
出版 : 宝島社
サイズ : B5判 / 144p
ISBN : 4-7966-3785-0
発行年月 : 2004.1
利用対象 : 一般


内容説明

日本コメディ史に残る作家・三谷幸喜の仕事をジャンル別に解説&評論。「古畑任三郎」から「新選組!」まで、ほぼ全作品を取り上げる。松本幸四郎、役所広司ら俳優10人が三谷作品を語る。
三谷三昧の週末に締めの一冊。
「新選組!」までの全仕事が収録されている。初期からの贔屓もにわかファンも楽しく読める。主人公が事件に立ち向かうことにより,気付かなかった自分の力を知ったり,本物以上の力を発揮する偽物の出現など,全ての視聴者へのエールとなっているところがツボのようだ。ただし,在庫切れのため,古書店やネットで探さなくてはならない。

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2006年1月28日 (土)

12人の優しい日本人

28日(日),千穐楽まで3公演を残すのみの「12人の優しい日本人」昼公演を運良く観劇できた。WOWOW生放送やファイナルフィナーレに向けて関西に来ておられる三谷幸喜氏の舞台挨拶があった。かなり得した気分。近くの映画館で上演されているTHE有頂天ホテルでも舞台挨拶があったとか…。
1990年,三谷氏が,12人の怒れる男をベースに東京サンシャインボーイズのために書き下ろし,1991年には映画化もされた名作中の名作法廷ドラマ。日本に陪審員制度導入が検討されている今,あらゆるジャンルから現在最高の俳優さんを集結させ,ベストキャストで4度目の上演となるものである。
性別,年齢,職業など全く異なる12人の人間性むき出しのバトルは,おもしろおかしく,身につまされながら頷き,膝をたたいて,最後は真実に到達し,さわやかな感動のうちに元気をくれる。
三谷演劇の人気は,登場人物に感情移入し,自分自身を見出し笑い飛ばすところにある。登場人物は自分の体験からしか思考は組み立てられない。一応のまとめ役となっているリベラルらしい陪審員一号ですらそうである。ここに劇の行方の鍵を握る陪審員11号が,思わぬ活躍する。三谷演劇共通の偽物が本物以上の力を発揮し,みんなも本人も救うという枠組みがこのときから見られる。
皆さんの熱演に全員のスタンディングオベーション。鳴りやまない拍手にこのときを共有できたことに感謝した。あーよかった。

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2006年1月27日 (金)

三谷幸喜氏のTHE 有頂天ホテル

27日(金)。明日12人の優しい日本人を見に行く前祝いに,三谷氏のTHE 有頂天ホテルを今見てきたところである。グランドホテル形式の戯曲で,悲喜こもごものうちにハッピーになれる。明後日は舞台挨拶があるようだ。

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2006年1月25日 (水)

大阪松竹座寿初春大歌舞伎昼夜通し再見!

21日(土)大阪松竹座に,寿初春大歌舞伎・今公演最後の土日になるので,マイ千穐楽として昼夜通しで観劇した。
初日に舞い上がらんばかりに狂喜し,幸せな一月を過ごさせて頂いた。印象がかなり異なるので,記録しておきたい。
結論から言うなら,初日は役者さんを見て,二度目はドラマを見たと言える。終盤の佳境に入った舞台は,どの一本を取っても,物語が粒だって心に痛いものであった。
義堅最期
初日は,愛之助丈の死闘に近い熱演に緊張し,正直,愛之助丈以外に目が入らなかった(オイオイ)。しかし,今回は女形さんたちの熱演によりドラマが見えてきた。偶然行き合わせた小万が,手負いの義堅から白旗を託され,末期の水をとる一連のシーン。実盛物語の白旗を握ったまま切り落とされた腕につながるわけだが,お二人に見せていただいた固い主従の絆に,死をも恐れぬ大義があることを確信した。
十六夜清心
稲瀬川心中の場で,玉さまがせかせかしておられたのは,十六夜さんが清心さんに会いたい一心で廓を抜けてこられたためであった。一挙手一投足が自然で,せっかちな素の玉さまに見えていたのか!。
十六夜清心の悪縁の強さにあきれたり笑ったり。黙阿弥劇らしい実は…のどんでん返しに膝を打ち,「そうでなくてはいけませぬ。」と心の中で合いの手を入れながら,切っても切れないお二人の長年の絆を感じた。
神霊矢口渡
実は,この演目,大仕掛けでストーリーも唐突で大好きである。登場人物がいかにもというのがまたよい。そのいかにもに,全員がはまり役で劇画のような楽しさ。孝太郎丈は小万に続き,娘の純情と激しい恋心を大熱演。惜しいのが終幕の祈る姿に絵画的美しさが欲しかったか。
道行旅路花婿
浅葱幕が切って落とされた瞬間に,二人で一つの合羽を羽織った旅装束のお二人。キャー以外の言葉がない。主演コンビには説明不要,問答無用。「二人が恋に落ちたプロセスをしっかり描いて欲しかった。」という間抜けな劇評があれば犬に食わせよう。登場しただけで二人だけの世界。
二人だけの世界で玉さまの魔力はさらにパワーアップ。袖で勘平を庇う仕草は母鳥のように慈愛に溢れ,勘平さんはふにゃふにゃに…。御法度のはずの恋が主君の凶事のおかげで成就して,女はうれしさを隠しきれず,男は意気消沈。わ,わかりやすい!
「おかるおじゃ」。「あ〜い」。花道下では観客が討ち死にである。
五段目
与市兵衛さん,定九郎,千崎,みなキラキラしてお役を生きておられるのが美しい。仁左さまのお芝居は相手まで輝かせる。
六段目
「かる」。「えっえー」。門口におられたおかるちゃんは一瞬で勘平さんの腕の中へ。切ない別れの抱擁は何度みても息が詰まる。悲しすぎる。体面も地位も全て引き替えにした唯一人の女。全てを捨てて手に入れたものを失うことがたまらなく悲しい。
ここからの仁左さまの演技は大仰ではないからこそ,絶望感で惹きつける。
この日は,恋という戦場に討ち死にする満足感は微塵も感じられなかった。「かる」,「かる」と幾度も名を呼びながらおかやに看取られ,おちいる勘平。おかるだけに生きた痛ましい男の最期であった。救いも赦しもなかった。妥協のない悲劇。妙な甘口の解釈で,観客を甘やかさない仁左さまに打ちのめされた。泣いて席を立てない観客もたくさんおられたようだ。あきません。思い出しては当分泣ける。
春調娘七種
帰られる観客は少なかった。これを見ずには帰れない。猿弥丈の長袴の裾捌きがお綺麗。足の長い段治郎丈は袴の余りが少ないのでこの味は出せない(爆)。

道頓堀にえべっさんの観覧車が…。
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2006年1月22日 (日)

らくがきにんさまバナー

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リンクはお世話になっているサイトの文字をクリックしてくださいませ。初心者ゆえ,画像にリンク張るのに手間取っています。

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人形は口ほどにものを言い・赤川次郎

人形は口ほどにものを言い
赤川 次郎著
小学館 (2004.1)
通常2-3日以内に発送します。

赤川次郎氏が文楽を取り上げた演劇エッセイ。文楽が聞く三面記事として人気を博した実録ものであっただけでなく,文学作品として人間の真実を観客に問いかける素晴らしいドラマであることを,現代人にお馴染みの一般的なエンタテイメントを引き合いに,そのおもしろさをクロスオーバーに語る。
舞台芸術に共通する見せ方や感動の取り方が,氏らしく闊達に自在に語られ非常に得したという読後感がある。

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仮名手本忠臣蔵・上村以和於

仮名手本忠臣蔵
上村 以和於著
慶応義塾大学出版会 (2005.10)
通常24時間以内に発送します。

格調高く,洞察力鋭く,お芝居に関わった全ての人々への限りない愛に溢れる上村以和於氏の最新刊。演劇界に連載されたエッセイを編集加筆したもので,仮名手本忠臣蔵鑑賞の優れた手引きとなるだけでなく,あらゆるジャンルの忠臣蔵もの楽しみを倍増すると共に,日本人の精神の根底に潜む仇討礼賛を解き明かす文化論ともなっている。
元禄年間に地方大名が引き起こした殺人未遂事件と,これに続く家臣団の殺人の完遂という二つの蛮行が,なぜ時代を変え,後の世の日本人の精神世界を支配する快挙となり得たのか。決定版となった仮名手本忠臣蔵の各段を読み解き,丁寧にドラマツルギーを解説して頂いているので読み進むに心地よい。
なかでも全編のヒロインおかるとその家族,悲運の恋人勘平のくだりは,エッセイの粋を超えて作品世界に誘ってくれる。
今月の歌舞伎興行は,仮名手本忠臣蔵,五段目及び六段目が東西新旧競演となっていて,作品の持つ力の凄さを見せつけられたばかり。観劇の芳醇なアぺリティブにも,ビターな食後のエスプレッソとしても最適の書である。

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2006年1月15日 (日)

獅子を飼う

15日(日)兵庫県立芸術センターに,「獅子を飼う」を見に行った。
同演目の初演は1992年,「ひょうご舞台芸術」の第1回公演として,平幹二郎丈及び板東三津五郎丈主演で上演された。今回は,昨秋オープンした兵庫県立芸術センターの記念事業として,1月前半に地元で,後半に東京池袋のサンシャイン劇場でかけられる。
戯曲は,芸術監督山崎正和氏,演出は栗山民也氏
キャスティングは以下のとおり(敬称略)。
千宗易:平幹二郎,豊臣秀吉:板東三津五郎,ねね:平淑恵,於絹:大鳥れい,豊臣秀長:高橋長英
天正16年(1588年),豊臣秀吉の天下平定は成り,聚楽第に天皇を迎えた。このとき接遇を務めたのが,堺の納屋衆から天下一の茶匠となった千宗易。戦乱の世は鎮まりつつあり,公家文化に変わる武家文化により天下支配を目論む秀吉にとって,茶の湯とそれを司る宗易は必要な人材であった。しかし,この日を境に蜜月は終わろうとしていた。二人の仲を気遣い修復しようとする弟秀長と北の方ねね。宗易は敢えて秀吉の不興をかうような行動をとる。秀吉は天下人の威信にかけて黙殺する。

演技者が容姿も技術も優れているのも自明のこと。衣装も傾いて斬新。装置は象徴的で芸術性が高く,観客の知識を試す。照明や火の使い方も演技者の心象を映し出し秀逸。音響も伝統芸能のあしらいを踏襲し,耳慣れている者に分かりやすい。
板東三津五郎丈演じる秀吉さんは,感情の起伏が激しく暴君的であるが人間味あふれかわいい。平幹二郎丈の宗易は,自己にも他者にも厳しいストイックな求道者としての印象が強い。この平幹丈の役者としての特性が物語の主題を幻惑する。宗易は,命を賭して傲岸不遜にも天下人を精神的に支配しようとしたのか。
結論は,観劇した者の心ごころの中に…。
写真は兵庫県立芸術センターNEC_0061 NEC_0060

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2006年1月14日 (土)

プライドと偏見

プライドと偏見 PRIDE & PREJUDICE
監督: ジョー・ライト
出演: キーラ・ナイトレイ,マシュー・マクファディン,ドナルド・サザランド,ブレンダ・ブレッシン,ジュディ・デンチ
18世紀末イギリスの中産階級と資産階級の恋愛譚。 田舎の中規模地主のベネット家には,律儀な父と陽気な母と5人姉妹が平和に暮らしていた。 少しでも資産のある殿方との縁組みをと,母と娘たちは戦々恐々としていたが,父は愛のある結婚をという信念を持っていた。
近所に資産家の令息ビングリーが越してきた。 すわっと突進するベネット一家。心優しいビングリーとお人好しの長女ジェーンとは良い感じになるが,ビングリーの友人のダーシーの高慢さに,才気煥発な次女エリザベスは反感を持つのだった。娘達の恋の行方は二転三転する。

ジェーン・オースチン・の最高傑作の映画化。年末来楽しみにしていた「プライドと偏見」。図書では「高慢と偏見」の方がとおりがよいか。ジェーン・オースチンの作品には,日常生活と縁談しか登場しないが,人生の機微が品よくちりばめられて,はらはら,どきどき,そうそう,と登場人物たちに感情移入し,心がほこほこと暖まる。女性の社会的地位の低さや,身分制の強い社会のあり方は,物語の枝葉末節。真実の愛を妨げるのは,小さな行き違いと大きな誤解からという主題は,いつの世にも珠玉のように全女性に訴えかける。
ディム・ジュディ・デンチとドナルド・サザランド氏という名優がごちそうでご出演。ドナルド・サザランド氏が演じる父上は,有り得ないほど最高であられた。
美しい田園風景,衣装,音楽,美男美女,エスプリとユーモア。上品に知的に完璧であったが,どこか破綻しているところを残しておいて欲しかったか。

高慢と偏見 上
ジェイン・オースティン著 / 中野 康司訳
筑摩書房 (2003.8)
通常24時間以内に発送します。

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2006年1月13日 (金)

「三島由紀夫」とはなにものだったのか・橋本治著

「三島由紀夫」とはなにものだったのか
橋本 治著
新潮社 (2005.11)
通常24時間以内に発送します。

明日から劇団四季で「鹿鳴館」が上演される。今夜読むには,三島由紀夫戯曲集又はこの本であろうか。著者は三島由紀夫氏が同時代の文壇の寵児であった時代をリアルタイムで体験している。何だか良くわからないけれどみんな読んだと素直に述懐し,純文学の作家がスターになり得た時代であったと説く。
「鹿鳴館」は昭和31年に新劇の女優杉村春子氏のために書き下ろされ,同年11月に初演されている。三島氏はミューズを追い求め先代水谷八重子氏を経て,六世中村歌右衛門丈という存在に帰結した。野村玲子氏,当代水谷八重子氏,四世板東玉三郎丈…。往事に思いを馳せる後継者と同時代に生きることを今夜は素直に喜びたい。

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心中への招待状 小林恭二著

心中への招待状
小林 恭二著
文芸春秋 (2005.12)
通常24時間以内に発送します。

河竹黙阿弥と幕末のお江戸を,「三人吉三」を題材に考察した前著作「悪への招待状」の続編。近松門左衛門の「曽根崎心中」を,消費経済に沸騰する元禄の大坂の社会と文化背景を詳細に取材し,曾根崎以後の日本人特有の心中文化にまで言及する問題作。
なぜ,「曽根崎心中」は恋の手本となるだけでなく,後の世の心中そのもののあり方まで変える力を持ち得たのか。現在演じられている脚本と,大近松の原典と比較しながら解き明かす。読後には快哉が…。
一月の歌舞伎座や二月の国立小劇場文楽公演に行く前に,或いは観劇してから読んでもスッキリする。

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2006年1月 8日 (日)

国立文楽劇場初春公演・鰻谷&妹背山婦女庭訓

7日(土),国立文楽劇場・初春公演竹本住太夫文化功労者顕彰祈念・夜の部を見に日本橋へ出掛けた。芝居の神様のご加護か,連れが来られなくなった方から,床に張りつきそうな良いお席を譲っていただき,耳の正月。投げられた手拭いまでゲッツ。浪速の春を堪能した正月であった。
桜鍔恨鮫鞘
【鰻谷の段】
鰻谷で入り婿として古道具商を営む元武士の八郎兵衛(吉田和生さん)は,主君のために五十両の金策に迫られ,家を長期空けていた。久方に戻ったところ,女房お妻(桐竹紋寿さん)は母と図り,夫に無断で新しい婿を迎えている。逆上した八郎兵衛は,女房と姑を惨殺のうえ自害しようとする。残された幼い娘が,泣きながら母の言い置きしことを語り始め,初めて真実が明らかとなる。
竹本綱太夫さんの語りは,野太い。しかし,幼い女の子がしゃくり上げながら母の真実を伝え,父を諫める段は悲劇が際立つ。金が仇。庶民に起きた惨劇は,救いも赦しもない。
妹背山婦女庭訓
【道行恋苧環】
太夫さん六人,三味線五台の華やかな大曲。人形もあでやかで,夜の部最大のエンタテイメント。求馬(吉田玉女さん・吉田玉男さんの代演),お三輪(吉田箕助さん),橘姫(吉田清之助さん)。浅葱幕が切って落とされる瞬間の効果は文楽の圧勝。瞬間的に幕は落下する。
十一月に続き初春公演も玉男さんはご休演。
求馬は,女形二人に比べ動きが少ない分,立ち姿にふるいつきたいほどの色香と清新さが求められる。求馬の人形は女の情念の憑りましやかたしろといったところか。
文楽では歌舞伎より更にお三輪の権利の主張は一途である。橘姫の応戦も姫の域を超えている。凄い凄いとあっけにとられ,至芸による耳と目の重奏攻撃に,説明不能の涙がこぼれる。これをおそらく滂沱と呼ぶのであろう。
橘姫と求馬が去ったあと,糸の切れた白い苧環を抱きしめキッとなるところの余韻は,観客をひれ伏させるものであった。
【鱶七上使の段】
鱶七は玉女さん。蘇我入鹿が登場してお花がぐにゃりとなる場面。前段で感動しすぎて沈没。
【姫戻りの段】
求馬さんと橘姫は黒子遣いさん。この場面の官女の首は美形。歌舞伎ならこの段の官女は真女形が,次の段のいじめの官女は立ち役さんが務めるが,本行の首をみて納得した。
【金殿の段】
いよいよクライマックス。太夫は豊竹咲太夫さん。鱶七は玉女さん,お三輪は箕助さん,豆腐の御用に桐竹勘十郎さん(ごちそう)。お美輪の首は「娘」で目が開閉する以外は表情がないはずであるが,物語のキーワードとなる凝着の相(嫉妬に燃える女の表情)に鳥肌が立った。手負いの時間は意外と長い。手負いが長いお芝居は個人的には嫌いだが,今度ばかりは,いつまでも続いて欲しかった。

手拭いは三番叟の図柄で,飴が3個(意味は?)結んであった。

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大阪松竹座・寿初春大歌舞伎昼の部2

昼の部は上方では珍しい上演となる十六夜清心通しと義堅最期である。
源平布引滝
【義堅最期】
主演の片岡愛之助丈は,仁左衛門丈に驚くほど似ておられた。初日のこともあり,緊張感をもって,きっちりと演じておられた。大熱演に心が熱くなるが,悲壮感は少々薄目。多田蔵人役の段治郎丈の奴姿は,おみ足の長さが災いしてバランスが悪いが,侍姿は素敵である。時代狂言らしく,様式的な人物が次から次へと登場し,それぞれ美しくそれらしく,感動的。
全員がやぶれかぶれになられたときの怖さに期待したい。
花模様薊色縫
【序幕】
玉三郎丈は,仁左衛門丈という年来のベストパートナーと組まれて,まさに水を得た魚のように十六夜を生きておられた。
序幕稲瀬川の場,廓を走り抜け出 してきて,鼻緒が切れる場面があるのはご存じの通り。客席からじわが…。
しかし,鼻緒をすげる手際の良さや裾裁きの鮮やかさから,妙にせっかちで可愛らしい十六夜さんだった。眼目の嫋々としたお二人の心中の場はたっぷり。ここでも気の早い玉様はさっさと飛び込んで仕舞われた。助け上げられてからの変わり身も早い!
弥十郎丈の白蓮,薪車丈の船頭の三人が乗り込むと船は狭い。
【二幕目】
玉三郎丈のお富風のお妾姿と尼僧が一度に楽しめる。
【大詰】
いよいよ何でもありの大詰め。序幕からの二人の変わり身に笑うしかないが,どんな姿になっても仁左さまと玉さまは,お似合いで仲がよろしい。坊主から伸びた半端な鬘もお似合い。
演じることが楽しくてようがないというお二人に観客はハッピーにして頂いた。

重要なキーパースンを占めた弥十郎丈,昼夜全演目制覇の猿弥丈の活躍が目立った。

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2006年1月 7日 (土)

大阪松竹座・寿初春大歌舞伎夜の部2

大阪松竹座観劇記
夜の部は,時代物2本と春を寿ぐ舞踊という新春にふさわしい並び。

神霊矢口渡
平賀源内作の時代世話狂言。
強欲な頓兵衛(片岡弥十郎丈)は,矢口で渡しを生業としているが,賞金稼ぎの殺しで財を成していた。父に似ず,娘のお舟(片岡孝太郎丈)は心根の優しい娘。父の留守に,男が一夜の宿を求める。青年のあまりに美しさにお舟は一目で心を奪われ,宿を貸すが,それこそ落人新田義峯(板東薪車丈)のやつす姿であった。
全員初役(たぶん)。田舎娘の純情には定評のある孝太郎丈は,いじらしく危なげない立ち上がり。頓兵衛の野獣郎(納得の変換ミス)丈は姿といい演技といい歌舞伎とも思えない迫真力。薪車丈は,信二郎丈と勝負できそうな二枚目振りでこれも説得力あり。

仮名手本忠臣蔵
【落人】
片岡仁左衛門丈と板東玉三郎丈という当代一のベストカップルのお二人の素晴らしさを引き出せる手堅い演目。ワタクシ的には本日一番のラブラブ&ハッピー感。
沈んだ勘平さんと度胸の据わったおかるちゃん。仁左衛門丈はうろたえるお姿が絵になる。玉三郎丈のおかるは,袂の扱いが魔法のように心模様を物語り,切腹しようとする軟弱な勘平さんの大小を易々と巻き上げてしまう。おかるは控えめな飾りのなかにも気品溢れる美しい腰元姿。ポスターを買ってしまった。
【五段目】
猟師となった勘平は,山崎街道でかつての同志・千崎弥五郎(市川段治郎丈)と会う。段治郎丈はお元気そう。千崎の立派な姿と痩身も素敵な狩人・勘平さんと並ぶと運命の対比が際立つ。
猪さんはキュートで勢いあり(笑)。
お待ちかね斧定九郎は色悪がはまる片岡愛之助丈。おみ足は,段治郎丈より短めであるが筋肉質で眼福。
悪いこととは知りながら財布を失敬する勘平さんの弱さが仁左さまらしい。
【六段目】
玉三郎丈は,これまた美しい石持ち眉なし女房姿。別れを惜しむ場面は真に迫り息が詰まりそう。
いよいよ誤解から切腹する圧巻の仁左さまの見せ場。短慮が際立ち哀れさが増す若者の勘平と違い,大人の勘平は,不可避な運命の恋に絡め取られた悲劇となっていた。不可避な運命の恋の相手は,玉三郎丈にしか演じられない。
忠臣蔵の物語の発端となったのは,おかるちゃんの性急な思いと積極的なアプローチ。歴史の糸車を回す運命の女神はイノセント。
仁左さまの六段目は,歌舞伎的な誇張や様式をふまえながらも,恋に殉じたことを強調する肉感とは無縁で清々しく,一筋の明るさがある。
おかるちゃんの行く末にも明るさは共通する。これは,玉三郎丈なら女郎に売られても充分やっていけるという七段目を知っているからでなく,夫のためと信じて廓へ向かう現実的で前向きな生き方がきっちり表現されているからである。若いピュアな女形さんでは悲しくなってしまうのとのの違いを見た。
悲しいだけではない六段目を見るのは初めてである。落人が前にあることも明るさに寄与している。

春調娘七草
曽我五郎(市川猿弥丈),十郎に(市川段治郎丈),静御前に(市川春猿丈)が扮し,正月風俗の七草行事を題材に踊るという趣向の長唄舞踊。
お三方ともお衣装がよく写り絵面のように美しい。ホッとする幕切れで気持ちよく劇場を後にすることが出来るよう演目が組まれている。努々お見逃しなきよう勧める。

総じて,長身,美形,口跡のよいというか滑舌のさわやか,かつ,脚本に忠実に演じるな役者さんを揃えているため,演劇的である。桜姫のときもそうであったが,こんなお話だったのかと,役者の個性に幻惑されて見えなかった物語の枠組みがしっかり伝わる。
もう少し深く考察したいので,もう一度見る!

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2006年1月 3日 (火)

宝塚バウホール宙組公演・不滅の恋人たちへ

3日(火),宝塚大劇場に隣接する小ホール(バウホール)に宙組公演を見に行った。
宝塚バウホールは,基本的に宝塚歌劇団が主催するプログラムを上演している小規模演劇ホールである。中堅や若手出演者のための登竜門として,或いは新進作家によるワークショップ的な役割を果たしてきたときくが,時代やその年のテーマにより位置付けが変わっているようだ。
2006年,年頭を飾るのは,宙組中堅の大和悠河さんと紫城るいさんによるフランス王政復古の時代に生きた情熱的な詩人アルフレッド・ミュッセと,男装の麗人として著名な作家・ジョルジュ・サンドとの恋を描いたミュージカル。ショパン等おなじみの同時代・ロマン派の楽曲が織り込まれている。
ミュッセは,上層階級に属しているが,医学や法律など,何に身を入れる訳ではなく,放埓な日々を過ごす。ブロンドの巻き毛,ばら色のほほ,恵まれ過ぎた容姿・有り余る才能を御することの出来ない青二才であった。
サンドは,ほとばしる自由への憧れと生命力に溢れ,来る時代を呼び込むかのような一陣の風。多くの芸術家たちにインスピレーションを与え,文壇の寵児となっていた。出会うべくして出会った二人は必然的に恋に落ちるが,幸福が訪れようはずは無かった。
主演二人の魅力を引き出すように書かれているので,視覚的にベスト。とりわけ大和さんは演技力に優れ,バトルにも似た壮絶で痛ましい恋は,宝塚歌劇の域を超えたリアリティで説得力があった。

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2006年1月 2日 (月)

大阪松竹座・寿初春大歌舞伎夜の部

1月2日(月)大阪松竹座・寿初春大歌舞伎夜の部も通しで観劇した。
片岡孝太郎丈主演心霊矢口渡,片岡仁左衛門丈&坂東玉三郎丈主演仮名手本忠臣蔵・道行旅路の花婿,五段目及び六段目,春調娘七種他。

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大阪松竹座・寿初春大歌舞伎昼の部

1月2日(月)大阪松竹座・寿初春大歌舞伎昼の部を観劇した。
片岡愛之助丈主演・源平布引滝義堅最期,片岡仁左衛門丈&坂東玉三郎丈主演花街模様薊色縫通し狂言十六夜清心。
片岡仁左衛門丈&坂東玉三郎丈が大阪松竹座にそろうという最高のお年玉となった。

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2006年1月 1日 (日)

劇団四季「コーラスライン」

2006年1月1日(日),劇団四季京都劇場で「コーラスライン」を本年の観劇始めとした。
「マンマミーア!」と同様70年代の楽曲である。
「コーラスライン」は,1975年4月,ニューヨーク、オフ・ブロードウェイのパブリック・ニューン劇場で幕を開け,15年後の1990年,惜しまれながら閉幕した。
日本の「コーラスライン」は,劇団四季が上演権を獲得し,1979年,日本ではそれまでなじみの薄かったオーディションで出演者を選抜し,9月,日生劇場で幕を開けた。その後も再演を重ね,現在も繰り返し上演され続けている。

一本の白いラインが引かれた舞台の上で次回作のオーディションが始まる。最終選考に残った17人に出された課題は,「履歴書に書いてないことを話してもらおう。」という意表をついたものであった。年齢,人種,生い立ち,職歴が異なる若者達はそれぞれの真実を語り始める。最後にライン上に立つのは誰なのか…。

1月1日のキャスト(敬称略)
ザック 飯野おさみ,ラリー 中山大豪,ダン 朱 濤,マギー 上田亜希子,マイク 藤原大輔,コニー 高城信江,グレッグ 武藤寛,キャシー 坂田加奈子,シーラ 増本藍,ボビー 道口瑞之,ビビ 小松陽子,ジュディ 遠藤瑠美子,リチー 西尾健治,アル 川口雄二,クリスティン 石塚智子,ヴァル 八田亜哉香,マーク 良知信次,ポール 望月龍平,ディアナ吉沢梨絵,フランク 李金3,ロイ 江 帆,トム 張春紅,ブッチ 李振魯,ビッキー 永木藍,ロイス 加藤裕美,トリシア 恒川愛

マイケル・ベネット自身と言われている振付家ザックのキャスティングが物語の枠組みを決定づける。飯野おさみさんは,若いダンサーの兄貴分として,彼らの一生懸命に共感し,讃えながら苦悩の決断を下す。暖かさが飯野さんの真情である。
主演らしいザックの元恋人でスターダンサーであったキャシーに花形ダンサーの坂田加奈子さんが割り当てられるなど,役の力量と体系及び年齢にあったキャスティングがされているが,全員が主役。
劇団四季の出演者は若い。お世辞にも卓越した力量とは言い難い歌と,いかにもオーディションを繰り返している容姿に妙に納得する。
しかし,今日この日の感動は本物である。「ひとりひとりがそれぞれの人生のかけがえのない主役」というメッセージは,色あせないばかりか益々同時代感を強くする。21世紀の日本。約束された明日がない若者が,ダンサーだけでなく全ての若者に広がっている。
繰り返しのリフレイン「悔やまない。全てをかけて生きた日々に悔いはない。」に揺さぶられるのは,やっぱり人間らしく後悔してしまうひとりひとりへ,思いを馳せてしまうからであろうか。
新年にふさわしい感動に感謝。京都の観客はもっとヒートアップして見たいものである。

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蝉丸神社で初詣パート2

大津市逢坂の蝉丸神社は,高名な琵琶奏者の蝉丸法師を祀る神社で,学芸の守護・なかでも弦楽の上達祈願にご利益があるとされている。祈願の絵馬の内容も,石山高校音楽科合格からカサドコンクール入賞まであり,それらしさを感じさせてくれる。

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石坐神社で初詣

大津市中ノ庄の石坐神社は天智天皇を祀る神社で,勝負の守護を司る。合格祈願の五角鉛筆は,五択問題のとき転がすのに最適である。

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