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2005年11月22日 (火)

劇団四季・ミュージカル李香蘭

京都劇場で開幕したばかりの劇団四季・ミュージカル李香蘭を20日観劇した。メインキャストは李香蘭・野村玲子さん,川島芳子・濱田めぐみさん,李愛蓮・五東由衣さん,杉本・芝清道さん,王玉林・芹沢秀明さん。
久々の関西。しかも昭和三部作の一挙上演。第一作は,戦前,満州人と偽り,旧日本軍の大陸支配のプロパガンダの役割を演じさせられた日本の歌姫の運命と,大陸侵略から敗戦までの昭和史を,曇りのない視線で劇化した感動作。語り手は,清朝王族で日本軍の諜報将校として祖国を売った川島芳子を割り当てる。
洪水のようなナンバーと万華鏡のように登場する歴史に消えた有名無名の人々。人生の重さは,皇帝や首相より,むしろ無名の抗日の戦士や祖国の盾となって散った日本の若者に思い入れをもって描かれている。
圧巻が,李愛蓮と王玉林を中心とする義勇軍が満州の荒野で歌う死に瀕した友のために歌う望郷の「松花江上」。満州事変(九・一八事変)を忘れないという激しい歌曲である。また,戦に望む日本の若者たちが家族への思いを吐露するモノローグも本物である。
タイトルロールの野村さんの美しいこと,全盛時の鈴を振るようなお声には些かの翳りはあるが,完璧に李香蘭になりきっておられる。川島芳子役の濱田めぐみさんも長身小顔,長いおみ足で軍服が似合いすぎ。語り役に徹したほどの良さが素敵。李愛蓮役の五東由衣さんの暖かく深いお声は,最も涙を誘って頂けました。
杉本役の芝清道さんは,夏にタガーでお見かけした時よりさらにやせられて,昔の日本人に見える。関東軍少佐と中佐が体格のよい方なのでバランスがよい。王玉林の芹沢秀明さんも長身に青いお衣装が映える。
観客もいつもの四季の客層より幅広く,熱かった。激しい舞台なので,公演のご無事と出演の皆さんのご健康を祈る。

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