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2005年11月

2005年11月30日 (水)

宝塚雪組公演全国ツアーグランド・ロマン『銀の狼』&ショー『ワンダーランド』

宝塚雪組全国ツアーは,11月30日,全日程を終了する。運に恵まれ2度観劇することができたのでレポをアップする。
この稿に限り敬称を省略して記述するが,演技者及び創作者への敬意は変わらない。全国ツアーには組の約半数のメンバーが参加している。

グランド・ロマン『銀の狼』
作・演出/正塚晴彦
メインキャスト/シルバ:朝海ひかる,ミレイユ:舞風りら,レイ:水夏希,ジャンルイ:音月桂
1991年に月組涼風真世,麻乃佳代,天海祐希,久世星佳により上演された,ハードボイルドタッチのミステリー歌劇の再演。私は,当時,民放で放映されたものを見たのみであったが,一度で涼風真世と宝塚歌劇のファンになった。以後,スーツものを中心に柴田侑宏,正塚晴彦,植田景子作品及び雪組を中心に観劇している。
博覧会が開かれているパリが舞台。シルバは,暗殺者になる前の記憶がない。瀕死の重傷を負った身をプロの殺し屋レイに拾われ,生きるため,殺人を生業としていた。銀髪が想像を絶する苛酷な体験を推察させる。死んだ男と泣いている女,殺される母子の悪夢に今日もうなされるシルバであった。
後ろ暗い者のみをターゲットにするシルバに,政財界の要人は戦慄していた。しかし,凄腕のシルバが大きなミスを犯す。倒した政治家の妻子に顔を見られてしまうが,目撃者を殺すことを,なぜか躊躇し,顔が割れる。なぜ殺さなかった…。元締めのレイ共々,警察からも,同業者からも追われるはめになってしまった。
折りしも,ヨーロッパ某国大統領とその娘ミレイユ及び娘婿の国務大臣ジャンルイは,パリ博覧会に,自国のプロモートに訪れていた。高飛びが急がれるシルバであったが,偶然,見かけた,大統領令嬢ミレイユの顔を見て愕然とし,跡を追う。夢の中で泣いていたあの女だ。真実が分かるかもしれない。シルバはレイと袂を分かち,ミレイユを誘拐する。ミレイユも,重大な国家機密を握る者として夫から刺客を差し向けられる。何があった,なぜ,…二人のあてどない逃避行が始まる。

ショー『ワンダーランド』
作・演出/石田昌也
2005年夏,霧のミラノと同時上演された不思議の国をテーマにしたショーの再演。トランプカードで出来た不思議の国でキングとクイーンを中心に夢が舞う。

セットもストイック。お衣装もシンプル。暗く渋めの作品だが,美声の涼風真世のため書かれた作品だけに歌曲が良い。主人公は,成人した娘がいる銀髪の男と大統領令嬢にして国務大臣の妻という大人のカップル。心を捨て苛酷な運命に立ち向かう男と,運命に翻弄される痛々しいまでに孤独な女の,愛を超えた一体感に完全にやられた。行き場を無くし唯二人,敢然と歩む男と少し後ろを付いていく女。半端なラブシーン10本分くらいの愛情表現というか,大団円のデュエットダンス5本分のハッピーエンド。何者も入り込めない二人だけの世界であった。
その他のキャストもはまり役。雪組の層の厚さがうれしい。めったにしない追っかけをした甲斐があったという公演であった。

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2005年11月28日 (月)

今日もフィガロは昼寝をしていた。

日曜のチェロのお稽古は寝過ごした。チューニングなしで,あたふたと走った。アメショーのフィガロは,やはり昼寝していた。

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2005年11月26日 (土)

スーパー喜劇狸御殿

千穐楽間近の23日,大阪松竹座,スーパー喜劇狸御殿を観劇した。
主演は藤山直美さん。藤間紫さんと,市川猿之助一門のみなさん。
さまざまなジャンルの方がミュージカルや映画に取り上げられているが,実はワタクシは一度も拝見したことがないので初見。
藤山さん主演で拝見したお芝居は,夫婦善哉,桂春団次,ふるあめりかに袖はぬらさじ,浅草パラダイス,別府温泉…。結構見ている。
狸御殿,これほど描きにくい題材はない。新橋演舞場で12月は1ヶ月公演となるので,ずっとねたばれコードに引っかかる。
満月の夜,山奥では,狸の国のきぬた姫(藤山直美さん)の婿選びの舞踏会が盛大に開かれていた。姫はお国のための結婚をいやがり,奴(市川猿也丈)を連れて森に出た。そこで,刺客に襲われ瀕死の重傷を負った人間の若侍(市川右近丈)を助け介抱する。
姫は若侍に夢中だが,狸と人間では所詮許されない仲。傷が癒える日は別れのときだった。しかし,娘心は一途。記憶を消され人間界へ返された若侍を追って,奴一人を伴に人間界に…。
藤山直美さんはいつもの直美さん。市川猿之助一門の皆さんは,見た目いつもと同じで美しく凛々しく,やくどころは,個性的。意外な方の宙乗りがある。
ハートウオーミングなラブコメにしては,激しく笑え,心にも身体にも優しいお芝居だった。顎関節には試練であるが,腹筋には最適。

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2005年11月25日 (金)

南座の「まねき上げ」

京都の年の瀬を知らせる南座顔見世興行「まねき上げ」が今朝行われた。
華やいだ気持ちにさせていただける師走の風物詩(まねき)である。
上方歌舞伎の大名跡坂田藤十郎襲名披露公演であるので,盛り上がりもひとしおとか。
南座は歌舞伎公演は顔見世を含め2~3月。顔見世一転豪華主義といったところ。大阪松竹座も3~4月といった頻度。これを契機に,上方歌舞伎の復権に期待したい。
今,お写真なりとも撮りに行きたいものであるが,観劇の日まで我慢我慢。

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2005年11月24日 (木)

通し狂言・本朝廿四孝

23日,国立文楽劇場に通し狂言・本朝廿四孝を観劇に出かけた。
大序から大詰めまで,めったに上演されない通し上演である。
が,昨年は仮名手本忠臣蔵通しであえなく討ち死にした身。
健康のためでもあるが,謙虚に,華やかな十種香と奥庭狐火の段のある二部だけにし,藤山直美さんの狸御殿・昼の部を大阪松竹座で拝見してからの挑戦とした。
大阪国立文楽劇場第100回目記念公演であるが,残念なことに人間国宝吉田玉男氏はじめご休演の方が…。一日も早いご回復を祈るばかりである。

夜の部は二段目と四段目の上演である。つまり各部の完結性重視の組み換えで,武田家の物語となっている。
二段目 信玄館の段
     村上義清上使の段
     勝頼切腹の段
四段目 道行似合の女夫丸
     和田別所化性屋敷の段
     謙信館の段
     十種香の段
     奥庭狐火の段
義太夫ならではの演奏の醍醐味を堪能する場があり,人形劇でしか不可能な奇想天外,荒唐無稽の場が楽しい。某ディズニーミュージカル真っ青の摩訶不思議さ。ビーアワゲスト,ビーアワゲスト,おっきゃくさっま~。歌うな!。しかし,義太夫に爆笑。
鳥肌ものは,やはり人間国宝吉田蓑助氏の八重垣姫!
「十種香」は,極めて世間知らずで無邪気で身勝手で美しく残酷な姫君。高度な動きに客席はため息の連続。
「奥庭狐火の段」完全に酔いましたぁ!
太夫も渾身の語り。翼が欲しい羽が欲しい飛んでゆきたい知らせたい逢ひたい見たい。
引き抜きも,歌舞伎では舞踊手のお衣装が変わるだけだが,文楽では,人形と主遣いが引き抜き,左遣いと足遣いが出遣いになる。要するにいきなり三人出遣いになる。
眷属のふわふわの白狐さんが,4匹登場。全員出遣い。狐さんも人形遣いさんも超ラブリー。
八重垣姫は薄氷の諏訪湖上を,いとしーい勝頼さまに火急を告げに飛んでゆく〜。
轟音のような拍手喝采と,興奮のるつぼのうちに幕。よかった〜。
人気公演なので良いお席はゲットできなかったことを悔やむ。今度は良いお席で見よう。

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2005年11月22日 (火)

劇団四季・ミュージカル李香蘭

京都劇場で開幕したばかりの劇団四季・ミュージカル李香蘭を20日観劇した。メインキャストは李香蘭・野村玲子さん,川島芳子・濱田めぐみさん,李愛蓮・五東由衣さん,杉本・芝清道さん,王玉林・芹沢秀明さん。
久々の関西。しかも昭和三部作の一挙上演。第一作は,戦前,満州人と偽り,旧日本軍の大陸支配のプロパガンダの役割を演じさせられた日本の歌姫の運命と,大陸侵略から敗戦までの昭和史を,曇りのない視線で劇化した感動作。語り手は,清朝王族で日本軍の諜報将校として祖国を売った川島芳子を割り当てる。
洪水のようなナンバーと万華鏡のように登場する歴史に消えた有名無名の人々。人生の重さは,皇帝や首相より,むしろ無名の抗日の戦士や祖国の盾となって散った日本の若者に思い入れをもって描かれている。
圧巻が,李愛蓮と王玉林を中心とする義勇軍が満州の荒野で歌う死に瀕した友のために歌う望郷の「松花江上」。満州事変(九・一八事変)を忘れないという激しい歌曲である。また,戦に望む日本の若者たちが家族への思いを吐露するモノローグも本物である。
タイトルロールの野村さんの美しいこと,全盛時の鈴を振るようなお声には些かの翳りはあるが,完璧に李香蘭になりきっておられる。川島芳子役の濱田めぐみさんも長身小顔,長いおみ足で軍服が似合いすぎ。語り役に徹したほどの良さが素敵。李愛蓮役の五東由衣さんの暖かく深いお声は,最も涙を誘って頂けました。
杉本役の芝清道さんは,夏にタガーでお見かけした時よりさらにやせられて,昔の日本人に見える。関東軍少佐と中佐が体格のよい方なのでバランスがよい。王玉林の芹沢秀明さんも長身に青いお衣装が映える。
観客もいつもの四季の客層より幅広く,熱かった。激しい舞台なので,公演のご無事と出演の皆さんのご健康を祈る。

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2005年11月20日 (日)

空中庭園

バスに快く乗って着いた目的地がここ。栄のオアシス21。バスターミナルの屋根が透過光のある屋上庭園になっている。空港の出発ロビーのようなジャンクション。周辺道路や地下街,公園と有機的につながり巨大な都市装置となっている。自動車文化極まれり。

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2005年11月19日 (土)

バスレーン

交通先進都市名古屋はバスレーンが整備されすいすい流れている。お上りさん気分満喫。

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徳川美術館・よみがえる源氏物語

徳川美術館に国宝源氏物語絵巻が一堂に会し,模写復元も加えての企画展が開催されている。

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2005年11月14日 (月)

フィガロの昼寝

師事しているチェロの先生が飼っておられるアメリカンショートヘヤーの♂。音楽一家にふさわしく愉快なネーミング。
思わず、バストファジョーンズ〜。と口をついてキャッツの金満猫のナンバーが…。

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2005年11月13日 (日)

ベニスの商人

京都市中京区四条烏丸の旧丸紅ビル・COCON烏丸に京都シネマが移ってまもなく一年。シネマは健在である。
13日,マイケル・ラドフォード監督ベニスの商人を見た。アル・パチーノ,ジョセフ・ファインズ,ジェレミー・アイアンズ。映画らしく,風景が美しく,風俗や社会的背景も原作の戯曲を補ってしっかり描かれている。
運河はもちろん,ラグーナやベルモントの島がお芝居では見られないのでうれしい。映画に期待する者の気持ちになって作って下さったのか親切。そういえば,イル・ポスティーノも海の風景が美しかった。
キリスト教徒とユダヤ社会との深刻な対立も不偏的な目で良い感じ。何より主演でないタイトルロール,ベニスの商人・アントーニオが際立っている。
シャイロックの大悲劇として演出されるものや,アントーニオをバサーニオと同年代の軽佻浮薄の若者と同列に扱う演出も好きでない。安心して見ていられてナイスである。

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京都のLRT

平日に休暇を取ってでも学会や研究機関の発表には出かけ,情報収集に努めていたが,最近は早くて終電。悪くすると日替わりとなるのでなかなか叶わない。それでも,日曜日に開催されるまちづくり系シンポジウムはこまめに行くようにしている。
LRTを京都に導入するための議論の場という位置付けで,専門的な議論は出なかった。各段階の課題は以下のとおり。
1計画
 ノウハウ,関係機関との調整,まちづくりの目標の設定
2コンセンサス形成
 住民,通らない地域の市民,既存の鉄道事業者
3事業実施
 資金の確保,関連事業の進行管理
4運営
 利用促進,啓発,愛着の醸成
まとめるとノウハウが絶対必要ということのようだが,これが難しい。

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2005年11月10日 (木)

宝塚歌劇・花組公演昼の部及び雪組公演夜の部

11月6日(日)宝塚歌劇・花組公演昼の部を宝塚大劇場で,雪組公演夜の部を梅田芸術劇場(元梅田コマ劇場)で見た。
お江戸の方にイメージを持っていただくなら,東京宝塚劇場と新宿コマ劇場を一日で観劇する時間の使い方に近い。歌劇は,年に2回程度,B席で各一度観劇する頻度から申せば,快挙である。
宝塚歌劇は基本的に新作。近年は企画優先で,座付き戯作者が企画書を提案し,採用になったものを,各組の主演コンビの仁に応じ割り当て,ダンスの力量に応じた振りを付け,声域やリズム感に合わせた曲を作曲し纏め上げられるときく。
他の演劇を見る者にとっては,どれも同じに見えるが,実は大違いで,半端なミュージカル4本分の満足度のこともあれば,チラシから予測できなかった自分の判断力の甘さにうなだれて帰路につくこともしばしである。
良心的で品性があり安心して見られる植田景子氏の作品は,今年この一本だけなので出かけることとした。詳細は後日。

花組公演
植田景子氏作・演出「洛陽のパレルモ」と岡田啓二氏作「Asian Winds」
春野寿美礼主演のコスチュームプレイとオリエンタルレビューの2本。

雪組公演
正塚晴彦氏作・演出「銀の狼」と石田昌也氏作「ワンダーランド」
1991年月組涼風真世主演で上演された,ハードボイルドミステリーと2005年7月雪組大劇場公演のショーの2本。

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2005年11月 9日 (水)

劇団四季・福井さんが「鹿鳴館」に久雄役で出演!

昨夜,劇団四季メルマガをみて舞い上がった。
映画「春の雪」を見て,テンションが上がっているので,狭い部屋を駆け回った。アメショーでもその辺にいれば,胴上げしたところである。
しばらくキャッツのキャスティングボードにその名がお見受けできなかったので,どこかでラダメスでもと気にかけていた福井さん情報!
来春,四季・自由劇場で上演予定,三島由紀夫氏戯曲「鹿鳴館」の制作記者発表があったようだ。
メインキャストはすでに機関誌ラ・アルプで存じ上げていたが,キーパースンの若者カップルに福井晶一氏と濱田めぐみ氏のお名が…。
ヒロイン影山伯爵夫人とその昔の恋人との子息で,鹿鳴館に乱入する憂国の壮士のお役。二枚目中の二枚目でこれから売り出し予定の御曹司がなさるようなパート。妻夫木氏などが似合いそう。
福井さんの公式HPのお写真が,心なしか精悍さよりノーブルさがまさり良い感じ。観にいくしかない。

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2005年11月 5日 (土)

ティム・バートンのコープス ブライド

ティム・バートンのコープス ブライド
TIM BURTON'S CORPSE BRIDE
19世紀のヨーロッパ。結婚を控えた気弱な若者ビクターは,結婚の誓いが上手くできないため,人気のない森で練習していた。はずみで死体に結婚を誓ってしまい,死者の世界へ…。生者と死者の結婚の顛末は…。
監督: ティム・バートン,マイケル・ジョンソン
<字幕版>声優: ジョニー・デップ,ヘレナ・ボナム・カーター,エミリー・ワトソン
ミュージカル仕立てで音楽も良い。CGキャラもかわいく笑える。物語の起承転結も優れハートウオーミング。非の打ち所がない映画であった。

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2005年11月 4日 (金)

春の雪

3日,珍しく浜大津アーカスシネマに出かけたのは,「春の雪」を見たかったからである。
三島由紀夫氏の原作をリアルタイムで読んだ世代としての妙な思い入れは捨て,妻夫木氏と竹内氏の貴種恋愛譚を楽しもうと走った。
前評どおり,映像がとても綺麗。妻夫木聡氏と竹内結子氏のコンビは映像的にとてもお似合いで眼福,眼福。
時代は大正元年。日露戦争に勝利し,次の戦争まで楽しんだ谷間の平和であった。貴族社会においても雅は力を無くし,力関係の再編が行われようとしていた。幼なじみの二つ年上の伯爵令嬢・聡子を慕う侯爵家の嗣子・清顕は,幼さから屈折した思慕の表現しかできないながら,約束された愛を育んでいた。
転機は些細なことから起こる。聡子を宮家に嫁そうとする父に,図らずも同意したことで,愛は禁忌となった。思いは燃え上がる。しかし,二人が歩いているのは道ではなく,果ては海へ転落する桟橋であった。
前半は,清顕の子供っぽい屈折と美への飽くなき探求との折り合いが,原作では後者にシフトしているが,妻夫木氏は,若者らしいもどかしさを好演。共感を得られる人物にまとめておられた。
後半は,原作では,雅に手痛い報復を受け,恋に殉死するところが,哀れさを誘うが,妻夫木氏は,内包する自らの熱さが我が身を焼き尽くすと表現され,好感が持たれる。
ただ,人物造形が一貫しているだけに,原作の持つ至高の美の残酷さが少し希薄となったことは否めない。
聡子の乳母である奥女中・蓼科役の大楠道代氏は,とてつもない曲者。凄い。

「春の海」は,三島氏の遺作「豊饒の海」の第一巻にあたる物語で,テーマである輪廻転生の伏線がぞくぞくする面白さなのだが,単体なので,やむを得ず割愛されていた。
四部作は,つかの間の平和の世に恋に戦死した青年,戦時に向かう荒ぶれた世に憂国に殉じた壮士,美し過ぎる肉体に魂を封じ込められたシャムの姫,見るべきもののない自意識過剰の青年といった,気高い白蓮或いは奔放な紅蓮の魂を内包した胚として,それぞれ短い20年の生を,4たび駆け抜ける。
第一巻で清顕の親友であった本多は,その輪廻転生の軌跡を追い続ける。

ともあれ,良い映画を見せていただき,心が洗われたことだけは確かであった。

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大津港

浜大津アーカスからの十一月三日の大津港の眺め。
遊覧船ミシガンが着岸し,旧琵琶湖ホテルが遠景にのぞめる。もうすぐバードウォッチングの季節である。

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天保十二年のシェイクスピア・大阪公演

10月30日日曜日,OBPのシアターBRAVA!。井上ひさし氏の戯曲「天保十二年のシェイクスピア」を,蜷川幸雄氏が,蜷川作品常連の俳優さんのオールスターキャストで上演した今年後半最大の話題作である。
原作の戯曲は,井上ひさし氏が『天保水滸伝』(下総の侠客の争い)の世界に,シェイクスピア全37作品を綯い交ぜ,換骨奪胎(分かりやすく笑える演出)して書かれた作品。
物語は天保九年の下総清滝宿に始まる。宿場を仕切る大親分・鰤の十兵衛(吉田鋼太郎氏)は,賭場をはじめ一切の権利を,三人の娘の孝心に応じて分与しようとしていた。邪悪な二人の姉(高橋恵子氏及び夏木マリ氏)は言葉巧みに父を籠絡し,宿を二分するが,三女お光(篠原涼子氏)は言葉足りず追放となる。家督も権力も手放した父はあっけなく滅び,長女の紋太一家と次女の花平一家の抗争が始まる。流れ着いた無宿人・佐渡の三世次(唐沢寿明氏)は好機に乗じ,宿の主になろうと虎視眈々と画策していた。
そして,三年後の天保十二年,女侠客として名をあげ舞い戻ったお光,父の死に復讐を誓う紋太一家の倅・きじるしの王次(藤原竜也氏),新しく着任した代官夫婦など役者がそろった。血で血を洗う抗争は,破局へ向かってひた走る。

シェイクスピア演劇を数多く懸けている蜷川氏の集大成といえるお祭りのような華やかな舞台であった。これまでの成功作及び失敗作を棚卸しのうえ,伝統芸能の手法をスパイシーに取り混ぜ,手堅く分厚く仕上げてあった。
蜷川作品の演出と見る側の心がけを整理してみる。
1 群衆の使い方が秀逸。隅々までチェック。
2 照明,装置,衣装の色調が美しい。
3 主題を分かりやすく日本人的感性に引き寄せる。
4 アイドルのパワーを信頼する。
5 客席通路を含め,劇場の内部空間を活用する。
6 開演前から既に物語ははじまっている。遅くとも15分前には着席。
7 物語のエンドレス性を重視。エピローグがプロローグにもどる。
8 重厚長大が得意。壮大な悲劇等が間違いないところ。
9 伝統芸能の手法のあからさまな引用に悪びれない。
10 評価の確立した自己模倣は避け,リスキーでも新しいことに挑戦する。
11 挿入曲は奇をてらわず共感が得られやすい作曲及び選曲

蜷川氏らしさがてんこ盛り。役者さん,観客,全ての者が心から楽しめた舞台であった。

プログラムの藤原竜也さんのページにうれしい記事が…。
七月歌舞伎座「NINAGAWA十二夜」で主演された尾上菊之助丈が稽古場に来られ,きじるしの王次役の藤原竜也さんに所作のアドバイスをなさったとか…。分かりやすすぎたが,しっかり喜ばせて頂いた。
ただ一つの心残りが,物語のキーアイテム(ネタバレ後日と致します。)の小道具が小さく,後方では分かりにくかったのではないだろうか。

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2005年11月 1日 (火)

天保十二年のシェイクスピア!客席に中村勘三郎丈が…。

10月30日・日曜日,蜷川幸雄氏演出の天保十二年のシェイクスピアをシアターBRAVA!で見た。
ワーグナーの楽劇並みの分厚い音と色。揺さぶられる感動の正味4時間であった。
レポは明日又は明後日にまとめるとして,客席に素敵なお客様が!
中村勘三郎丈と香川照之丈がおられ,客席映えしておられた。

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