十一代目市川海老蔵襲名披露・公文協西コース・びわ湖ホール
市川團十郎丈が半年間病気療養されるという報道が,先週の金曜日に発表となり,その後,ゆるりとご休養成されているという公式メッセージもあった。残念,心配,…皆様の思いが交錯するなかで,市川家は西コースに旅立たれた。
私の住まいする滋賀県大津市にも,オペラハウスをメインとするシアターコンプレックス(ぴわ湖ホール)があり,ご予定に入っているので,滋賀県民及び大津市民(のファン)は一日千秋のおもいで公演を心待ちにしていた。
私が拝見したのは,9月2日(金)夜の部。プログラムは実盛物語,口上及びお祭りの三本立て。お祭りには團十郎丈が鳶頭成吉役で踊られる予定であったが,海老蔵丈が代役。結果,海老蔵丈,家橘丈,右之助丈及び市蔵丈は,三題とも全てご出演という密度の濃い公演となった。
海老蔵丈が実盛を演じられたのは,新之助時代の平成15年12月歌舞伎座が初役。私は拝見できていなかったが,立派かつさわやかであったときく。東京,大阪,名古屋,パリ,京都,福岡と続いた重圧と栄光の交錯する長丁場を経て,一回りも二回りも大きくなられた海老蔵丈が,今回の全国公演の実盛で襲名披露興行を締めくくることとなる。
全てに良い公演であったが,海老蔵丈に絞って記述する。
実盛物語:海老蔵丈といえば,雅な光君系或いはやんちゃな五郎ちゃん系(曾我五郎,助六,権五郎)モテモテ青年を見たいが,どうしてどうして生締めの実役は,安心して見ていられて本当に立派である。
前半は情も理もある捌き役を過不足なく重厚に,義太夫との息もぴったり思い入れたっぷり。で,タイトルの物語部分は大きくしっかり見せて頂ける(・υ・)``ホォー。
後半は,武勇に優れた壮年の武将であることの矜持とゆとりを楽々と演じ,加えて,やんちゃな海老様の素が見え隠れし,泣くより他ない物語のなかに一縷の明るさを心地よく見せてくれる。
口上:團十郎丈のご不在は寂しいとしか申し上げようがない。皆様の奮闘をお祈りする。
お祭り:鳶頭のお衣装が似合うであろうことは想像に難くなかったが,想像を絶するお似合いぶり。ここでもシャイな海老さまの素を見せて頂き,観客のハートを自在にわしづかみ。
やはり,海老さまは寿命をのばしていただける役者さんであることを実感した。
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