« 「七代目嵐徳三郎伝」を読みました。 | トップページ | 忍 SHINOBI »

2005年9月17日 (土)

ドレッサー

ここのところ,バックステージものの観劇が続いている。
バックステージものの名作「ドレッサー」を,梅田芸術劇場シアタードラマシティで9月17日昼一回公演を見た。
ジャンルはストレートプレイ。演じるは平幹二郎氏vs.西村雅彦氏,松田美由紀氏,久世星佳氏。時代とシチュエーション設定は第二次世界大戦下の英国ロンドン郊外の芝居小屋。劇中劇がリア王。
サーの称号を持つ座長(平)は,兵役や不祥事に劇団員を奪われ,老役者,傷害を持つ役者,未熟な女役者たちという乏しいメンバーで巡業を続けていた。サーを支えるのは,主演女優を務める疲れ気味の妻(松田),ビジネスライクに任務を果たす舞台監督(久世),そして,ワンマンでかんしゃく持ちという難儀なサーの性格にもめげずに献身的に尽くす衣装係兼メイクの「ドレッサー」(西村)であった。ナチスドイツの空襲や不入りにも耐えての公演決行であったが,サーはとうとうパニック障害に見舞われ,白昼まちを裸で徘徊し,病院に保護される。
今夜のリア王の休演は決定的かと,妻,ドレッサー及び舞台監督が困惑しているさなかに,サーは病院を抜け出し楽屋に戻った。が,錯乱し泣き叫ぶばかりであった。ドレッサーは,サーの気を取り直させ何とか開幕に漕ぎつけるが…。
劇中劇は単なるシチュエーションに留め,物語は楽屋で起こるトラブルを,シニカルな笑いに満ちたスピーディな芝居運びで終幕まで引っ張ってゆく。舞台を牽引しているのは西村丈演じるドレッサーである。渾身の素晴らしい人物造形であられる。そのかみ,ドレッサーを平幹丈が演じられている。また,サーの称号こそないが,名実ともに日本のシェイクスピア役者の当代第一人者である平幹丈が,満を持してサーを演じられるのであるから,上手く当たり前である。自らを相対化し笑いの対象とするのであるから,さぞやプレッシャーがあられたことであろう。
演じることは使命感か強迫観念か。献身は棄身からか主従の絆か。二人の男の一筋縄では行かない連帯は,感動的であり,また普遍的でもある。あー,ストーリーは納得できなくとも,状況は納得のお芝居であった。

|

« 「七代目嵐徳三郎伝」を読みました。 | トップページ | 忍 SHINOBI »

演劇」カテゴリの記事

コメント

>古典めざましタイさま
平幹丈は,欠かさず拝見しています。もうすぐ「獅子を飼う」!劇場ともども楽しみです。

投稿: とみ | 2005年12月 8日 (木) 01時34分

OH~!「演劇」欄を拝見していたら、「ドレッサー」ですね!
またまた今更ながら失礼させて頂きます。
松田美由紀が”演技”じゃなくって、”容姿”であそこまで、引っ張ったのが凄かった。と友人と話しました。

投稿: 古典めざましタイ | 2005年12月 6日 (火) 13時22分

>悠さま
コメントありがとうございました。よい舞台を拝見した後は,お稽古にも力入ります。
>ピョートルさま
私も西村さんははじめてでした。
貴ブログにお邪魔し,記事を拝読しました。
西村さんは,お客が喜びそうなことを敢えてなさらないすごい俳優さんと感服いたしました。

投稿: おとみさん | 2005年9月22日 (木) 21時21分

私、北九州にて「ドレッサー」観劇しました。
平さん、西村さん御二人ともすばらしいお芝居で感動しました。西村さんの舞台を直接見るのは初めてでしたが、今回演じているノーマンの座長以外とは心を通わすのが不得手な人物を見事に演じていたと思います。

投稿: ピョートル | 2005年9月22日 (木) 12時14分

コメント、TBありがとうございました。みつからないように暮らしていたのですが(笑)。

投稿: 悠 | 2005年9月18日 (日) 21時21分

ブログの他の記事も読ませていただきました。ルーブル美術展、京都みなみ会館、南座(元の黙阿弥は見逃しました)と行動範囲が似ているなと思ってましたら、同県でした(^^ゞ。また、よろしく。

投稿: 悠 | 2005年9月18日 (日) 07時45分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ドレッサー:

« 「七代目嵐徳三郎伝」を読みました。 | トップページ | 忍 SHINOBI »