舞台は堅田から小松へ
実盛物語を掲げた海老さま御一行は,2日,びわ湖ホール公演が終了したその夜のうちに,3日の興行地・石川県小松市に慌ただしく出発された。
実盛物語は,琵琶湖畔・堅田の九郎助宅で起こった悲劇で,この28年後に,源平の運命が逆転し,手塚太郎(太郎吉)が母の仇・斎藤実盛を討ち取るという後日譚として完結する。
時は寿永2年,所は加賀の国篠原の地。約束どおり鬢髪を黒に染め,華美な甲冑に身を固め,老武者と侮られないよう,また,恩を授けた木曽殿には実盛と分かり温情をかけられないよう,死出の装いを凝らし華々しく散ったのであった。
石川県小松市多太神社には,別当実盛のものとされる冑が伝えられ,後年,この地を訪れた芭蕉翁は「むざんやな 冑の下の きりぎりす」と詠んだとされている。
常世の国の実盛翁も,終焉の地で演じられる海老蔵丈の演技に膝を打って楽しまれることであろう。
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