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2005年9月

2005年9月24日 (土)

忍 SHINOBI

山田風太郎原作,下山天監督のアクション&ラブ・ロマンス映画「忍 SHINOBI」を見た。
出演: 仲間由紀恵,オダギリジョー,黒谷友香,椎名桔平,りりィの皆様。
関ヶ原の合戦が終結し,天下は徳川のものに…。駿府に隠居していた徳川家康は,天下太平の世の構築を期して大坂方の息の根を止める策謀を巡らすとともに,忍者の二大勢力,伊賀と甲賀の処遇を画策していた。憎しみあう両家は,共倒れを避けるため,相争わない盟約を結んでいた。
そんななかにあって,それぞれの跡取りである朧と弦之介は互いの立場を知らずに出会い,運命的な恋に落ちる。だが,宿命は二人の恋を許すはずはなく,次期将軍を決するため,伊賀と甲賀,5対5の忍術合戦を行えという徳川家康からの指令が出された。両家の死命をかけた決戦の火蓋は切って落とされた。
和風LOBERSを期待して出かけた。主人公の二人を始め5人は美形或いはスタイリッシュ。CGも現在の日本映画の最高水準を駆使したもの。物語もあざとくなく,良心的。安心して楽しめるぶん,アクションとラブストーリーが若干薄味。映像は日本らしくスモーキーでパステル調。

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2005年9月17日 (土)

ドレッサー

ここのところ,バックステージものの観劇が続いている。
バックステージものの名作「ドレッサー」を,梅田芸術劇場シアタードラマシティで9月17日昼一回公演を見た。
ジャンルはストレートプレイ。演じるは平幹二郎氏vs.西村雅彦氏,松田美由紀氏,久世星佳氏。時代とシチュエーション設定は第二次世界大戦下の英国ロンドン郊外の芝居小屋。劇中劇がリア王。
サーの称号を持つ座長(平)は,兵役や不祥事に劇団員を奪われ,老役者,傷害を持つ役者,未熟な女役者たちという乏しいメンバーで巡業を続けていた。サーを支えるのは,主演女優を務める疲れ気味の妻(松田),ビジネスライクに任務を果たす舞台監督(久世),そして,ワンマンでかんしゃく持ちという難儀なサーの性格にもめげずに献身的に尽くす衣装係兼メイクの「ドレッサー」(西村)であった。ナチスドイツの空襲や不入りにも耐えての公演決行であったが,サーはとうとうパニック障害に見舞われ,白昼まちを裸で徘徊し,病院に保護される。
今夜のリア王の休演は決定的かと,妻,ドレッサー及び舞台監督が困惑しているさなかに,サーは病院を抜け出し楽屋に戻った。が,錯乱し泣き叫ぶばかりであった。ドレッサーは,サーの気を取り直させ何とか開幕に漕ぎつけるが…。
劇中劇は単なるシチュエーションに留め,物語は楽屋で起こるトラブルを,シニカルな笑いに満ちたスピーディな芝居運びで終幕まで引っ張ってゆく。舞台を牽引しているのは西村丈演じるドレッサーである。渾身の素晴らしい人物造形であられる。そのかみ,ドレッサーを平幹丈が演じられている。また,サーの称号こそないが,名実ともに日本のシェイクスピア役者の当代第一人者である平幹丈が,満を持してサーを演じられるのであるから,上手く当たり前である。自らを相対化し笑いの対象とするのであるから,さぞやプレッシャーがあられたことであろう。
演じることは使命感か強迫観念か。献身は棄身からか主従の絆か。二人の男の一筋縄では行かない連帯は,感動的であり,また普遍的でもある。あー,ストーリーは納得できなくとも,状況は納得のお芝居であった。

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2005年9月15日 (木)

「七代目嵐徳三郎伝」を読みました。

七代目嵐徳三郎伝
船木 浩司著
東方出版 (2004.1)
通常1-3週間以内に発送します。

歌舞伎座三階にはかつての名優さんたちのなつかしいお写真が飾られているが,大阪松竹座の三階にも上方歌舞伎の名優さんたちのお写真が見られる。なかに,蜷川幸雄さんのファンにも忘れられない嵐徳三郎丈の新メのものがあり,ウルッとなってしまう。
17日は,平幹二郎丈主演の「ドレッサー」を拝見する。お二方は同い年であられる。同じ蜷川幸雄さん演出の王女メディアで,片やギリシャを席巻し,片や英国演劇界を刮目せしめた。70代になられて益々意気盛んな平幹丈に比して,溢れる才気と弛まぬ努力で,学士出身の一般人から大名跡を継がれ,これからというときに突然ご逝去された徳三郎丈のご無念はいかばかりであったことであろうか。
運の良い私は,坂東玉三郎丈,平幹二郎丈,嵐徳三郎丈及び大竹しのぶ丈の4メディアを拝見できた幸運な世代。永らえば,次世代も見られるかも…。幸福なジェネレーションである。おまけに,ドラクロアの王女メディアのホンモノも,つい最近拝見できた。
さて,「七代目嵐徳三郎伝」を運良く図書館で確保できたので,一気に読んだ。今更ながら,丈の苛烈な生涯に思いを馳せ,上方歌舞伎のこれからにどれほど大きな役割を果たせたことかと思わずにはいられない。

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2005年9月11日 (日)

夢の仲蔵千本桜

高麗屋の「夢の仲蔵千本桜」,大阪松竹座で9月10日夜の部を見た。
ジャンルはストレートプレイ。演じるは現役歌舞伎俳優。時代設定は江戸時代。劇中劇が歌舞伎。
バックステージもののヒットシリーズ。既に「夢の仲蔵」,「新・夢の仲蔵」及び「夢の仲蔵千本桜」と三本がリリースされ,今回,「千本桜」が関西初登場となる。
安永元年,十一月,通し狂言義経千本桜が上演中の江戸森田座の顔見世興行時に事件は起きた。
艱難辛苦を経て,森田座の看板役者にまで出世した「中村仲蔵(松本幸四郎)」であるが,名門俳優からは出自への侮蔑,大部屋俳優からは出世の妬み或いはスポンサーの興行権を巡る思惑と,芸道精進とは無縁の新たな苦境に立たされていた。
そんな孤高の仲蔵は,若手大部屋俳優「中村此蔵(市川染五郎)」のなかに若き日の自身の姿を重ね合わせ,厳しく指導していた。此蔵も仲蔵の芸に心酔し,実の父のように敬愛していたが…。
ミステリー仕立てですので,ここまで!!!
タイトルロール「仲蔵」は松本幸四郎丈であるが,今公演の主演は「此蔵」・市川染五郎丈という扱いとなっている。
装置と演出が良い。舞台,楽屋の一階,二階及び奈落を,大阪松竹座の全ての舞台機構,客席空間及び大向こうさんまで巻き込んで,スピーディに見せて頂ける。本当に早い。早いだけでなく連続空間を移動する妙味まで楽しめる。
当然とはいえ,劇中劇が劇中劇であることを忘れて本気で楽しんでしまえる。狐忠信の名場面がふんだんに盛り込まれ,染五郎丈の手に汗握る奮闘が見られる。
全てのご出演者が,主演級から,大部屋俳優さん,子役さん,狂言作者,勧進元まで,生き生きと闊達にそれぞれのお役を生きておられる。
芸能を生業とする者の名声及び富と表裏一体の狂気と転落の宿命が胸に迫る。脚本も感動的(;_;)エエエ。
染五郎丈の魅力全開のステージで,ファンは必見。高麗屋を見慣れていない関西の方も得手の演劇なのでぜひ劇場に行きである。関西お馴染みの松嶋屋さん,美好屋さんもご出演中ではんなりと素敵である。

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2005年9月 9日 (金)

三井寺の改修

近江八景・三井晩鐘で知られる滋賀県大津市の園城寺は現在,大改修工事の最中である。
弁慶引き摺りの鐘など,ゆかりの物語は多い。金堂は国宝である。境内地にある展望台からの琵琶湖の眺望も素晴らしいが,私が声を大にして叫びたいのは,都市インフラと点景としての三井寺との相関関係である。古い町家も残る旧東海道を歩めば,正面のアイストップとして三井寺が臨める。琵琶湖疎水の取水口にあたる北国橋から見上げる画角も絶品である。このように,三井寺トータルの魅力は半端ではなく,世界遺産に登録されている近隣の社寺に,おさおさ劣るものではない。
さらに魅力的なスポットとしてパワーアップするには,門前町の再生が欠かせない。大津市が古都に指定され,端緒は開けたので,続くは整備のプロセスデザインである。
さて,今日の京都新聞に,天正期の豊臣秀吉とねねによる本堂整備事業の工事概要の発見という記事が掲載されていた。「大工JV方式で工期短縮」というものである。当時の大工さんがたの技術の連携に思いをはせ楽しげな気分にさせていただける。

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2005年9月 6日 (火)

もとの黙阿弥 浅草七軒町界隈・南座9月公演

9月4日(日)南座で,井上ひさし戯曲による「もとの黙阿弥 浅草七軒町界隈」を観劇した。
高畑淳子氏,池畑慎之介氏,辻萬長氏,村田雄浩氏,筒井道隆氏,田畑智子氏,柳家花緑氏及び横山めぐみ氏をメインキャストとするオペレッタ仕立てのラブコメディ。西洋音楽付き茶番芝居に,似ても似つかない改良演劇と,黙阿弥のパロディとは言い難い笑劇と劇中劇も盛りだくさん。おそらく,演劇界におっしゃりたいことがてんこ盛りなのであろう。
現代の黙阿弥・井上ひさし氏らしく,しっかり笑えて,人情に打たれ,不条理のほろ苦さをかみしめさせられるエンターテイメントであった。
装置が良い。効果的な回り舞台のお手本のよう。
もちろん,全てのご出演者が,はまり役でお衣装も良くお似合い,身体能力も高く,素晴らしいエンターテイナーであることを見せて頂いた。

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2005年9月 5日 (月)

舞台は堅田から小松へ

実盛物語を掲げた海老さま御一行は,2日,びわ湖ホール公演が終了したその夜のうちに,3日の興行地・石川県小松市に慌ただしく出発された。
実盛物語は,琵琶湖畔・堅田の九郎助宅で起こった悲劇で,この28年後に,源平の運命が逆転し,手塚太郎(太郎吉)が母の仇・斎藤実盛を討ち取るという後日譚として完結する。
時は寿永2年,所は加賀の国篠原の地。約束どおり鬢髪を黒に染め,華美な甲冑に身を固め,老武者と侮られないよう,また,恩を授けた木曽殿には実盛と分かり温情をかけられないよう,死出の装いを凝らし華々しく散ったのであった。
石川県小松市多太神社には,別当実盛のものとされる冑が伝えられ,後年,この地を訪れた芭蕉翁は「むざんやな 冑の下の きりぎりす」と詠んだとされている。
常世の国の実盛翁も,終焉の地で演じられる海老蔵丈の演技に膝を打って楽しまれることであろう。

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2005年9月 3日 (土)

十一代目市川海老蔵襲名披露・公文協西コース・びわ湖ホール

市川團十郎丈が半年間病気療養されるという報道が,先週の金曜日に発表となり,その後,ゆるりとご休養成されているという公式メッセージもあった。残念,心配,…皆様の思いが交錯するなかで,市川家は西コースに旅立たれた。
私の住まいする滋賀県大津市にも,オペラハウスをメインとするシアターコンプレックス(ぴわ湖ホール)があり,ご予定に入っているので,滋賀県民及び大津市民(のファン)は一日千秋のおもいで公演を心待ちにしていた。
私が拝見したのは,9月2日(金)夜の部。プログラムは実盛物語,口上及びお祭りの三本立て。お祭りには團十郎丈が鳶頭成吉役で踊られる予定であったが,海老蔵丈が代役。結果,海老蔵丈,家橘丈,右之助丈及び市蔵丈は,三題とも全てご出演という密度の濃い公演となった。
海老蔵丈が実盛を演じられたのは,新之助時代の平成15年12月歌舞伎座が初役。私は拝見できていなかったが,立派かつさわやかであったときく。東京,大阪,名古屋,パリ,京都,福岡と続いた重圧と栄光の交錯する長丁場を経て,一回りも二回りも大きくなられた海老蔵丈が,今回の全国公演の実盛で襲名披露興行を締めくくることとなる。
全てに良い公演であったが,海老蔵丈に絞って記述する。
実盛物語:海老蔵丈といえば,雅な光君系或いはやんちゃな五郎ちゃん系(曾我五郎,助六,権五郎)モテモテ青年を見たいが,どうしてどうして生締めの実役は,安心して見ていられて本当に立派である。
前半は情も理もある捌き役を過不足なく重厚に,義太夫との息もぴったり思い入れたっぷり。で,タイトルの物語部分は大きくしっかり見せて頂ける(・υ・)``ホォー。
後半は,武勇に優れた壮年の武将であることの矜持とゆとりを楽々と演じ,加えて,やんちゃな海老様の素が見え隠れし,泣くより他ない物語のなかに一縷の明るさを心地よく見せてくれる。
口上:團十郎丈のご不在は寂しいとしか申し上げようがない。皆様の奮闘をお祈りする。

お祭り:鳶頭のお衣装が似合うであろうことは想像に難くなかったが,想像を絶するお似合いぶり。ここでもシャイな海老さまの素を見せて頂き,観客のハートを自在にわしづかみ。
やはり,海老さまは寿命をのばしていただける役者さんであることを実感した。

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2005年9月 2日 (金)

インファイナル・アフェアⅢ再見

本日は,びわ湖ホールで市川海老蔵襲名披露興行があるので休暇を取った。職場からいつ出られるか案じられたが,夜明けまでには出られた。
今朝,奇特な御方のトラバのおかげで,やはりインファイナル・アフェアⅢに走ってしまった。終極無間のみであったが,序曲と無間道は、続けて放映されたばかりなので,時系列しっかり把握。
街の風景や新しい香港警察の建物に心惹かれる。私が香港を訪れたのは一昔。残念ながら,返還前の街しか知らないので、私の時制は序曲のものである。
二人が出会うオーディオのバッタ屋。ショッピングモールの左が堅牢な建物で,右が屋台とバラックという映像が好きだ。また、小ネタで感動してしまった。

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