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2005年8月

2005年8月28日 (日)

松井今朝子氏の「仲蔵狂乱」

仲蔵狂乱
仲蔵狂乱
posted with 簡単リンクくん at 2006. 1.14
松井 今朝子〔著〕
講談社 (2001.2)
この本は現在お取り扱いできません。

図書館から2回借りて読んだ。
前回は,東京の日生劇場で夢の仲蔵が初演されたときで,次月大阪松竹座で夢の仲蔵・千本桜がかかるので,再読した。
お芝居の原作とは異なるようだ。仲蔵丈といえば,仮名手本忠臣蔵「山崎街道」の斧定九郎役を,従前のどてら猟師から今の浪人姿に変えた,伝令使役で台詞を忘れ,主役の團十郎に耳元で「親方台詞を忘れました。」と伝えたとか,勇敢なエピソードで知られている。
(はい,イヤホンガイドは大好きでよくきいています。テレビ中継も副音声を楽しみにするタイプです。)
松井氏は,ドキュメンタリーできっちりと事実を積み上げ物語を構築する作風のお方。大好きな作家のお一方で,数冊読ませて頂いている。
松井氏の仲蔵は,小さな成功と大きな挫折に満ちた魂の彷徨を,只のサクセスストーリーに留めず,狂乱と咆哮のドラマに仕上げ,重い。

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2005年8月27日 (土)

インファイナル・アフェア・トリロジー

京都の単館上映館も激戦となっているが,東寺かいわいの「みなみ会館」は,良質かつ娯楽性の高いラインアップでファンが集まっている。
今日の夜,「インファイナル・アフェア」三部作時系列一挙上映のオールナイトがある。エコノミークラス症候群が怖くなければ行くのだが…。
夜行バスとオールナイトはやめておくように家族から釘を刺されている。
圧巻の本編,丁寧なつくりで英国領であったころをなつかしむことができる序曲,謎解きがせつない終極。全部よかった。

タイトル:『インファイナル・アフェア終極無間
監督:アンドリュー・ラウ
出演:トニー・レオン,アンディ・ラウ,レオン・ライ,チェン・ダミオン,ケリー・チャン,アンソニー・ウォン
概要:ヤンの死後,ラウは眠れぬ日々を送っていた。潜入マフィアとしての過去を持ち,警官として生きる道を選んだ彼には,他の潜入マフィアを一人残らず始末する仕事が残っていた。ラウの前に新たに立ちはだかるエリート警官ヨン。ラウはヨンが潜入マフィアだと確信する。そんな時,彼は大切に保管されていたヤンのカルテを手に入れる。カルテには,生涯でもっとも幸福なヤンの姿が記されていた。ヤンに自分を重ね,運命を変えるための最後の戦いに向かうラウ。だが,いつしかヤンの死の真相を知る者の気配が忍び寄っていた……。

謎解きの醍醐味を堪能できるⅢです。美しい映像,丁寧な時制のプロットなど,二転三転するストーリー,先の読めない展開です。
過酷な運命と雄々しく闘う主人公に感情移入できる正統派の警察映画。感動できますので,ぜひご覧になってくださいませ。

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2005年8月26日 (金)

シネマ歌舞伎「野田版・鼠小僧」

春に見たが,大阪では最近まで上映されていたようだ。
今日のネタは手詰まりなのでこれでいく。
タイトル:『野田版・鼠小僧』
監督:野田秀樹
出演:中村勘三郎,板東三津五郎,中村福助,中村橋之助,中村扇雀,板東吉弥,清水大希
概要
正月,江戸の街では鼠小僧の芝居が大人気。見物客の中で,棺桶屋の三太(さんた)がずる賢く金稼ぎに励んでいます。金にしか興味のない三太は,実の兄が死んでも棺桶屋の出番と喜ぶ始末。そのうえ遺産があると聞いて大はしゃぎ。ところが遺産は善人と評判の與吉(よきち)が相続することに。他人には渡すものかと一計を案じた三太は,兄の死体の替わりに棺桶の中に忍び込みますが…。
江戸町奉行から幽霊まで,個性溢れる登場人物を,豪華な顔ぶれが賑やかに楽しく演じます。

一昨年夏の納涼歌舞伎で評判となった舞台のシネマ化。既に東京で上映されたそうです。シネコンMOVIX京都のグランドオープン記念作品として2週間上映されます。
テレビの中継よりカメラアングルが寄っています。より臨場感が楽しめますが,歌舞伎座の横長のプロセニアムが感じられずスタジオ録画のテレビ番組風。
大笑いと拍手ができないストレスがありましたが,十分楽しめました。
板東吉弥丈の渋い演技も懐かしく拝見できました。今は中村屋の部屋子となられた清水大希丈がブラボーです。

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2005年8月23日 (火)

上方歌舞伎会

今年で15回を迎える上方歌舞伎会は,8月20日及び21日,国立文楽劇場で昼夜2回,計4回の公演があり,いずれも大盛況。私は21日夜の部一度のみ観劇することができた。
南座の歌舞伎鑑賞教室,平成中村座役替わり公演及び宝塚新人公演又はバウホール公演は拝見したことあるが,上方歌舞伎会は初めてである。不覚。
演目は,我童丈監修の菅原伝授手習鑑車引の場,中村鴈次郎丈監修の芦屋道満大内鑑・葛の葉,片岡秀太郎丈及び仁左衛門丈監修の伊勢音頭恋寝刃及び藤間勘祖丈振り付けの春霞歌舞伎草紙の豪華4本立て。
しかも,楽日とあって,御大お三方の舞台挨拶付き。若い俳優さん達のがんばりを讃える感動の拍手のなかで,上方風締めで幕切れとなった。
なにぶん初心者ゆえ,お家の形,上方と江戸の違いなどきっちり論じることは出来ないが,上方独特のリアリティのある人物造形は楽しめた。
俳優さんも若手,太夫さんも若い。お声に濁りがなく聞き取りやすい。役者さんに幻惑されて見失うかもしれない物語の枠組みが実に明快に伝わる。これは,実はこんなお話だったのかと,違う側面から光が当てられたかの感じを受けた。
不勉強ながら,若い役者さんたちのご尊名を存じ上げなかったが,みなさん,それぞれ大役ながら仁に叶ったお役をさわやかに演じられておられた。
車引の梅王丸の片岡千次郎丈はパワフルに,葛の葉二役の中村鴈乃助丈はさすが手堅く,伊勢音頭の福岡貢役の片岡松次郎丈は切れそうな若者の危うさを好演。
演目としては,登場人物も多く,各人に見せ場が盛りだくさんな伊勢音頭が群像劇として楽しめた。貢さんは涼しげ。東京では七之助丈が演じられているお岸が上方では上村純弥丈(^^)//""""""パチパチ。情のある良い妓らしさがビシパシでなくふんわりと伝わる。
大劇場では,ベテラン俳優さんの怪演で見せるお鹿さんも,上方歌舞伎会ではかわいらしい。
客席は母心モード一色であったが,それだけでない上方歌舞伎の息吹を感じた。

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2005年8月20日 (土)

真田広之さんの亡国のイージス

京都は今年はシネコンのオープンラッシュ。
このため河原町東宝は閉鎖。建て替えとなる。
MOVIX京都は松竹直営店なので,歌舞伎会に入会すると毎日が映画の日となる。おもわぬところで特典が大きいので入会した(不純)。
以来映画はこまめに観ている。
昼食及び夕食もデスクでいただく激務のためブログもご無沙汰気味。
亡国のイージス,実は初日の一番に駆け込んで見た。
真田広之さんに尽きる。ボキャブラリーが貧困だが真田広之さんがよい。どこがどう良いか書かないとブログにならないが,全てとしか言いようがない。責任感,使命感,正義感,行動の人,不屈の魂。優しい,暖かい,タフ,シャイ,絵心もある。こんな男はん,いはるわけおへんというほど格好良い。高い身体能力と緻密な演技力と兼ね備えた世界に勝負かけられる俳優さんと信じる。
「海上自衛隊が誇るイージス艦がクーデターによって占拠された。反旗をひるがえしたのはイージス艦副長・宮津二佐(寺尾聡さん)。彼を駆立てるものとは一体なんなのか。そして全ミサイルの照準が東京首都圏内にあわせられるなか,国家への復讐に燃える宮津から艦を取り戻すために,先任伍長・仙石の過酷な闘いが始まる・・・。」
某国の工作員に中井貴一さん。防衛庁幹部に佐藤浩一さん。この4人の過酷な戦いが胸に迫る。副主人公格の勝地涼さんもきかん気の骨のある若者を好演されている。
自宅よりシネコンで見なければならない映画のひとつと言える。

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2005年8月16日 (火)

ルーブル美術館展

夏から秋への京都市美術館の勝負展覧会!!ルーブル美術館展に出向いた。
ドラクロア,ジェリコー,アングルなど新古典主義からロマン主義の時代のフランス絵画に絞ったゴージャスなラインアップ。
一時ルネッサンスからバロックのイタリア絵画に心酔して美術展に足繁く通った時代があるので,新古典主義はストンと落ちる。解説不要だ〜。うれし〜。
フランス革命時代のナポレオンのプロパガンダ絵画も教科書などでお馴染み。オペラや演劇の一場面を彷彿とさせるドラマチックな作品ばかり。一幅で映画一本分のドラマがある。
比較的空いていたので十分楽しめたが,次回はカール・フィリップ・エマニュエル・バッハやベートーヴェンの曲をBGMに出かけたい。

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2005年8月15日 (月)

宝塚歌劇も拝見します。

8月11日木曜日,宝塚大劇場に宙組公演を観にいった。
従前は年に数回観劇していたが,昨年頃から年2回,雪組公演のみに足を運ぶという頻度になっている。基本的に最安値の席で一度というので,ご贔屓に言わせれば見たとは言わせてもらえないだろう。
宝塚歌劇は,はまる方ははまるし,全く受け付けない方はノーサンキューと二極化していると言われているが,こらえ性と贔屓に一貫性のない“おとみさん”と致しましては,とりあえず行って,美しかったこと,驚いたことのみ記憶に留める。
宝塚歌劇は基本的に全て新作。各組の主演コンビの仁に適った演目を座付き作家が纏め上げるすごいシステムを誇る。ダンスの振りの難易度,声域やリズム感に合わせた楽曲。世界もおなじみのものの本歌取り。しかも分かりやすい。観客は,劇場に行くまでに組み立てたマイ脚本及びマイ演出を追体験でき,思い通りなら満足,意表をついていれば大満足,外せば突込みを入れて盛り上がる。どう転んでも楽しい失敗のない娯楽と常々感心している。
宙組は現在,「炎にくちづけを」及び「ネオ・ボヤージュ」の二本立て。
容姿端麗のトップスターコンビと声量とハーモニーに聴き所のある布陣で手応えのあるエンターテイメントとなっていた。

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2005年8月 3日 (水)

いつかはくる。別れのときが。

京都公演千穐楽の決定した劇団四季「アイーダ」を観劇してきた。
大阪のマイ千穐楽から半年を数える。
主要キャストは,井上智恵,阿久津陽一郎,佐渡寧子のお三方。
京都劇場は,旧大阪MBS劇場より舞台が狭く,装置が窮屈な感じがするが,その分群舞の密度が高く,ローブのダンスの場面は群舞に泣かされた。
勿論,大塚さんのゾーザを中心とする脇坂さんや景山さん他壮年イケメン軍団のカッコよさは健在。
ラダメスを演じる阿久津陽一郎さんは劇団四季の坂口健二さん。彫りの深いマスク,厚い胸板,長い手足。女性の恋愛願望を具現化したお姿。また,お声もニューヨークオリジナルキャストの俳優さんにそっくり。その声お姿で,純愛を貫く生真面目さ。やっぱり福井さんは真っ向勝負したら危うい。
佐渡さんは完璧ボディとお声とフェイス。愛を失うことにより,一国の運命を孤独の中でファラオとして背負う果敢な決断をする。前半のノーテンキな姫様とのメリハリがくっきりしてきている。
井上さんのアイーダはキュートなフェイスにパワフルなお声。台詞回しと歌唱が確か。高音域ののびがもう少し欲しいところであるが,あのシラバブを演じておられた井上さんがアイーダにと思うとうれしい気持ちにさせていただける。

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