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2005年6月18日 (土)

玉三郎丈特別舞踊公演・マイ千穐楽

写真入り筋書きなりとも購入しようと,南座へ。思いがけなく,「夢のようなお席が一枚出てます。あなたラッキーです。」と告げられ,敢えなく財布は全開。
本日の公演も,益々美意識が研ぎ澄まされ,高い精神性に打たれた。
「船辨慶」。松羽目なしで背景は黒一色。能舞台の屋根。鳥屋の揚幕が,松羽目に使われる五色幕。明きは横引きだが,立役さんが出られるときもシャリンという音はない。
梶取(カンドリ)さんは水主(カコ)なしで孤軍奮闘。四天王は省略し,従者は2名。間狂言風の水主梶取の舞いは省略。前シテから後シテまでの待ちが短い。曲も緊迫感あふれ,囃子方も渾身の演奏。
筋書きには,丈が能取りもののお衣装をご注文なさる佐々木能衣装店の佐々木さんの寄稿と,これまでの舞台写真が掲載されてました。ロングインタビューがメインの記事。白のリネンのスーツ姿にうっとり。
さて,義経公のお衣装の袴と陣羽織は2002年,歌舞伎座・尾上松緑襲名披露公演で,玉三郎丈が義経公を演じられたときにお召しになられていたお衣装に間違いないかと思われる。袴は,佐々木能衣装店謹製で,波に御所車の重厚なもの。今公演の薪車丈は,笹竜胆の図柄。静のお衣装とペア風で,紫の陣羽織とよく映る。お背も同じくらいか(☆-☆)。
初日,義経公が出られた瞬間「あー,あのお衣装は…。」と,うるうるになったわけがこれ。芸術品のような特製のお衣装が玉三郎丈の一部であるように,相手役さんも玉三郎丈の一部である。
それにつけても,お衣装を拝領し,襲名披露を飾られるとは,なんという晴れがましさ。若い方を思う玉三郎丈のお心のゆかしさがしのばれる(;_;)。
初日の義経公は,静を見まいと背を見せ肩で泣いていたが,本日は,静が泣いても義経公は泣かずにまばたきなしで凝視する演出となっていた。

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コメント

>露草帖さま
はじめまして。京滋に棲息するとみといいます。
こちらこそ光栄でございます。
風知草も始めたばかりで,まず書くことからとスタートです。露草帖さまは,歌舞伎だけでなく様々なチャンネルでまちを楽しんでおられるご様子。南座周辺は,手ぬぐいや簪,櫛など美しい小物を扱う店が多く目を楽しませて頂けます。
柔軟な感性でご覧になって玉三郎丈の公演は素晴らしかったとは…。演目の普遍性と,やはり玉三郎丈は特別と思わずにはいられません。

投稿: おとみさん | 2005年6月22日 (水) 01時19分

初めまして!私はブログを始めたばかりの大学生です。
実は私も昨日の南座の公演を観に行ったのです!そのときの様子を今日、ブログに書かせていただいて、歌舞伎関連のことが書かれたブログを探していたら、偶然こちらを見つけてしまったので、恐れ多くもTBさせていただきました(^^)

昨日の歌舞伎公演、本当に素晴らしかったですね!私はただ昨日からの感動を書き綴っただけなのですが、こちらの文章で冷静に見つめなおす事ができました。まだ歌舞伎は初心者ですので、とても勉強になったと思います(^^)

それでは、長々と失礼しました。

投稿: YUMI | 2005年6月21日 (火) 22時27分

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» 歌舞伎鑑賞に行ってきました! [露草帖]
昨日、友人と、四条にある南座に歌舞伎公演を観に行ってきました(^^)「坂東玉三郎 [続きを読む]

受信: 2005年6月24日 (金) 11時27分

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